国連報告書、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた取り組みの加速を要請
2017年07月20日
2017年7月17日 – アントニオ・グテーレス事務総長はきょう、2030年までに世界が貧困を根絶し、気候変動に対処し、平和で包摂的な社会を構築するためには、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた前進を加速すべく、取り組みを強化する必要があるとする国連報告書を発表しました。
グテーレス事務総長は「取り組みは始まっていますが、時間が迫っています。この報告書は、多くの分野での前進が、2030年までにターゲットを達成できるペースをはるかに下回っていることを示しています」と述べています。
SDGs年次報告書は、入手できる最新のデータを用いて、これまでの全世界の取り組みを概観し、誰ひとり取り残さないために、進展が見られた分野と、さらに対応の強化が必要な分野を明らかにしています。
前進は見られるものの、取り組みの加速が必要
1999年以来、ほぼ10億人が極度の貧困を脱していますが、2013年になっても約7億6,700万人が未だ困窮し、そのほとんどは脆弱な状態で暮らしています。
大幅な前進にもかかわらず、栄養不良に陥っている5歳未満児の数は、依然としておびただしい数に及んでいます。2016年の時点で、5歳未満の子ども1億5,500万人が発育不良の状態にあると見られています。
2000年から2015年にかけ、世界全体の妊産婦死亡率は37%、5歳未満の幼児死亡率は44%、それぞれ低下しました。それでも、2015年に妊娠または出産中に命を落とした女性は30万3,000人、5歳未満で死亡した子どもは590万人に達しています
持続可能なエネルギーの分野では、調理用のクリーン燃料と技術の利用率が2000年の50%から、2014年には57%へと上昇しているものの、依然として30億人以上がクリーンな調理用燃料と技術を利用できておらず、これによって2012年には430万人が命を失ったと見られています。
2015年から2016年にかけ、実質8.9%の伸びを示した政府開発援助(ODA)は、1,426億ドルに達し、記録を更新しました。しかし、後発開発途上国に対する二国間援助は、実質3.9%減となっています。
動画:SDGsに関する最新の進捗報告書を発表したアントニオ・グテーレス国連事務総長は、公正なグローバリゼーション、貧困の根絶、気候変動への対処が2030アジェンダのねらいであると述べた©UN News
前進にばらつきも
開発の恩恵は平等に分配されていません。2010年から2016年のデータを見ると、女性は平均して、無償の家事や育児、介護に男性のほぼ3倍にあたる時間を費やしています。
自然災害による経済的損失は現在、年平均で2,500億ドルから3,000億ドルに達していますが、中でも脆弱な小国に不当に大きな被害が及んでいます。
全世界の失業率は、2010年の6.1%から2016年の5.7%へと低下していますが、若者の失業率は成人のほぼ3倍に上っています。2015年の時点で、都市人口の85%が安全に管理された飲料水サービスを利用していますが、農村部ではこの割合がわずか55%にとどまっています。
「貧困に終止符を打ち、あらゆる場所のあらゆる人をさらに豊かにするためには、社会的に弱い立場にある人々のエンパワーメントが欠かせません。」呉紅波(ウ・ホンボ)経済社会問題担当事務次長はこう語っています。
データの力を生かすために
SDGs達成に向けた進捗状況を効果的に追跡するためには、アクセス可能で信頼できる、適時の構成要素に分かれたデータがあらゆるレベルで必要となりますが、これは国内、国際の統計システムにとって大きな課題となっています。
詳しくは次の記事をご覧ください:
特集:国連世界データ・フォーラムに向け、脚光を浴びる統計学者(英文)
データの入手可能性と質は、長年にわたって着実な改善を遂げていますが、統計能力は全世界で依然として改善の必要があります。グローバルな統計関係者は、SDGsに関するデータの作成と利用の全側面に取り組めるよう、システムの刷新と強化を図っています。
「SDGs報告書2017」は、多数の国際・地域機関からの情報提供を受け、国連経済社会局(DESA)が作成したグローバルSDGs指標枠組みの主要指標に関して入手可能な最新データに基づいています。
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原文(English)はこちらをご覧ください。