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持続可能な開発目標、2016年1月1日に発効 (概観)

プレスリリース 16-007-J 2016年01月01日

 

 

2016年1月1日、「持続可能な開発目標(SDGs)」が正式に発効します。SDGsは、世界のリーダーが2015年9月の歴史的な国連サミットで採択した持続可能な開発のための2030アジェンダに盛り込まれた17の目標です。すべての国々に普遍的に適用されるこれら新たな目標に基づき、各国は今後15年間、誰も置き去りにしないことを確保しながら、あらゆる形態の貧困に終止符を打ち、不平等と闘い、気候変動に対処するための取り組みを進めることになります。

SDGsは、ミレニアム開発目標(MDGs)の成果を土台としながら、あらゆる形態の貧困に終止符を打つための取り組みをさらに進めることをねらいとしています。SDGsの特徴として、貧しい国、豊かな国、中所得国を含むすべての国々に対し、豊かさを追求しながら、地球を守るための行動を求めているという点が挙げられます。貧困に終止符を打つためには、経済成長を推進する一方で、教育や健康、社会的保護、雇用機会といった幅広い社会的なニーズに取り組みつつ、気候変動対策や環境保護を図る戦略が必要だという認識があるからです。

SDGsに法的拘束力はありませんが、各国政府は17の目標の達成に当事者意識を持って取り組むとともに、そのための国内的枠組を確立することを期待されています。SDGsの達成に向けた進捗状況のフォローアップと検証を行う主たる責任は各国にありますが、そのためには良質でアクセス可能、かつ適時のデータ収集が必要となります。国内レベルの分析に基づき行われる地域的なフォローアップと検証は、グローバル・レベルでのフォローアップと検証に貢献します。

グローバル・レベルでは、一連のグローバル指標を用いて17のSDGsと169のターゲットの監視を行いますが、これら指標は現在、統計委員会が策定中であり、2016年3月の同委員会第47会期で合意される予定です。

2016年7月からは、経済社会理事会の傘下で「持続可能な開発に関する国連ハイレベル政治フォーラム」が会合を開き、グローバル・レベルでのSDGs実施のフォローアップと検証を監督します。フォーラムには先進国、途上国のほか、関連の国連主体その他のステークホルダーも加わり、任意で各国の進捗状況を定期的に検証するとともに、報告の提出を促すことになっています。分野横断的問題に関するものを含め、SDGsの進捗状況に関するテーマ別の検証も行われる予定です。

 

2030アジェンダ採択の経緯

2015年9月、150人を超える世界のリーダーがニューヨークの国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」に出席し、新しい野心的な持続可能な開発アジェンダを正式に採択しました。

193の国連加盟国が合意したこのアジェンダ「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、宣言と17の持続可能な開発目標、169のターゲットのほか、実施手段とグローバル・パートナーシップの更新に関するセクション、検証とフォローアップのための枠組から構成されています。

 

ミレニアム開発目標

貧困対策運動として史上最大の成果を上げたミレニアム開発目標(MDGs)は、持続可能な開発アジェンダの踏み台となっています。

ほんの20年前、開発途上地域に住む人々のほぼ半数は、極度の貧困状態で暮らしていました。MDGs発足以来、極度の貧困の中で暮らす人々の数は、1990年の19億人から2015年には8億3,600万人と、半分以下に減少しています。大半の国々では、小学校の就学者数でジェンダーの平等が達成されているほか、データが入手できる174カ国のほぼ90%では、ここ20年の間に、女性の国会議員の割合も上昇しています。

しかし、各地域や各国の進歩は一様ではなく、大きな格差が残っています。最貧層に加え、性別や年齢、障害、民族または出身地を理由に不利な扱いを受けている人々をはじめ、数百万人が置き去りにされています。しかも、気候変動はあらゆる大陸のあらゆる国に影響を及ぼすようになっており、中でも最貧・最弱者層は最も大きな影響を受けています。

 

持続可能な開発

1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)以来、世界は人間の安寧に至る新たな道のりを進もうとしています。それが持続可能な開発です。「アジェンダ21」で提示された持続可能な開発の理念は、将来の世代がそのニーズを満たせる能力を損なうことなしに、現在のニーズを満たす開発と定義されています。

新たな持続可能な開発アジェンダは、2002年の持続可能な開発に関する世界首脳会議の成果文書、2010年のMDGsに関するサミット、2012年の国連持続可能な開発会議(リオ+20)の成果文書、そして全世界の人々から寄せられた見解に基づき策定されています。

国連加盟国はリオ+20の成果文書「私たちが望む未来」で、一連の持続可能な開発目標を策定するため、オープン・ワーキンググループを設置することに合意しました。2014年7月にでき上がったオープン・ワーキンググループの最終案は、新たな持続可能な開発のための2030アジェンダの核心部分となっています。

 

持続可能な開発目標(SDGs)

目標1

あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

目標2

飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

目標3

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する

目標4

すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

目標5

ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る

目標6

すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する

目標7

すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

目標8

すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する

目標9

レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る

目標10

国内および国家間の不平等を是正する

目標11

都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする

目標12

持続可能な消費と生産のパターンを確保する

目標13

気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

目標14

海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する

目標15

陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る

目標16

持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する

目標17

持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する