地雷に関する啓発および地雷除去支援のための国際デー(4月4日)
に寄せるコフィー・アナン国連事務総長メッセージ
プレスリリース 06/021-J 2006年04月04日
地雷は残虐な兵器です。紛争が終わって数十年がたっても、この見えない殺人兵器は地中に潜み、新たな死傷者を待ち構えています。こうして、20世紀の戦闘は21世紀に入っても毎年、新たな犠牲者を生み続けているのです。
たった1個の地雷が存在するだけで、いや、その存在の恐れがあるだけで、コミュニティ全体が人質となります。農民は作物を植えられず、難民は帰還できず、子どもが遊ぶことすらできない状況になってしまいます。人道援助の配給は妨げられ、平和維持要員の展開にも支障が出ます。紛争終結後の社会では、地雷が依然として、復興と再生への大きな障害となっています。
それでも、20世紀の苦難は、今世紀早々のサクセス・ストーリーとなる可能性も秘めています。1997年の対人地雷禁止条約が早期に発効したことで、地雷を道徳的に悪とする気運が高まりました。条約は150カ国を締約国とし、すでに具体的な成果を挙げはじめています。30カ国以上では、政府、援助機関、NGO、国連がかつてない規模の協力を展開し、地雷問題に取り組んでいます。地雷の生産数と埋設数はともに減少傾向にあります。グローバルな地雷取引は事実上、終わりを告げました。備蓄の廃棄も進んでいます。地雷除去活動は加速し、地雷の危険性に関する教育も広がりを見せています。
誰の耳にも、もうはっきりとしたメッセージが聞こえるはずです。文明社会に地雷が入り込む余地などないのです。
地雷と爆発性戦争残存物(ERW)のない世界を実現するには、何十年もかかるのではないかと見られてきましたが、これは数年内に達成できる可能性が高まっています。しかし、この理想を実現するためには、援助機関、一般市民、地雷被災国など、私たちの一人ひとりが、地雷の除去に精力と想像力をつぎ込まなければなりません。地雷をこれほど効果的にまき散らしてしまった人間には、一層効果的にこれを除去する責任があります。地雷を1個除去すれば、1人の命が助かるのです。そして、地雷を1つ除去するごとに、恒久的、生産的な平和への条件は整ってゆくのです。
今年の「地雷に関する啓発および地雷除去支援のための国際デー」にあたり、私は各国政府に対し、対人地雷禁止条約と、特定通常兵器使用禁止制限条約の第5議定書(ERWに関するもの)を批准するよう呼びかけたいと思います。援助機関に対しては、地雷対策への資金提供の決意を新たにするよう要請します。国際社会に対しては、クラスター爆弾の人道面、開発面への影響に取り組むよう求めます。そして被災国に対しては、地雷生存者のリハビリと社会復帰を確保し、地雷対策に投入する資源を増やすよう、お願いしたいと思います。私たちは一丸となり、高尚な道徳的使命として、地雷という害悪と闘ってゆかなければならないのです。