UNIC Tokyo Dateline UN ■June/July 2009 Vol.68 国際連合広報センター 国連ピース・メッセンジャー 五嶋みどりさんに聞く 幅広い国連の活動をより多くの日本の方々に知っていただくことを目的として、国連広報センターはこのたび、国連ピース・メッセンジャーおよび諸機関の親善大使の皆さまにご協力いただき、各人が行っている活動を生き生きと伝える「UNインタビュー・シリーズ」を始めました。同シリーズは当センターのウェブサイト www.unic.or.jp に掲載されます。  シリーズ第一弾としてご紹介するのは、国連ピース・メッセンジャーとして活躍中のヴァイオリニスト、五嶋みどりさんです。2007年9月に潘基文(パン・ギムン)国連事務総長より「国連ピース・メッセンジャー」に任命された五嶋みどりさんは、「Midori & Friends(みどり教育財団)」や「ミュージック・シェアリング(Music Sharing)」、「Partners in Performance(パートナーズ・イン・パフォーマンス)」などを中心に積極的な社会貢献活動を展開し、音楽と接する機会が少ない子どもたちに音楽教育プログラムを提供しています。  インタビューの中でみどりさんは「“国連ピース・メッセンジャー”という公の肩書きが加わったことによって、社会活動に限らず、プロの演奏者、教育者として、選ばれた人間の持つべき責任の上に立つことを忘れてはならないという気持ちが生まれた」と述べました。  みどりさんは、「音楽は人と人とのコミュニケーションを広げ強めるきっかけとなる」と語り、音楽がコミュニケーションを促す役割について強調しました。また、「音楽を通じて子どもたちの視野を広げ、物事を多方面から見つめることを知ってもらう一助になれれば嬉しい」と語り、音楽が子どもにもたらす影響を評価しました。  さらに、国連ミレニアム開発目標(MDGs)の一つに掲げられている「教育が開発途上国の発展に果たす役割」について、「学ぶ意欲、働く意欲、幸せな瞬間を持つことも、ひいては現実の貧困から解き放たれる根源になると思う。教育の一つとしての『見聞知』が重なって文化が育ち、国が育ち、ひいては物質の貧困から自力で解き放たれる可能性があり、そこに音楽の力が働くと私は信じている」と述べました。  これから国際団体などで社会貢献に取り組もうと考えている日本の人々に向けて、「自分たちが生きている社会の一員として、自分自身がコミュニティーに何を貢献することができるのか常に考え、行動することは簡単なことではありません。でも、自分たちの可能性を信じて、頑張っていただきたいです」とメッセージを発しました。 ミュージック・シェアリングの活動の一環として、インドネシア・スマトラ島メダンにある寄宿舎を訪れ、子どもたちと触れ合う五嶋みどりさん(2008年12月) Photo: T.Oda 平和維持と女性:エンパワーメントを起こす力 P2-3 国連平和維持要員の国際デーに寄せる潘基文事務総長メッセージ P3 特集:ESCAPで活躍する日本人職員 P4-6 『国際連合の基礎知識』、最新の日本語版が登場 P7 クリントン元米国大統領、国連ハイチ特使に P7 国連の Seal the Deal キャンペーン、はじまる P8 ******************************************************************** 広報資料--公式文書ではありません  vol.68  2009年6-7月 平和維持と女性:エンパワーメントを起こす力  国連は毎年5月29日を「国連平和維持要員の国際デー」と定めています(国連総会決議57/129)。同国際デーは、平和維持活動に従事する全ての男女に対して、その高いプロフェッショナリズムと献身、勇気に敬意を払うと共に、平和のために命を捧げた人々を追悼する日です。1948年の同日に、初のミッションである国連休戦監視機構(UNTSO)がパレスチナで活動を始めたことにちなんで制定されました。  2008年に創設60周年を迎えた国連平和維持活動は、主権国家間の停戦合意と国境監視という従来の役割から、内戦にも多く取り組む大規模な多面的活動へと発展してきました。こうした流れの中、平和維持活動における女性の役割と貢献への期待が更に高まっています。 国連休戦監視機構(UNTSO)に従事する国連平和維持要員(1973年4月) (C)UN Photo/Yutaka Nagata  国連平和維持活動はこの60年間で、国際社会が国際の平和と安全を脅かす複雑な危機の管理に用いる重要な手段へと進化を遂げました。現在、11万人を超える男女が軍事要員や警察官、文民要員として、ダルフールの乾燥地帯からコンゴ民主共和国の山々、さらにはハイチの海岸に至るまで、全世界の16カ所で平和維持活動に従事しています。警察官と軍事要員の派遣国は過去最多の120カ国に達しました。こうした参加の拡大は、国連による活動の効果を高めるだけでなく、国連平和維持に対する尊敬、依存、そして信頼の広がりをはっきりと示す証拠でもあります。  国連安全保障理事会(安保理)は2000年、女性と平和、安全に関する画期的な決議1325を採択しました。安保理はこの包括的決議で初めて、武力紛争の矢面に立たされている女性が、その予防と解決にも相応の役割を果たすべきことを認めました。  決議は、女性が平和と安全の維持や促進に向けたあらゆる取り組みに平等かつ全面的に参加することの重要性を強調しました。決議は多くの提言を出し、その中で、軍事、警察、文民要員としてはもとより、指導者としても、国連平和維持における女性の役割と貢献を拡大するよう求めました。  決議1325の採択以来、国連本部と平和維持活動、そして加盟国は、この目標の達成に努めてきましたが、その効果は満足には程遠いものです。文民要員については、国連事務局が募集・採用し、平和維持活動に従事している女性の割合が40%に近づいています。しかし、加盟国が国連平和維持活動に派遣する制服要員については、進展のペースがはるかに遅く、女性の割合は3%にも達していません。警察官1万人のうちの8%、軍事要員8万人のうちの2%というのが現状です。  2009年5月29日の「国連平和維持要員の国際デー」にあたり、私たちは2008年の国連平和維持活動で、平和のために命をささげた人々に敬意を表します。昨年亡くなった平和維持要員132人のうち、10人は女性でした。  平和維持は、主権国家間の停戦合意と国境を監視するという従来の役割から、内戦にも多く取り組む大規模な多面的活動へと発展してきました。これら新型のミッションには、国民の対話と和解の促進を通じて政治過程を容易にし、民間人を保護し、戦闘員の武装解除、動員解除、社会復帰を援助し、選挙の実施を支援し、人権を保護・推進し、国内治安セクターの改革を促進し、法の支配回復を援助するという任務が与えられています。  このような責任の広がりにより、女性平和維持要員の増員は、これまでになく急務となっています。女性平和維持要員はこれらすべての分野において、男性と同じ役割を同じレベルで、しかも同じ困難な条件の下で遂行できることを証明しているからです。性暴力やジェンダーに基づく暴力の犠牲者との面談、女性刑務所での勤務、動員解除と社会復帰の過程における元戦闘員の女性に対する支援、警察学校での女性警察官の育成指導など、女性が平和維持の職務にあたるほうがふさわしい場合も多くあります。  この価値ある貢献に加え、女性平和維持要員は現地での自らの行動を通じ、男性に支配されがちな社会に暮らす女性や女児に模範を示しています。こうした女性や女児に対して、自分たちは政治や治安、法と秩序、医療、ジャーナリズムその他の分野で何でもできるのだということを立証することで、ブルー・ヘルメットの女性は「エンパワーメントを起こす力(Power to Empower)」という理念を体現しているのです。 現在、展開中の国連平和維持活動(16件) 国連休戦監視機構(UNTSO) 1948年5月- 国連インド・パキスタン軍事監視団(UNMOGIP) 1949年1月- 国連キプロス平和維持軍(UNFICYP) 1964年3月- 国連兵力引き離し監視軍(UNDOF) 1974年6月- 国連レバノン暫定軍 (UNIFIL) 1978年3月- 国連西サハラ住民投票ミッション(MINURSO) 1991年4月- 国連グルジア監視団 (UNOMIG) 1993年8月- 国連コソボ暫定行政ミッション(UNMIK) 1999年6月- 国連コンゴ民主共和国ミッション(MONUC) 1999年11月- 国連リベリア・ミッション(UNMIL) 2003年9月- 国連コートジボワール活動(UNOCI) 2004年4月- 国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH) 2004年6月- 国連スーダン・ミッション(UNMIS) 2005年3月- 国連東ティモール統合ミッション(UNMIT) 2006年8月- ダルフール国連・AU合同ミッション(UNAMID) 2007年7月- 国連中央アフリカ・チャド・ミッション(MINURCAT) 2007年9月- *UNTSOは中東、UNDOFはシリア・ゴラン高原で展開。 (2009年5月31日現在) 国連平和維持要員の国際デーに寄せる 潘基文事務総長メッセージ(抜粋) 国連安全保障理事会(安保理)が画期的な決議1325を採択してから、ほぼ10年になります。安保理はこの初の包括的決議で、武力紛争の矢面に立たされている女性が、その予防と解決にも相応の役割を果たすべきことを認めました。 国連はそれ以来、より多くの現地の女性を和平仲介や平和構築に参加させるだけでなく、平和維持要員としても、より多くの女性を採用しようと集中的な取り組みを推し進めてきました。男女同数を実現すること自体が重要なのではありません。女性ならではの独特かつ強力な貢献を活用することこそが大切です。女性のブルー・ヘルメット要員や人権監視員その他のミッション・スタッフは、絶えず変化する平和維持の現場に新たな能力やスタイルを持ち込んでいます。現地の女性たちとの意思疎通にも長け、女性のエンパワーメントを体現しながら安心感を高められることも多くあります。 女性の平和維持要員はまだ少なすぎるのが現状です。各国の部隊や警察に女性が多く加わるようになる中で、加盟国がさらに多くの女性要員を国連に派遣することは、きわめて重要です。今年の国際デーにあたり、女性の力を借りて国連平和維持の強化を図るとともに、女性と女児が自分自身の、そして社会全体の運命をより良い方向に変えられるよう、私たちも力を貸していこうではありませんか。 「国連平和維持要員の国際デー」の献花式典に参列する潘基文国連事務総長(左)。アラン・ルロワ平和維持活動担当事務次長(左から2人目)と共に、2008年の活動中に命を落とした132名の平和維持要員に敬意を表した(2009年5月29日、ニューヨーク国連本部) (C)UN Photo/Mark Garten 特集 ESCAP(エスキャップ)で活躍する日本人職員 タイの首都バンコクに本部を置く国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)では、現在およそ10名の日本人職員が異なる専門分野で活躍しています。 本特集では、事務局次長をはじめ、社会開発、貿易投資、情報通信技術の仕事に携わる3名の皆さんから寄せられたメッセージをご紹介します。 ESCAP(エスキャップ)とは何ですか? 持田 繁 ESCAP 事務局次長 からのメッセージ  Economic and Social Commission for Asia and the Pacific(ESCAP=アジア太平洋経済社会委員会)は、経済社会理事会のもとにある5つの地域委員会の一つで、最大の総人口及び地域的規模を誇るアジア太平洋地域を担当しています。ESCAP事務局は国連事務局の一部であり、1949年以来タイのバンコクに置かれています。ESCAPはアジア太平洋地域の全ての国をメンバーとする唯一の政府間機関でもあります。そのため、社会・経済分野での地域の声をグローバルなレベルでの国連の活動につなげる役割を果たしています。  最近のアジア太平洋地域は地域全体の平均値をみると経済成長が目覚しく、貧困とは縁のない地域との印象を与えがちですが、実は未だ世界の貧困人口の過半数を擁しています。これは域内国家間及び国内における格差が多分に影響しています。アジア太平洋地域ではまた地球温暖化の脅威も他の地域以上に深刻であり、このためESCAPの仕事の中心テーマは「地域全般の包括的で持続可能な開発、貧困削減と社会発展」の実現のための加盟国間の協力の推進及び加盟国への支援です。  ESCAP内には、マクロ経済、統計、貿易、運輸、情報通信、防災、社会問題という専門部局がありますが、それらすべての活動が「地域全般の包括的で持続可能な開発、貧困削減と社会発展」を大目的として運営されています。最近は一つの専門分野で事足りる問題は少なく、また、その解決も国境を越えた地域内での解決を必要とするものがほとんどです。この点、内部に多岐な専門部局を擁し、また地域レベルでの活動を本旨とするESCAPは時宜を得た存在であり、その活躍の余地は大きいと思います。   私は20数年間、ニューヨークの国連本部事務局で仕事をした後、4年前にESCAP事務局に事務局次長として転勤しました。現在の仕事は特定の分野に専門化するのではなく、事務局の運営と所掌業務全般における事務局長の補佐・代理で、マネージメントの比重がかなり高いと言えます。 障がい者が生き生きと暮らせる バリアフリーな社会をめざして ESCAP 社会開発部 社会政策人口課 社会問題専門官 秋山 愛子  経済力、社会制度、文化や宗教の違う国々がモザイクの如く散らばるアジア太平洋地域。 その人口全体の10人に1人、約4億人は、何らかの障がいを持っているとされます。その多くが、バリアだらけの建物や交通機関・情報のため移動や情報収集ができなかったり、法律や慣習が差別的なため特定の職業につくことができないなどの問題に直面し、自己実現や社会参加の機会を奪われています。車椅子がないため、自宅のトイレを利用するのもままならない当事者もたくさんいます。    ESCAPは様々なバリアを除去し、障がい者が生き生きと暮らせる社会を構築するため、各国の法整備、施行、実践、関係者のネットワーキングを促しています。日本政府の提案と支援により1993年以降開始された「アジア太平洋障がい者10年」のもと、会議開催や出版・啓発、研修事業を行ってきました。2003年からは、第二次アジア太平洋障がい者10年が始まり、今年はその7年目です。  日本政府や地方自治体、日本の障がい当事者や専門家の皆さんは、ESCAPのこの分野での活動に不可欠であるといえます。第二次10年のため滋賀県大津市で採択された「びわこミレニアム・フレームワーク」という政策ガイドラインは、各国の政策策定のよりどころとなっています。2008年に発効した国連障がい者権利条約の策定に関しても、日本の政府とNGOは活躍しました。  今年の11月24-26日には、バリアフリー観光の推進で実績のある岐阜県高山市とESCAPの共催でバリアフリーをテーマにした会議を予定しており、日本の地方自治体の叡智をアジア太平洋に発信する機会を得ます。また8月28日には東京・渋谷の国連大学本部ビルにおいて、高山市での会議のプレ・イベントとして、セミナー「国連が目指すバリアフリー:アジア太平洋地域の現状と高山市の取り組みを考える(仮)」を開催する予定です。  私は、アメリカ・カリフォルニア州バークレー留学時代に、障がい者運動リーダーたちと出会い、感銘を受けたことをきっかけに障がいの問題に関わり始め、国会議員の秘書を経て、2002年にESCAPの障がい専門家として着任しました。  アジア太平洋地域全体の高齢化と少子化が進んでいることから、バリアフリーのニーズはとりわけ深刻な政策課題となっています。少子・高齢社会の日本、特に地方自治体がアジア太平洋に発信できる知恵や情報はまだまだたくさんあるのではと期待しています。 日本人としての資質がプラスに働く職場 ESCAP 貿易投資部 民間セクター開発課 経済専門官 阿部 真人  1998年に国連に転職して以来、インドシナ半島・南アジアでの民間企業の育成のための政策提言・技術支援を主な仕事にしています。具体的にはラオス、カンボジア、ミャンマー、ベトナム、スリランカ、ネパール、バングラデシュでプロジェクトを行っています。これらの国々の多くでは依然として計画経済のシステムを採用していたり、国内の騒乱などが原因で未だ民間企業の活動が弱く、経済・社会の発展において課題となっています。  私の仕事は、そのような国々の政府並びに企業団体と共に産業振興のためのマスタープランを立案することから、個別の輸出商品の開発・販売促進を行うことなど幅広い活動を含んでいます。こうした仕事は自分として望んでいたものだったので、国連職員としては大変幸せな部類ではないかと思います。  国連に入ったのは米国での修士留学中に競争試験を知ったのがきっかけです。商売をしていた祖父・父の影響で企業家として生きたいと小さい頃から思っていたのですが、大変尊敬する先輩の勧めでその試験を受けてみる気になりました。また最終的にキャリアを変える決め手となったのは、国連の仕事が私にとってまったく未知のもので大きなチャレンジだと感じたためです。  多くの失敗といくつかの成功を経験する中、国連での仕事も11年が過ぎました。この間強く感じたことは、自分の日本人としての資質が国連においてプラスに働くことが多いということです。まずは相手のことを考えるという思考パターン(時には無視せざるを得ない場合もありますが…)、行動を優先するという現実主義などといった日本人の特質は、少なくとも私の仕事の範ちゅうにおいては非常に役立ってきたと思います。またどの国の人も、差異よりも似た部分が多いことにも気づかされました。人の情が人を動かすのは万国同じようです。  現在40代半ばに差し掛かかり、さらにアウトプットを増やすこと、またリーダーシップを発揮することを目標にしています。20代・30代では、自己の能力を向上させることや経験を積むことを主眼に置いていました。国連も世代交代の時期に来ており、多くの尊敬する上司・先輩が引退しています。周りを見回すといつのまにか私も古株の一人になってきており、もう一段階上の成果を求められるようになっているようです。 アジア太平洋の社会経済開発のため 知識情報発信を支援 ESCAP情報通信技術・防災部 情報通信技術と開発課 課長代理 奥田 敦子  アジア太平洋で貧困をなくすためには、様々な分野での幅広い知識や情報が必要です。例えば、教育分野においては、インターネットや他の情報通信技術を使うことで、教科書や図書館が不足している開発途上国の学校を支援することができます。また保健医療分野においても、インターネットなどの情報通信技術を活用することで、伝染病の発生をいち早く連絡したり、治療に関する情報を交換することが可能です。  しかし、開発途上国では情報通信インフラや、それを運用するための法整備が十分整っていないこと、また情報通信技術の有効性が十分理解されていないことから、社会経済開発に必要な情報や知識が貧しい人々や政策決定に携わる人々にうまく届いていません。  ESCAPは、社会経済開発と環境の面から、加盟国の情報技術の開発・応用に貢献しています。具体的には、加盟国内の情報格差をなくすために有効な政策提言や調査、また、それに基づいた政策立案者や政府担当者のための地域会合の開催や、地域内の協力を促進しています。また、各国政府の要請により、通信技術の政策アドバイスを行ったり、他の国連機関や技術援助機関との連携を図るためのコーディネーションも行っています。  アジア太平洋は世界で最も災害の多い地域です。ESCAPは情報通信技術の災害リスク軽減への利用も推進しています。ESCAPは、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と宇宙技術のアジア太平洋諸国の災害援助への利用のための協力をも行っており、アジアの主要な加盟国の参加するアジア太平洋域の自然災害の監視を目的として国際協力プロジェクト「Sentinel Asia」を促進しています。また、通信インフラの整っていない国に対しては、JAXAの超高速インターネット衛星“きずな”を使った社会経済的な通信技術の利用を推し進めています。  私は国連職員として、アフリカでも同様の仕事を担当していました。アフリカと比較して、アジア太平洋で感じるのは、アジア太平洋地域は豊かな国と貧しい国の格差が大きく、携帯電話やブロードバンドネットワークなど世界最先端技術の開発に関与している反面、その恩恵が大多数の地域の貧しい人々に届いていないということです。日本の技術力と知識情報はアジア太平洋地域の人々にもっと貢献できるのではないでしょうか。 「アジア太平洋地域における国連障がい者権利条約と国内法の整合性に関する専門家会議」で発言する秋山氏(2009年6月8-10日開催、バンコクで) バンコクのESCAP本部会議場と事務局ビル 2008年にバンコクで開催された「アジア太平洋ビジネスフォーラム」で事務局メンバーとしてレポートを作成中の阿部氏(左) http://www.unescap.org 写真提供・ESCAP トピックス@UN ◎『国際連合の基礎知識』最新の日本語版が登場  国連の公式ハンドブックとも言える“The United Nations Today”(2008年発行)の最新日本語版【写真・左】がこのたび完成し、『国際連合の基礎知識』のタイトルで関西学院大学出版会から発行されました。日本語版の改訂は4年ぶりとなります。  『国際連合の基礎知識』は国連の幅広い活動を理解するための「教科書」的な存在として、これまでも学生をはじめ、国際機関や国際協力に関心を持つ方々にとって貴重な参考文献として利用されてきました。国連で多用されている略語をわかりやすく説明し、具体的な活動を盛り込んで紹介。また国連改革をはじめ、平和維持活動(PKO)の変化、人権機関の見直しなど、国連の取り組む重要項目についても詳しく説明しています(A5変形判、566頁)。  国連広報局が制作した2008年版の原書【写真・右】の内容に、できる限り最新のデータを盛り込んでいますので、国連の「今」を知りたい方にお勧めの一冊です。  潘基文(パン・ギムン)事務総長は序文の中で次のように述べています。「この『国際連合の基礎知識』は、国連の世界的規模の活動についての理解を広めることを目的としている。同時に読者の皆さんがその活動に参加するようになることを期待している」。国連を知る手掛かりとして、ぜひご活用ください。 入手に関するお問い合わせは、以下までどうぞ。  関西学院大学出版会  Tel: 0798-53-7002 ◎ビル・クリントン元米国大統領、国連ハイチ特使に  潘基文(パン・ギムン)事務総長は5月19日、ビル・クリントン元米国大統領を国連のハイチ担当特使に任命しました。クリントン元大統領への任命は、在任中および最近では自身のクリントン・グローバル・イニシアチブ(CGI)が2008年に行った“Call to Action on Haiti”を通した幅広いハイチとの関わりに基づくものです。また、2004年のインド洋スマトラ島沖地震の後、同氏は国連津波復興支援特使として活躍しました。  任命にあたり、潘事務総長は次のように述べています。「クリントン元大統領がハイチに活力をもたらすと共に、同国の経済復興・再建へ向けた努力に国際社会が関心を持つような活動に尽力されると確信しています」。  潘事務総長とクリントン氏は今年3月にハイチへ同行した際、現地の人々や同政府が経済的安定を図れるような支援に認識が高まるよう協力することで一致しました。  クリントン氏は次のように述べています。「事務総長からハイチ特使に任命されたことは大変栄誉なことです。ハイチは昨年の自然災害によって大きな被害を受けましたが、政府と国民は災害からの復旧のみならず、持続可能な開発へ向けてより良い社会基盤を築く能力と決意を持っています」  今後、クリントン氏は特使として、ハイチにおける社会・経済の活性化を促すと共に、民間セクター、市民社会、ドナーとの間の新たなパートナーシップや取り組みの重要性に焦点を当て、地域能力の強化に務め、ハイチの将来がより安定・繁栄したものになるよう力を注いでいきます。 ハイチを訪れた際に学校給食制度を視察する潘基文事務総長(右)とビル・クリントン元米国大統領(左から2人目)(ポルトープランスで、2009年3月9日) (C)UN Photo/Eskinder Debebe 国連の Seal the Deal(シール ・ ザ ・ ディール)キャンペーン、はじまる  今年12月にコペンハーゲンで行われる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)において、包括的な地球環境対策への合意が達成されることを目指し、国連は政治的な意志と世論の支持を強めるための「Seal the Deal(合意する)」キャンペーンをスタートさせました。  気候変動は私たちすべてに影響します。現在では発生する災害の10件のうち9件が気候と関連しています。これは恐るべき事実です。気温の上昇や洪水、干ばつ、暴風雨の頻発は、何百万の人々の暮らしに影響しているのです。しかも、地球温暖化と同時に、グローバルな金融危機も進行しています。私たちが地球にもっと関心を向ける必要があることは明白です。  今年12月7日、世界の指導者はデンマークの首都コペンハーゲンに集まり、人類が抱えるもっとも大きな課題の一つ、すなわち「気候変動と持続可能な経済成長」という課題に取り組みます。しかし、地球を守り、長期的な繁栄につながるグリーン経済を実現するには、どうすればよいのでしょうか。COP15では、この疑問に答える必要があります。私たちの生存自体が、これにかかっているからです。  COP15が閉幕する12月18日までに合意をまとめるためには、政治的な交渉だけでなく、全世界からの世論の後押しも必要です。交渉妥結に対する世論の支持を高めなければなりません。国連はそのために、オンラインによるグローバル嘆願書への署名を呼び掛け、これを世界の指導者に提示しようという「Seal the Deal」キャンペーンを開始しました。この嘆願書には、世界の指導者たちがコペンハーゲンで、“公正でバランスのとれた実効的な合意”を成立させなければならないこと、そしてグリーンな成長を推進し、地球を守るとともに、すべての国々と人々にとって利益となるような、より持続可能で豊かなグローバル経済を構築するための話をまとめなければならないことを改めて思い起こさせる役割を持っています。 キャンペーンには、以下の活動が含まれます(予定)。 −2009年6月5日の「世界環境デー」を記念する世界的植林運動 −あらゆる組織に対する「Seal the Deal」参加の呼び掛け −サポーターが「People痴 Seal」をインクに浸してグローバル嘆願書に判を押す「Seal the Deal」大会を世界各地で開催 −「Seal the Deal」気候週間(2009年9月20-26日)を 世界100都市を対象に実施 http://www.sealthedeal2009.org ニューヨークの国連本部で“Seal the Deal”バナー(垂れ幕)に署名とスタンプをする潘基文事務総長。12月に開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議へ贈られる同バナーには、加盟国代表やNGO、国連諸機関の長やスタッフが署名を連ねている(2009年5月14日) (C)UN Photo/Evan Schneider ******************************************************************** 発行:国際連合広報センター 〒150-0001東京都渋谷区神宮前 5-53-70 国連大学本部ビル(UN ハウス)8階 TEL:03-5467-4451 FAX:03-5467-4455 URL:http://www.unic.or.jp/ E-mail:unic@untokyo.jp