パリ協定発効に向けた前進に 記録的な支持 ~175カ国が協定に署名~
プレスリリース 16-037-J 2016年04月26日
昨年12月に採択された気候変動に関するパリ協定に対する圧倒的な支持の表明として、175カ国が4月22日、ニューヨークの国連本部で協定への署名を行いました。国際協定への初日の署名数としては、これまでの記録を大きく上回っています。
パリ協定への署名解禁初日に開催された署名式は、協定の発効確保に向けた最初の一歩となりました。パリ協定は、世界全体の温室効果ガス排出量の55%を占める55カ国が批准書を寄託してから、30日後に発効することになっています。
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は「きょう署名した175カ国が国内レベルで次のステップを踏み、パリ協定に加入すれば、世界は協定発効に必要な条件を満たすことになるでしょう」と述べました。
署名式では、気候変動による影響の矢面に立たされている小島嶼開発途上国を含む15カ国が、批准書を提出しました。
2016年中に協定加入の予定であることを表明した国は、オーストラリア、アルゼンチン、カメルーン、カナダ、中国、フランス、マリ、メキシコ、フィリピン、米国を含め数カ国に上ります。さらに、ブラジルや欧州連合(EU)、ロシア連邦をはじめとする国々も、協定加入に向けて必要なステップを迅速に完了することを約束しました。
事務総長は「協定の前進に向けて、これほど多くの支持と政治的な勢いが得られたことを、たいへん嬉しく思います。多国間協調主義の精神が強く感じられます」と語っています。
事務総長はさらに、きょうの署名式に多数の国々が参加し、かつ、市民社会や民間セクターのリーダーとともに、世界の指導者55人が出席したことで、世界が気候対策の決意を固めていることに疑いはなくなったと付け加えました。
パリ気候会議の主催国フランスのフランソワ・オランド大統領は、炭素に価格を設定するうえで、同国がリーダーシップを発揮する意欲を明らかにしました。
署名式には、企業からも多くの代表が出席しました。リーセ・キンゴ国連グローバル・コンパクト事務所長は全世界の企業に対し、最終的に内部炭素価格を1トン当たり100ドルに設定するよう呼びかけました。
キンゴ所長は「パリ協定は、企業と投資家が気候を意思決定の中心に据えなければならないという明確なメッセージを送るものです。私たちは、炭素の内部価格を100ドルに設定することが、企業の戦略と投資に気候を深く埋め込む最も効果的な方法のひとつだと確信しています。先進企業は炭素価格を設定するための措置を講じていますが、すべての企業が意欲と価格をともに高める必要があります」と語っています。
クリスティアーナ・フィゲレス国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局長は「きょうは気候変動と、今後地球上で暮らす数十億人の持続可能な未来に関する国際協力の歴史にとって、重要な意義を持つ記録的な日となりました」と述べました。
また、フィゲレス事務局長は「目下の緊急課題は、次の重要なステップへと進めるようなスピードと規模で、パリ協定のビジョンに沿った道を歩むことです。それはすなわち、世界全体の温室効果ガス排出量を迅速に頭打ちとすること、今世紀後半に気候ニュートラルな世界を実現すること、そして、すべての男女と子どものためにレジリエントな国とコミュニティーを構築することに他なりません」と付け加えています。
パリ協定は、気候変動対策の実施にとって重大な分岐点となりました。各国は数年間にわたる交渉の末、平均気温の上昇を摂氏2度よりもはるかに低い水準に抑えつつ、気温上昇を1.5度に抑えるための取り組みを追求することに合意しています。
協定は採択されましたが、現在の排出量削減の約束が依然として、これら目標の達成に不十分であることを各国は認識しています。パリ協定は進捗状況を審査し、さらに野心的な対策が必要かどうかを検討するため、2018年を皮切りに5年に1回の定期会合の開催を義務づけています。
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