2009年6月11日
国連総会
第63回会期
議事日程議題10、101、107および112
平和構築委員会報告書
平和構築基金に関する事務総長報告書
ミレニアムサミット成果文書のフォローアップ
国際連合システムの強化
紛争直後の平和構築に関する事務総長報告書
(A/63/881-S/2009/304)
要約
安全保障理事会は、2008年5月20日の安保理議長声明(S/PRST/2008/16)において、事務総長に対し、持続可能な平和をより迅速且つ効果的に確保しようとする国家の努力をいかにして支援するのかについて、調整、文民の展開能力および資金供与の分野におけるものも含め、助言を与えるよう招請した。
本報告書は、紛争後の国々および国際社会が、ある国における主要な紛争が終了してから2年以内と定義される、紛争の直後に直面する問題に焦点を合わせたものである。第Ⅱ節では、過去の平和構築の経験について省察し、本報告書の中心的なテーマとして国民の主体的取組という緊急の課題を強調し、また、紛争後早期の事態の具体的な状況から生じる独特の課題に光を当てる。平和に対する脅威は、しばしば、この早期の段階で最大のものとなるが、それはまた、当初から物事を良い方向へと循環させる機会でもある。
紛争直後の時期は、基本的な安全を確保し、平和の配当を提供し、政治的プロセスにおいて信頼を強化し、構築し、また、持続的な平和の基礎の構築を開始する、平和構築の努力を指導する国家の中核的な能力を強化するための機会を提供している。もしも、国家が、早期にこれらの目的への取組において成功を収めるビジョンや戦略を策定することができるならば、それは、最終的に、持続可能な平和の機会を増大させ、また、紛争に再び陥る危険を減少させることになるだろう。あまりにも多くの事例において、私たちは、この早期の機会を見失ってきたのである。第Ⅲ節では、これらの中核的な目的に直接関係し、それらのために紛争後の早期にしばしば国際的な援助が要請される、いくつかのくり返し問題となる優先事項を確認する。機会の窓を開くためには、最低限、国際的な関係者が、一貫して、迅速に、且つ効果的に、これらの優先事項を支援する能力を持つことが必要である。
第Ⅳ節では、紛争後の対応の効率と有効性を高めるために、国際連合によって今日までにとられてきた努力について叙述し、さまざまな国際連合の諸機関にまたがる、異なる職務権限、管理の組織および資金供与の取極に関連する、国連がより立ち入った改革をするのを妨げている、組織的な課題を確認する。
第Ⅴ節では、紛争直後の国際連合の対応を強化し、並びに、より幅広い国際社会からの、より早期の、より一貫した対応を促進するための課題について述べている。この課題の中核的な構成要素には、以下のものが含まれる。(a) より強力で、より効果的で、よりよく支援された、現地の国際連合指導チーム、(b) 優先事項に関する早期の合意およびそれらの事項に関係する資源の調整、(c) 当初から国民の主体的取組および能力開発に対する国際連合の支援を強化すること、(d) 最も緊急の平和構築のニーズを満たすための知識、専門的技術および派遣可能な要員を提供するための国際連合のシステムの能力を、特定の分野において比較優位性を持つ協力者との協調のもとに、合理化し、強化すること、並びに、各国が、世界的に、最も関連性のある能力を確認し、利用するのを援助すること、(e) 資金供与メカニズムの迅速性、調整、柔軟性、およびリスク許容性を強化するために、加盟諸国、とりわけ、援助提供国と協力すること。
第Ⅵ節では、紛争後の国々の支援に関する平和構築委員会の決定的に重要な役割について検討し、本報告書が取り上げている紛争後早期に関する同委員会の諮問的な役割をいかに強化することができるのかについて、加盟国が検討するためのいくつかの提案を示すことにする。
Ⅰ.序
- 安全保障理事会は、2008年5月20日の安保理議長声明(S/PRST/2008/16)において、事務総長、平和構築委員会、国際機構および地域的機構並びに加盟諸国に対し、より迅速に、より効果的に、持続的平和を確保するために、紛争の影響を受けた諸国の国内的な努力をいかにして支援するのかについて、調整、文民の展開能力および資金供与の分野におけるものも含め、検討するよう奨励した。安全保障理事会はまた、事務総長に対し、12か月以内に、関係の国際連合機関に対して、国際連合システム内でこれらの問題についていかにして最善の形で歩を進めることができるのか、また、平和構築委員会の見解を考慮に入れて、いかにして平和構築活動を調整し、緊急の平和構築のニーズのための資源の動員と効果的な利用を奨励するのかについて、助言を与えるよう招請した。それに従い、平和構築委員会との協議の後に、私は本報告書を安全保障理事会および総会に提出する。
- 本報告書は、紛争後の諸国および国際社会が、ある国における主要な紛争が終結してから2年間と定義される、紛争直後に直面する課題に焦点を合わせている。大規模な暴力が終結したとき、その国の指導者と国民が直面する課題は、けた外れのものである。事態は流動的で、平和はしばしば脆く、人々のニーズは、それを満たす能力よりもはるかに大きい。平和に対する脅威は、しばしば、この初期段階において最大のものとなるが、しかし、それはまた、当初から物事を良い方向に循環させる機会でもある。
- 紛争直後の時期は、基本的な安全を確保し、平和の配当を提供し、政治的プロセスにおいて信頼を強化し、構築し、また、平和構築の努力を指導する国家の中核的な能力を強化するための機会を提供している。もしも、これらの中核的な分野で早期に各国が成功を収めることができるならば、それは、持続的な平和の機会を実質的に増大させ、紛争に再び陥る危険を減少させることになる。
- 平和の構築は、第一義的には、国内の関係者の責任であるが、国際社会は重要な役割を演じることができる。あまりにも多くの事例において、私たちは、この早期の機会を逃しているのである。たびたび、私たちは、現地で即時の具体的な結果をもたらす対応を促進するのに失敗してきた。しばしば、必要不可欠な政府機能が再開し、または、基本的なサービスが利用できるようになるまでに、何か月も掛かってきた。いくつかの事例においては、国際社会が共通の戦略ビジョンのもとにその努力を調整するまでに、数年を要してきた。現地の緊急の需要を満たすには、能力と資源が不十分だった。能力は限られているが、私たちは、しばしば、平和な未来に対する自信と関与を強化しうる、限定的な一連の合意された成果に希少な資源を集中しようと、懸命に努力してきた。
- 国際社会の中で、国際連合は、平和構築に関して決定的で重要な役割を演じてきた。同時に、国際連合システムは、紛争後の諸国を支援するために活動するいくつかの関係者の中の一つに過ぎず、このより幅広い国際的な努力の結束が、存続可能な平和を建設するための諸国の努力が成功するのを援助するカギとなる。どの関係者も単独では、平和構築のいかなる優先分野においても、ニーズを満たす能力を持たないので、主要な地域の関係者および国際的な関係者間の連携と調整が不可欠である。
- 本報告書において、私は、平和構築の教訓をいくつか省察し、また、国連の対応を強化し、並びに、早期のより一貫した対応を促進するための課題について詳しく述べている。この課題の核心をなす要素には、以下のものが含まれる。(a) より強力で、より効果的で、よりよく支援された、現地の国際連合指導チーム、(b) 優先事項に関する早期の合意およびそれらの事項に関係する資源の調整、(c) 当初から国民の主体的取組および能力開発に対する国際連合の支援を強化すること、(d) 最も緊急の平和構築のニーズを満たすための知識、専門的技術および派遣可能な要員を提供するための国際連合のシステムの能力を、特定の分野において比較優位性を持つ協力者との協調のもとに、合理化し、強化すること、並びに、各国が、世界的に、最も関連性のある能力を確認し、利用するのを援助すること、(e) 資金供与メカニズムの迅速性、調整、柔軟性およびリスク許容性を強化するために、加盟諸国、とりわけ、援助提供国と協力すること。もしも、私たちが、明確な一連の優先順位を持つ初期戦略に合意し、その戦略を支持して行動と資源を調整するならば、国家当局、国際連合システム、およびその他の国際的な協力者は、より大きな、より早期の集団的な影響力を持ちうる。
Ⅱ.関連の状況および国民の主体的取組の必要
- どの紛争後の状況も、それぞれ独特のものであるが、国際連合は幅広い経験を積み重ねてきており、私たちは、紛争から脱却する数十の国々への支援から多くの教訓を学んできた。まず何よりも、私たちは、平和の構築が、国家の課題、国家の責任であることを知っている。国内の関係者のみが、彼らの社会のニーズと目標に十分な形で取り組むことができる。国民の主体的取組という緊急の課題は、私たちが遭遇する、紛争後初期の事態の具体的な状況から生じた独特の課題と同様、本報告書の中心的なテーマである。
- 差はあるものの、ほとんどの国々において、紛争後の初期は、かなりの不安定性と政治不安によって特徴付けられている。私たちは、国家が依然として脆く、かなり不安定な状態であることが、しばしば、和平プロセスと同時に起こることを学んできた。国家の一部分での安定は、他の部分における継続的な暴力と共存しうる。人道上の危機と人権侵害は、敵対行為の公式の終了後も、引き続き明らかになることだろう。紛争の終結は、平和の到来を必然的に意味するものではなく、政治的コンセンサスおよび信頼の欠如はしばしば継続し、紛争の根本原因は根強く残る可能性がある。また、人々が、破壊され、若しくは占拠された家に帰還すると、緊張が増す可能性がある。紛争前、紛争中および紛争後に起こりうる、性的な、ジェンダーに基づく暴力を含む、重大な犯罪や残虐行為の不処罰は、この初期の段階での平和構築の努力を大いに損ないうる。国家権力の回復の失敗は、とりわけ遠隔の国境地区においては、新たな脅威の原因を作り出し、若しくは、国家収入を損なう、天然資源の密輸または不法取引という戦時の悪習がくり返され、拡大しさえするのを許すことになる可能性がある。
- それにもかかわらず、紛争の終結は、具体的な政治的、社会的および経済的配当の提供に対する高い期待を作り出す傾向がある。和平プロセスに対する信頼の醸成には、少なくとも、これらの期待のうちのいくつかが満たされる必要がある。同様に重要なのは、少なくとも、短期的に何を達成しうるのかについての現実的な期待を作り出すための、国家当局と住民との間の効果的なコミュニケーションと包括的な対話である。
- また、主要な国内の当事者間に基本的なレベルの政治的意思、公約およびコンセンサスが存在することが必要であり、それなくしては、大半の平和構築の努力は、まったくの無駄であろう。コンセンサスの成立しうる範囲は、暴力行為の停止の条件、和平協定の質および和平プロセスの性格に大きく依存するであろう。いくつかの和平プロセスは、強固で包括的であり、その結果、住民の広範な党派を超えた支持を得ている。私たちが、カンボジア、グアテマラ、エルサルバドルおよびナミビアにおいて見たように、平和構築の努力は、依然として履行するには複雑であったものの、紛争の原因に取り組むための詳細な協議事項から恩恵を受けていた。しかしながら、多くの和平プロセスは、より脆く、進行中の暴力行為や平和破壊者からの抵抗に直面しながら平和を保持するための、国際的な関係者および国内の関係者による、注意深い政治の強化と断固とした努力を必要としている。いくつかの協定は、持続可能な平和のための最低限の条件を確立し、または、紛争解決のための協議事項を確立することにすら失敗している。
- いくつかの紛争後の国々においては、和平プロセスが依然進行中で、安定した政治秩序がまだ確立していないために、十分な国民の主体的取組を発揮する能力と意思が制限されているかもしれない。紛争後の国々の多くは、紛争後最初の選挙までは、移行期の政治的取極によって統治されている。国家当局は、しばしば、選出ではなく任命されており、仲介によって結ばれた、住民を十分に代表してはいないであろう、または、住民によって承認されてはいないであろう紛争当事者間の協定によって地位についている。加えて、国際社会が関与しなければならない国内の関係者のうちのいくつかは、過去に人権蹂躙や重大な残虐行為に関与している可能性がある。
- かかる複雑で急速に展開していく事態における国際的な支援は、それ故、基本的に、政治的で、しばしば高い危険を伴う試みなのである。国民を代表しない指導者の権力を強化し、または、あるグループに対し、他のグループの代償によって権力を付与することは、紛争の原因を悪化させ、または、新たな緊張の原因を作り出すことになる。国際的な関係者は、これらの考慮を念頭におく必要がある。現地の伝統的権威並びに疎外されてきた集団を含む市民社会の関係者は、初期の優先事項の設定のために、多元的な声を交渉のテーブルに届けるのに、また、国の将来のための共通のビジョンをめぐり国民の主体的取組の意識を広げるのに、決定的な役割を演じる。これらのプロセスへの女性の十分な参加は、紛争の犠牲者であるが故に、また、復旧と発展のための重要な推進者であるが故に、不可欠である。
- 国内の政治状況を超えて、平和構築の条件を確立することはまた、地域の関係者および国際的な関係者によって大きく影響を受ける。多くの紛争が国境を越える側面を持つことを考えると、近隣諸国および地域的機構並びに準地域的機構は、平和構築プロセスの支援について、決定的な役割を演じ、また、それに見合った責任を有する。地域的機構は、和平協定の仲介、保証およびその履行の監視に関することを含め、徐々に和平プロセスの最先端に位置するようになってきている。
- 国際連合の政府間機関、個々の加盟国、およびその他の国際的な利害関係者の支援は、一つの主要な関係者による非生産的な行動さえも大変な損害を与えうる、紛争の直後において決定的に重要であることが、明らかになってきている。安全保障理事会は、和平プロセスおよび平和構築の開始に対する強い国際的な関心と支援を示し、全ての利害関係者に対し、建設的な支援と関与を要求し、また、特別政治ミッション、専門家委員会およびその他の措置を含む、数多くの可能な措置を許可することについて、不可欠の役割を演じている。
Ⅲ.くり返し問題となる平和構築の優先事項
- 私たちは、大規模な暴力が終結したとき、人々のニーズは、国内の関係者または国際的な関係者の能力をはるかに超えたものとなりがちである、ということを知っている。この不均衡を考慮して、紛争後の初期の国内的な努力および国際的な努力は、治安の確立、政治的プロセスにおける信頼醸成、初期の平和の配当の分配、および、国家の中核的な能力の拡大という、最も緊急で重要な平和構築の目標を実現することに焦点を合わせるべきである。
- 課題は、それぞれ独特の状況において、いずれの行動がこれらの目標に最も資することができるのかを確認することである。仲介およびその支援活動の強化に関する事務総長報告書(S/2009/189)に概略を述べているように、和平協定は全般的な枠組を提供すべきであるが、しばしば、それらは過度に広範で、野心的で、ときには、予備的な協議事項を述べているに過ぎない。加えて、優先事項の設定は、国際的な関係者が何を供給しうるのか、または、供給したいのかによって推進されるのではなく、その国家の特有の条件とニーズを反映しなければならない。私たちの計画と行動はまた、現地に存在する能力―国内的なもの、地方的なもの、または国際的なもの(活動可能な国際連合の機関、基金および計画を含む)のいずれであれ―に関する明確な理解を反映しなければならない。これらの能力と活動を拡大することは、それが適当な場合は、当初の数か月間に、最も迅速で最も効果的な結果をもたらしうる。
- 加えて、過去20年余りの間に積み重ねられた経験および分析、並びに、本報告書の準備のために実施された国内の実務家および国際的な実務家へのおびただしいインタビューは、紛争直後に優先事項としてしばしば国際的援助が要請される、いくつかのくり返し問題となる分野を指摘している。組織犯罪や天然資源の管理のような、その国特有の追加的な優先事項が、常に存在するであろう。しかしながら、紛争の直後に機会の窓を開くには、国際的な関係者が、最低限、一貫して、迅速に、且つ効果的に、上に述べた中核的な目標に直接関連する、これらの分野で対応する能力を持つことが必要である。それらは、
- 地雷関連活動、一般市民の保護、武装解除、動員解除および再統合、法の支配の強化、並びに、治安部門改革の開始を含む、基本的な安全に対する支援。
- 選挙プロセス、包括的対話および和解の支援、並びに、国家的レベルおよび地方的レベルにおける紛争管理能力の増進を含む、政治的プロセスに対する支援。
- 水および公衆衛生、医療および初等教育のような基本的サービスの提供に対する支援、並びに、国内避難民および難民の安全且つ持続的な帰還と再統合に対する支援。
- とりわけ、基本的な公行政および公財政における、中核的な政府の機能の国家的レベルおよび地方的レベルでの回復に対する支援。
- とりわけ、若者および動員解除された元戦闘員のための(農業および公共事業における)雇用創出と生活手段を含む、経済の再活性化、並びに、基本的なインフラストラクチャーの復興に対する支援。
- 基本的な安全は、国家によって確保されるものであれ、国際的な援助によって確保されるものであれ、住民にとって不可欠であり、また、必要とされる政治空間を作り出し、国際的な援助の提供を可能にするために不可欠である。政治プロセスを支援し、安定した平和的な政治秩序を再建することが、中心的な目標でなければならない。紛争後の政府は、その正統性と実効性を回復する助けとなるであろう、基本的なサービスを提供し、不可欠な治安を確保し、法の支配を強化し、人権を保護し、促進する能力を含む、国家の中核的な能力を構築する必要がある。早期の雇用の促進および帰還者の支援を含む、国家当局に帰することができる、目に見える平和の配当はまた、政府におよび和平プロセスに対する信頼を醸成するのに決定的に重要である。経済の復旧の活性化は、治安の最大の支えの一つとなりうるものであり、将来の復旧の原動力を提供するものである。これらの優先分野は、これらの分野の互いに関連し、相互補完的な性格を反映して、2005年世界サミット成果文書におけるものも含め、加盟国によってくり返し強調されているように、開発、平和および安全並びに人権にまたがっている。
- これら全ての分野にまたがった国家能力の開発は、ただちに始めなければならない。あまりにも頻繁に、能力開発は紛争後の国家からの出口戦略との関係で見られてきた。いつものことながら、これではあまりにも遅すぎる。能力開発に対する無関心は、国内の関係者が復旧で主体性を発揮するのを制約し、国家とその人民との間の説明責任を制限する。それは、当初から全ての平和構築活動において中心的要素でなければならず、とりわけ、管理可能な優先事項を伴う明確なビジョンを作り上げるために国家の指導者層を強化することを目標としなければならない。
- 優先事項を適切なタイミングと順番で実施するには、一貫した戦略の枠組のなかでの、微妙なバランスと困難な取引が必要である。たとえば、早期に治安を確保することは、紛争に再び陥るのを阻止し、和平プロセスに対する潜在的な平和破壊者を抑止するために不可欠であろう。生計を得る機会を確立し、家、土地および財産に対する問題に取り組むことは、しばしば早期に強調される必要がある。なぜなら、それは、人々の最も差し迫ったニーズを満たすのを援助し、それによって、平和に対する信頼並びに関与を深めるからである。その他の優先的な行動は、紛争後あまりにも早く追求された場合には、脆い平和を損ないうる。選挙プロセスは、より正統な政治当局を提供しうるが、もしも、それが急がれていて、政治的環境が実施に資するものでない場合には、また、もしも、技術的な制約に十分に注意が払われず、生まれたばかりの政治プロセス、コミュニティーの参加および市民社会の強化と育成の必要が無視される場合には、緊張と新たな紛争の原因となりうる。軍隊や公務員が再編成されなければならない場合にもまた、しばしば微妙な問題が存在する。過去に、国内の主体および国際的な主体は、おそらくは、ある分野ではあまりにも急いで動き、一方、他の分野ではあまりにも動きが遅く、信頼の醸成と緊張の拡大との間のバランスを崩していた。紛争後の2年間において、最大の戦略的な課題の一つは、短期間に行動をとり、決定を下すことが、中期、長期の平和構築を損なわないことを確保することである。
- 復旧の努力は、男性のニーズを優先するかもしれないので、女性や少女のニーズにより注意が必要である。紛争においては、女性がコミュニティーの指導的な役割や非伝統的な雇用を引き受けていたかもしれず、紛争後の早い時期には、紛争中に生じたであろうジェンダー関係の変化に乗ずる決定的な機会が、女性に訪れる。しかしながら、統治および経済において、男性の指導者層とともに活動し、彼らの重要性を認めるという部外者の傾向は、女性の能力が十分な承認や資金供与を受けられないかもしれない、ということを意味する。女性の周辺化は、性的暴力が紛争の主要な特徴となっていて、治安や女性の社会的地位を損なっている状況の中で、助長されうる。安全保障理事会が、安保理決議1820(2008年)において留意したように、執拗な暴力、脅迫および差別は、紛争後の公的生活への女性の参加と十分な関与に対する障害であり、紛争後の平和構築を含め、永続的な平和、安全および和解に対し、重大な負の影響を与える。
- 過去20年余りの間に、私たちは、いかなる単一のひな形も、流動的で複雑な状況に適用できない、ということを学んできた。柔軟性と適用可能性の維持は不可欠であり、一方同時に、国際法と人権の基本原則を尊重することも不可欠である。しかしながら、これは、予測可能性と迅速性を犠牲にして実現されてはならない。最低でも、私たちは、これらのくり返し問題となる優先分野において、支援を提供する用意を整えておく必要がある。過去においては、不十分な組織、優先順位付けと共通の評価・立案という対処法への抵抗、いくつかの優先分野における能力の欠如や他の優先分野におけるかなりの展開の遅れ、および、適切さに乏しい資金供与メカニズムを通じて提供された不十分な資金供与を反映して、私たちの対応は、遅く、断片的であった。私たちの集団的な任務は、絶対的に必要なものでない限り、新たなメカニズムを創設するという誘惑に抵抗することである。むしろ、私たちは、何が機能しているのかに関する私たちの経験に基づき、紛争から脱却しつつある諸国の支援のための、より予測可能で、一貫した、的を絞った対処法を確保する能力を構築し、強化すべきである。
Ⅳ.今日までの国際連合の努力と組織的課題
- 過去数年間に、国際連合は、政治、平和維持、安全、人権および人道から開発活動に及ぶ、いくつかの分野における改革の努力を通じて、能力と有効性を強化するために活動してきた。これらの構想の共通のテーマの中で焦点となっているのは、より一層の結束と調整、役割と責任の明確性、一貫した統合戦略、主要な関係者間のより強い協力関係、および、より大きな予見可能性と説明責任への移行である。人道分野では、プールされた資金、特定の分野において強化された調整、能力および説明責任、並びに、国家レベルの指導者層に対する強化された支援を通じて、進展が見られるようになっている。平和維持においては、私たちがより一貫して、また効果的に、平和および安全に対する支援に関与できるようにするために、地域的機構および準地域的機構との協力枠組が立案され、深化しつつある。諸国が持続可能な平和と発展の基礎を確立するのを援助するための努力を維持し、拡大するために、人道援助が時につれ減少していく一方で、調整の取極、増強された能力、プログラムおよび基金が存在するのを確保するよう、開発援助および人道援助の関係者は、緊密に協力してきている。しかし、これらの努力の多くは、深刻な組織的障害に遭遇してきている。たとえば、自発的な臨時の資金供与取極は、結果に対する真の予測可能性と説明責任を作り出そうとする多くの企てを挫折させてきた。加盟諸国は、多くの優先分野のための常設能力を、ほとんど、またはまったく支援してこなかった。
- 紛争から脱却しつつある国家を支援して、国際連合システムの全力を集中することは、比類ない重大な課題を提示している。国際連合は、平和と安全、人権、開発および人道活動の分野において能力を深化させてきており、平和構築の成功には、これら全ての「柱」の一体となった努力が必要である。しかしながら、これらの能力を持つ国際連合の機関は、それぞれ異なった目的のために立案されたものである。それぞれが、異なった職務権限、指導原則、管理組織および資金供与の取極、並びに、物事がいかになされるべきかについて異なる文化と観念を持っている。実行が積み重なるにつれ、国際連合のそれぞれの部分は、独自の一連の外部の協力者や利害関係者を作り出していった。これは、現地における目的および行動の統一性を混乱させる要因となっている。国際連合のさまざまな部分が、まことに当然ながら、それぞれが独自の作業速度と説明責任を持つ、異なる国際機関と結びついている。この状況において、現地で「一体となって提供する」ための私たちの努力は、きわめて重要だが、十分ではない。国際連合システム全体にわたる管理の断片的な性格は、加盟諸国が、平和構築に関連する問題を扱う多元的な国際連合の機関に対し共通の立場をとり、また、紛争直後におけるより迅速で効果的な対応のために国連をよりよく構成するために私たちと緊密に協力する必要があることを明らかにしている。
- この点に関して、より強い結束を確保するための主要なメカニズムは、平和構築委員会である。2005年の当該委員会の設立は、紛争から脱却しつつある諸国における重大な空白、ニーズおよび優先事項に取り組む一方で、関心を持続させ、資源を動員し、結束を強化するための専用の国際連合のメカニズムが必要である、と加盟諸国が認識したことを反映するものである。当該委員会は、その独特の構成と作業方式を通じて、その議事日程に載っている諸国における平和構築に対する包括的且つ統合的な対処法を促進してきた。当該委員会は、2010年にこの5年間の再検討をする準備に取り掛かっており、それが今日までに、ブルンジ、シエラレオネ、ギニアビサオ、および中央アフリカ共和国の支援において得てきた教訓は、国際連合の平和構築の構造を強化すること、および、当該委員会の諮問的役割の発展しつつある性質と範囲について情報を提供することに貢献しうるであろう。
Ⅴ.一貫した効果的な対応の支援:行動のための課題
- 私は、とりわけ、国際連合の指導力および提供能力並びに国際連合システム内でのより高いレベルの明確性、予測可能性および説明責任を確保することによって、紛争後の早期における国際連合による対応を改善すると固く約束している。これには、国内の相手方と協力して、明確に規定された優先事項を備えた早期戦略を設定し、また、その戦略を支える行動と資源を調整する権限を与えられた、より強力でよりよく支援を受けた指導チームが必要である。本報告書は、これらの目標の達成のための課題について述べている。
- この課題の構成要素は、相互に関連している。優先事項に合意し、共通戦略に向けた取組を進めるには、有効且つ有能な指導者層が必要である。しかし、一貫した戦略は、それを実施し、資金を供与する能力と資源がなければ、意味はない。合意された優先事項に関係する資金供与の決定の調整は、同じ方向に全ての関係者を向かわせる一助となりうる。ある一つの要素が欠如し、または弱いことは、他の全ての要素を損ないうる。しかし、それらはまた、相互補完的でありうるものであり、それ故、持続的平和の探求において国内の関係者を支援する私たちの能力を増大させうるものである。
- この課題は、敵対行動の停止前に現地に存在した制度を発展させ、必要ならば改善し、強化するものである。紛争前、紛争中および紛争後に、常駐調整官―しばしば紛争中の、ときには紛争後の人道調整官も兼ねる―によって率いられる、国際連合国別現地チームが存在している。ひとたび紛争が終結すると、国際連合の現地関与はさまざまな形で構成される可能性があり、また、その現地関与は、適切な場合には、非常駐機関の能力を導入することも含め、最初の2年間に徐々に発展する可能性がある。現地関与の構成のいかんにかかわらず、国際連合およびその協力者は、通常、かなりのその国の専門知識と、紛争後の早期に人道原則に基づく人命救助の支援を継続して提供する、現地における人道援助能力を持っている。これらの能力のうちのいくつかはまた、とりわけ、人道と開発の双方の職務権限を持つ国際連合児童基金、国際連合食糧農業機関、世界食糧計画(WFP)および世界保健機関のような機関を通じて、早期の平和構築の優先事項に転用しうる。これらの機関はまた、早期復旧クラスター・ネットワークにおいて、最も早い機会に復旧を開始するために、国際連合開発計画(UNDP)とともに活動している。これは、たとえば、医療および教育における不可欠のサービスを拡充し、または、不可欠なインフラストラクチャーを復興することによって、最初期の段階で対応を活性化し、早期に平和の配当を提供し、また、重要な分野における国家の能力を開発する一助となりうる。
- この時期にはまた、安全保障理事会が、多機能型の平和維持活動または特別政治ミッションの展開を命じるかもしれない。過去10年以上の間、国際連合は、統合ミッションとの関連で、平和構築の支援に関心を集中し、経験を蓄積してきた。統合ミッションは、国家レベルでの国連活動の相互依存性と、おもに指導と立案のレベルにおける統合を通じた、これらの努力間のより強い結束の必要性の認識から生まれたものである。これは、国家組織と住民に対する調整された関与および彼らに対する支援がしばしば不可欠である平和構築活動との関連で、とりわけ重要である。より近年、私たちは、統合の原則を、紛争後の諸国における、より広範な一連の統合された国際連合の現地関与に適用し始めている。また、私たちは、国際連合ミッションと国別現地チームとの間の戦略的協力関係を強化する、たとえば統合戦略枠組のような新たな手段を立案している。これらの努力の主要な目標は、本報告書に述べられた課題、すなわち、国際連合の対応の個別的および集団的な影響を最大化するということと密接に関係してくる。私たちがより効果的な統合へと向かうにつれ、私たちはまた、国際連合の規則が国家レベルでの異なる国際連合の機関の協力を可能にし、促進するのを確保するために、加盟諸国の支援を必要とするであろう。
効果的な指導、調整および説明責任
- 本報告書に述べられた課題の中核的な要素は、より強力で、より効果的で、よりよく支援された現地の国際連合指導チームが必要だ、ということである。これは、国際連合機関の間の結束と集団的影響を強化するだけでなく、他の国際的な関係者からのより一貫した対応を促進することにもなるであろう。安全保障理事会が留意したように、しばしば、紛争後の状況において、とりわけ、最初期の段階で、より広範な国際的努力の調整について国際連合が現地で指導的役割を演じる必要があった。これらの期待にもかかわらず、国際連合は、本報告書が取り組もうとしている、数多くの重大な障害に遭遇してきた。
- 国際連合は、近年、劇的に平和維持ミッションまたは政治ミッションが、その数、規模および複雑さを増すにつれ、指導能力の差し迫った必要に迫られている。この課題のけた外れな性質と範囲は、きわめて独特のプロフィールを必要としている。ミッションの指導者は、必須の政治交渉と仲介の専門的知識、深い地域の知識および必要な言語能力に加えて、理想的には、大規模で複雑な組織の戦略立案と管理に関する立証済みの経験を有するべきである。個人が単独で必要とされる技術と専門的能力を全て有することはありそうにないので、適切な場合には、国際連合の国別現地関与の政治、平和維持および開発の各構成部門の上級指導部を一つにまとめる、うまく統合された指導チームを育成し、強化することに、解決が見出されなければならない。個々の任命は、指導チーム内での相互補完的な技術や能力の全般的なバランスに寄与するものでなければならない。
- これに留意して、国連は、引継ぎ計画を立案し、各ミッションを通じた上級職の必要条件を明確に示す努力を進めつつある。それには、女性にとくに力点を置いて、潜在的な候補者に接触すること、各国政府、地域的機構および非政府機関との連絡を強化すること、並びに、国際連合システム全体の協力関係および主要な多数国間協力機関との協力関係を強化することが含まれる。その結果、これらの協力者は、現地の独特の需要をよりよく理解することができ、また、これらの骨の折れる責務を引き受ける能力のある潜在的な候補者の集団を育成するのをよりうまく援助することができる。
- 任務の重大さを考えると、指導チームは、小規模な統合された専門家チームという形をとり、事前に指名されている追加の専門家によって迅速に補充されうる、分析・計画立案・調整能力によって支援を受ける必要がある。これらのチームは、政治プロセスに積極的に結びつけることを含む、国際連合の対応のさまざまな部分を結集させるための支援を提供し、また、国内の関係者および国際的な関係者に共通する取り組み方を促進する。現在のところ、かかる能力は存在するが、効果的な戦略的対応を支援するのに必要な専門家の水準と範囲を、依然かなり下回っている。専門家は、引き続き、ばらばらに異なる規則に従って、国際連合の国内現地関与の個別の部分を支援するために、展開されている。これは、彼らが一致協力して、速やかに到着し、効果的に活動する能力を低下させている。常駐調整官に対する支援は、とりわけ弱い。なぜなら、ちょうど、復旧活動の評価、計画立案および調整の必要が増大し始めているときに、人道問題調整室によって提供される人道援助調整のための支援が縮小され、それにつれて、かかる支援は、常駐調整官事務所のかなり乏しい能力に引き継がれるからである。
- しかしながら、本部には、現在、国レベルの指導部をチームという観点から見て、その任にふさわしい指導チームが存在し、適切に支援されるのを確保する、いかなるメカニズムも存在しない。かかる強化された指導能力と支援は、現地の国際連合の事情にはかかわりなく、あらゆる平和構築の状況において必要とされている。それ故、私は、本部の指導部局に対し、本部の他の重要な機関とともに、できるだけ速やかにその任にふさわしい指導支援チームの存在を確保する上級レベルのメカニズムを創設するよう求めてきた。これには、私たちの上級職員が、いかにしてうまくチームとして機能しうるのかにより注意を集中することも含まれる。上級レベルでより大きな注意を払うことは、今日までの大半の努力について見られた遅れと断片的性格を回避し、また、指導者と支援チームを、必要な場合に、指名し、募集し、展開するための、並びに、明白な問題が生じる場合にはトラブルに対処するための、既存のメカニズムを加速し、適応させる一助となろう。関連の事務局の部局および開発活動調整室によって現在進められている、現地の指導者の利用できる能力を強化するための努力は、強化され、加速されている。これらの能力は、査定された予算を通じて、または、予算外の資源によって、資金を供与される。私は、加盟国に対して、共有された分析・計画立案・調整能力を強化できるようにするために、既存のこれらのメカニズムを通じて必要な資金が利用できるようにするよう促す。
- 国家レベルの指導力を強化するにはまた、現地における国際連合の事情にかかわりなく、現地関与機関がより切れ目なく一貫した形で既存の能力を利用できるようにするために、本部からの指導と支援を改善することが必要である。現在、統合タスクフォースが、全ての関連の紛争諸国および紛争後の諸国ために、指導部局によって招集されている。それは、国際連合の国内の現地関与機関に対する一貫した支援を促進するために、本部の国際連合のあらゆる関連の部局および機関を結集させることを意味する。しかしながら、これらの本部のタスクフォースによって現地に提供される支援の質は、不均等で、戦略的な指針と現地のニーズに十分に焦点を合わせたものではなかった。この問題は、私の上級管理官によって取り上げられている。彼らは再検討を開始しており、今年後半に、いかにしてこれらのタスクフォースをより効果的で現地のニーズに責任を負うものとするのかについて、勧告を提出する予定である。
- また、より全般的に、現地に対する、一貫した、予測可能な本部の支援と指針の中核的な要素を再検討する必要もある。これには、とりわけ、政治ミッションまたは政治事務所がまったく存在していない、武力紛争、政治危機、または政治的緊張拡大の状況における、既存の常駐調整官の枠組とメカニズムを発展させた、常駐調整官および国際連合国別現地チームに対する一貫した本部の支援と指針の提供を再検討することも含まれる。私は、この再検討に基づいて、私の関連事務次長との契約に、本部の支援の期待可能性に関する条項を組み入れ、その進展を見守る予定である。国際連合の国別の活動に対する本部の支援のための財源は、その国の政治的ニーズおよび活動上のニーズに従って、増減できる必要がある。
- 現地の国際連合機関の間でより一貫した対処法を確保する上級指導者の権限の強化には、より強固な説明責任メカニズムが伴わなければならない。私は、本部の全ての事務次長および事務次長補について「上級管理者契約」を導入したが、事務総長特別代表またはミッションの長に関しては、同様のメカニズムは存在していない。それ故、私は、事務総長特別代表の説明責任を、その実質的な義務と責任を反映するために、強化するための措置をとりつつある。
- 現地の上級国際連合指導部には、優先事項および責任の分担について合意するために、全ての国際連合の機関を招集する権限が必要であり、そしてそれらは国連の統合戦略枠組において反映されなければならない。この枠組は、合意された責任を果たすための、国際連合の現地関与機関の上級代表と構成員との間の相互説明責任メカニズムとして用いうるであろう。相互説明責任制度は、国連の国内指導部の、国際連合の諸機関が共通戦略の支援について責任を果たすのを確保する権限を強化し、一方、国際連合チームの構成員が、彼らが必要とする指導部の支援に関し、有益なフィードバックを提供するのを可能にするであろう。最近、国際連合開発グループによって採用された「国際連合開発常駐調整官システム管理説明責任制度」は、さらに検討されるべきモデルを提供しうるであろう。私は、上級管理官とともに、相互説明責任の手段の策定を検討する予定である。それにより、上級代表は、当該制度によって彼または彼女の職務の遂行について権限と説明責任の両方を付与され、同時に、彼または彼女は、当該制度の各構成部門に対して、統合戦略枠組に基づき、それらの職務権限に従った、合意された役割と活動の実行について説明責任を負わせることができる。
評価、計画立案および戦略
- 急速に流動し、不確実な紛争後の環境において一貫した戦略を確立するには、広範囲な国内の関係者および国際的な関係者の支援と強力が必要である。現在、かかる戦略を促進するための努力は、関係者間の不統一、評価と計画立案の手段の断片化および優先順位付けのための枠組の欠如によって挫折している。主要な利害関係者は、しばしば、一方的な、政治上、経済上、安全保障上の、および機関としての、利害と見解に基づいて、競合する個別の課題を追求する。二国間レベルで、また、多数国間機関のレベルで、紛争後の国家に再び関与すると、その国のニーズや優先事項に関する明確な若しくは一貫したビジョンまたは和平プロセスの展開との関連なしに、種々雑多な、個別の、そしてしばしば競合する計画を実行に移すことになる可能性がある。国際連合内では、安全保障に関する計画立案を統合する努力が現在進められているものの、政治、人道および開発に関する計画立案の統合を目指して努力することは、依然として大きな課題である。
- 国連内で私たちの自由になる能力と手段は、紛争直後の国際連合の現地関与次第で、また、その現地関与が最初の2年間にいかに発展するか次第で、変化する。安全保障理事会が職務権限を付与したミッションの場合、国際連合の国内統合ミッションの計画立案プロセスは、共有されたビジョンと合意された優先事項の確定を通じて、国内での目的の統一性を確保することに焦点を合わせている。私たちは、かなり歩を進めてきたものの、国連は、依然として、紛争後早期の環境について、一連の決定的に重要な優先事項について合意し、実行する能力を改善する必要がある。これとの関連で、全ての国際連合の統合された現地関与機関は、共有された分析・計画立案能力、並びに、統合戦略枠組を持つ、との私の決定は、重要な前進を示すものである。国際連合統合戦略枠組は、国連の戦略目標に関する共有されたビジョン、並びに、平和を強固なものとするのに決定的に重要な任務の遂行に関する、一式の関連の合意された成果、スケジュールおよび責任を明確に示すことを意味する。統合ミッション計画立案プロセスは、具体的な国家の状況における国際連合の役割、能力および希少な資源と、国内の優先事項および他の国際的な関係者の役割とを連携させるために立案されている。
- 効果的な平和構築はまた、国際連合によって提供されている支援を超える国際的な支援を必要とする。国際連合と世界銀行が緊密に協力して活動した場合には、それらは国内の関係者と国際的な関係者との間の一貫した取組のための有益な場を提供できることを、経験は示している。過去数年間、国際連合開発グループおよび世界銀行は、最近、欧州委員会も加えて、紛争後の環境における協力関係を拡大してきている。焦点となってきたのは、紛争後ニーズ評価として知られる、国内の国民主導の共通の評価と優先順位の設定の方法の策定である。この方法は、現地の関係者を評価プロセスの中心に据えようとするものである。それは、当面のおよび中期の平和構築と復旧援助のニーズに焦点を合わせており、また、国際的および国内的な資源の配分に指針を与えうる、平和の強化と復旧のための国内的な枠組の発展をいずれももたらす、国内の関係者との議論の基礎を提供するものである。それは、より大きな国家の関与と国民の主体的取組を伴う、迅速に開始され、時が経つにつれて首尾よく拡大され、詳細なものとなりうる、反復のプロセスを意図したものである。そして、平和強化と復旧のための国内的枠組は、公約の進捗状況の監視について国内のおよび国際的な協力者双方によって利用されうる契約の基礎を提供することができる。平和構築委員会は、かかる契約に向けた事態の進展の監視について重要な役割を演じることができるかもしれない。
- 昨年中に、紛争後ニーズ評価の方法は、政治および安全保障の側面を反映させるために、また、現地に存在する政治および安全保障の関係者のより効果的な関与を可能にするために、かなり改訂されてきた。改訂された方法は、より一貫し、合理化された、援助の調整に対する取組の枠組を提供している。私は、加盟諸国に対し、重要な現地関与機関とともに、適切な場合には、紛争後ニーズ評価プロセスに加わるよう、また、全ての加盟国に対し、資金提供を結果と結びつけるよう、奨励する。
- 国際連合統合ミッション計画および紛争後ニーズ評価枠組の方法を通じて得られた国内の平和強化復旧枠組は、異なるスケジュールに従い、異なる目的に資するものであるが、それらは相互補完的で互いに強化し合うものである必要がある。上級国際連合指導チームは、共通のビジョンをめぐる主要な国内的、地域的および国際的利害関係者との現在進行中の対話を維持することによって、紛争後ニーズ評価と国際連合国内計画立案プロセスとの間の戦略的一貫性と適切な関連性を確保する責任を有する。
- 統合的な計画の立案および共通の評価に関する重要な進展があったにもかかわらず、現地の国際連合および国際連合以外の関係者は、紛争が終結した場合に、しばしば、政治状況の変化に対応するのが遅く、新たなミッションが展開し、活動可能になるのに時間が掛かる。依然として、非常に頻繁に、ミッションが十分に展開できるようになるか、または、主要援助提供国会議の前により集中的な評価が始まるまでの最初の数か月間に、明確な優先順位付けと新たなまたは改訂された履行計画について空白が生じている。この空白を埋める努力は、和平プロセスの条項、安全保障理事会によって付与された職務権限および国際連合国別現地チームの既存の計画立案や活動を指針とすべきである。現地の私の上級代表は、紛争の直後に関係者を招集して、当面の国家の優先事項、適切な優先計画の順位付け、および、国際連合によって実施され、または支援を受け、早期の平和構築基金の支払いを通じたものを含め、当初から適切に資金を供与されなければならない活動に関する役割と責任の明確な叙述に焦点を合わせた、早期戦略および活動計画を策定するであろう。関連の世界銀行の活動もまた、反映されなければならない。ミッションが展開し、または計画立案中の場合、統合戦略枠組が早期にくり返しこの目的のために用いられなければならない。そうすることは、全ての関係者を速やかに共通の限られた一連の優先事項に集結させる一助となり、それによってまた、二国間レベルおよび多数国間レベルの関係者が共通戦略に関係する早期の資金供与の決定を調整するのを可能にするであろう。
国家の能力開発
- 上で議論したように、能力開発が当初から考慮されなければならず、また、全ての平和構築の努力の中心的な要素でなければならない。指導力と援助調整能力を強化することは、紛争後早期において重要である。なぜなら、それは、国家の指導者が、国家を復旧に向けて動かし、国際的な協力者との関係をよりうまく管理するのを可能にするからである。あまりにも頻繁に、主要な国際機構は、現に存在する能力を利用するのに失敗してきた。かかる活動はまた、能力が欠如しているかもしれない分野において代行させるために、それらの分野における能力開発の必要性に十分な注意を支払うことなしに、あまりにも過度に国際的な要員に依存したことによって、国家能力構築の機会を阻害してきた。
- 紛争によって枯渇している人および組織の能力の範囲は、国によってかなり異なる。あまりにも頻繁に、国際社会は、紛争後の国家で、いかなる能力が存在しているのかを最初に評価することなしに、活動を開始している。既存の能力を見出し、それを強化するよりも、能力は完全に枯渇していると考える傾向がある。紛争後の平和構築は、国家レベルおよび地方レベルの典型的な優先分野における、既存の能力および合意された共通の評価手段を用いたニーズの評価を伴って開始すべきである。そして、かかる評価は、支援の立案および国際的な資源と専門知識の運用に関する決定に影響を及ぼすべきである。
- 人道面の対応の一環として、早期復旧クラスター・ネットワークは、人々の生活を守り、また、人々の生活に資金を投入し、平和な一部地域のコミュニティーの指導者、市民社会組織および地方政府の能力を開発し、可能な場合には、主要な部門や機関における国家の能力を評価することによって、後の努力のための重要な基礎を提供している。これは、ひとたび紛争が終結すれば、既存の国家および地方の能力を確認し、動員する努力を促進しうる。クラスターはまた、国際的な関係者が直接住民にサービスを提供することから、国内の関係者がそれらのサービスを提供するのを支援することへと移行する必要性を含め、紛争後の早期において急速に進展する政治状況に援助が適応するのを確保している。
- 国際機構は、しばしば、金銭その他のインセンティブを通じて、適任の国内の専門家を現地の機関や組織から募集している。これは、国家機関を強化する必要を阻害し、国内経済を歪ませる。中央官庁や地方機関に対する早期の持続的な支援は、国内機関にとどまっている専門家―そこでは、彼らの平和構築および復旧に対する貢献が最大限の影響を持ちうる―に十分な給与と条件を提供するのにきわめて重要である。
- 国民の能力を利用し、支援することは、国際的な援助で第一に優先されなければならない。離散者を動員することは、潜在的には、政治的に微妙な、注意して扱わなければならない試みであることを経験は示しているが、離散者の代表もまた、知識および専門技術の重要な資源となりうる。国際的な専門家が必要な場合には、地域出身の専門家が、彼らの言語のスキルと現地の状況に関する知識を考えると、最も効果的である。決定的に重要な平和構築の任務の遂行を国際的な能力が代替することは、短期の限定された基盤によるものであってさえも、注意深く明らかにされたニーズに基づいて取組がなされなければならない。最低限、それは、既存の国家の能力を阻害し、または、それに取って代わるものであってはならず、また、必要な能力を開発する努力が伴っているべきである。国際社会が国家の政府のライン機能を支援するための国際的な専門能力を提供するよう要請された場合、これには能力開発プログラムが伴わなければならない。
- 現地における既存の組織とメカニズムを発展させて、上級国際連合指導チームは、能力開発の努力を促進し、調整し、また、国内の協力者と国際的な協力者との間の相互の説明責任を強化するための十分な専門知識が存在することを確保すべきである。追加の財政的支援(ミッションの予算および、適切な場合には、自発的な資金供与の双方の範囲内での)が、紛争後の努力の当初から能力開発戦略が用意されるのを確保するために、要求されるだろう。
予測可能な国際的支援
- 紛争直後に一貫した国際的な対応を迅速に強化する用意を整えるには、上に概略を述べたくり返し問題となる優先分野における予測可能な専門的な支援が必要である。この対応の一環として、国際連合は、国レベルの指導者がさまざまな国際連合機関の知識と専門技術を利用できるのを確保するための準備能力を必要としている。加盟国、地域的機構および準地域的機構もまた、より広範な国際的対応の一環として利用される重要な能力を有している。しかしながら、時機を得た、うまく調整された、相互補完的な方法で、くり返し生じる要求を満たすための国際的な努力が存在するのを確保するためには、数多くの措置をとることが必要である。全ての優先分野にわたって、国際連合およびその他の国際的な関係者は、紛争後の、または、困難な状況において、必要とされる専門的知識並びに適用可能な経験を持つ適格の個人を確認し、募集し、展開するという重大な課題に直面している。短期間の通告で、この独特の組み合わせを見出すことは、とりわけ難題であり、即時展開のための若干の能力を事前に備えておくこと、および、より十分な専門知識を比較的迅速に提供する能力を私たちが持つのを確保することが必要である。
予測可能な国際的支援:国際連合システム内での明確性
- 国際連合は、上に概略を述べたいくつかのくり返し問題となる優先分野において、専門知識と能力の深刻な不足に直面している。これらの分野のうちのいくつかについて言えば、この問題は、すぐに利用できる知識、専門技術および指針を国際連合の国レベルの指導者に提供すること、並びに、迅速に運用できる能力に資金を投入することに関し、いずれの機関が責任を負うのかということについて、組織の明確さが欠如していることに根ざしている。これは、国際連合の対応の予測可能性を制約し、紛争直後に迅速に行動する私たちの能力の妨げになっている。いくつかの分野では、すでに作業が進行中である。たとえば、私は、事務局で、それぞれの専門知識の分野において国連システム全体にサービスを提供すべき指定機関を確認している。この責任には、優良事例や得られた教訓に関するものを含め、知的資源として役立つこと、特定の分野における基準と指針を洗練すること、および、現地の国際連合の機関に助言を与えることが、必然的に伴う。それはまた、可能な場合には、活動上の支援を提供するための運用可能な人的および技術的能力を、適当な場合には国家能力の育成に対する支援も含め、確立することを必要とするであろう。国家レベルでは、国内の現地関与と能力、並びに、受入国の政府の要請に基づいて、上級指導者が責任を定めるので、役割や責任は異なってくるであろう。それぞれの状況において、現地関与機関は、本部で指定された専門知識と能力を利用できるべきである。
- 今日までの進捗状況は、かなり異なっており、資源の利用可能性と関連してきている。いくつかの事例では、単独の機関が、知識、専門技術および能力の頼りになる源として活動しており、限られた迅速展開能力を受け入れてまとめ役となる可能性がある。これは、政治局の仲介支援ユニットと選挙支援課、国際連合地雷関連活動サービスおよび平和維持活動局警察課、並びに、国際連合人権高等弁務官事務所緊急対応名簿について当てはまる。
- この「クラスター・アプローチ」は、特定の分野、すなわち、農業、収容所での調整・管理、早期復旧、教育、緊急避難所の提供、緊急通信、医療、後方支援、栄養、市民の保護、給水、公衆衛生において、世界的に指導的な地位を確立することによって、人道面での対応の予測可能性と一貫性を強化しようとするものである。また、ジェンダー、人権および環境のような分野横断的な問題にも、それぞれを象徴する固有の活動の中心機関が存在している。この対処法は、国際連合の機関、基金および計画が、それらの支援する分野における責任能力を構築することに資金を投入すること、並びに、その分野全体における知識と能力の欠落を確認すること、および、世界レベルと国家レベルの双方において、これらの欠落を埋めることができるようにするために、協力者とともに能力を構築することを奨励している。これは、政府、援助提供者および協力者が関与しうる、より一貫した透明なシステムを促進している。人道上の危機において存在する能力およびメカニズムは、紛争直後に国家能力の開発と基本的サービスの提供を迅速に支援するための基礎を提供しうる。
- 多数の国際連合の機関が関与し、多様な専門的能力が必要とされる、武装解除、動員解除および再統合、法の支配、並びに治安部門の改革のような活動分野において、それぞれの関係者の具体的な貢献を確認すること、合同で専門の機関間枠組を通じて共通の基準と指針を確認すること、および、現地での調整された実施のための取極を確立することに、力点が置かれてきた。今日までに得られた教訓を基礎として、これらの複雑な分野において私たちが直面する課題は、本部と現地における一貫性を確保すること、ただの一つの機関も責任を負わない空白を回避すること、および、責任が明確にされたそれらの分野において責任を果たすことである。
- いくつかの優先分野においては、国際連合は、現在は比較的に限定的な能力しか持たず、追加の専門的技術、知識および活動の資源を外部の協力者に求めている。たとえば、国家の公行政に関する能力の育成は、UNDPが、限られた資源しか持っていないにもかかわらず、紛争直後も含めて、国家レベルおよび地方レベルで現地関与し、活動する分野である。経済社会問題局は、重要な調査分析能力を持っている。世界銀行は、国家レベルで、公的セクターの管理の支援の提供について、決定的に重要な大量の専門知識を有している。国家財政や基本的な通貨金融政策のような、紛争後の活動にとって決定的に重要ないくつかの分野において、世界銀行と国際通貨基金は、それぞれ、国際的な知識、専門的技術および能力の主要な源である。国際連合および外部の協力者には、それぞれの力を十分に利用するために、協力をさらに拡大する潜在能力がある。
- 私たちは、本報告書において確認された全ての優先分野を通じて、より高いレベルの明確性、予測可能性および説明責任に向けて作業を続ける。これらの分野において、すでに存在している事務局を基盤とする組織的取極を強化するために、私は、それらの取極が定期的に最上級レベルで再検討されるのを確保する予定である。これらの再検討は、明確に定められ、合意された基準に向けた進捗状況を、とりわけ、それらの取極がどの程度、現地でより迅速でより効果的な結果をもたらしているのかを評価し、適切な後続の活動について決定するであろう。
- 国際連合システム内および主要な協力者間の双方において、さらなる明確性と予測可能性が必要とされる、数多くのくり返し問題となる優先分野がある。私たちは、関連の国際連合機関並びに世界銀行および地域的機構を含む協力者とともに、これらの分野における私たちの集団的成果を向上させるために作業をする予定である。本報告書の準備での、これらの機関のうちの多くとの掘り下げた議論に基づいて、私たちは、来る数か月間に顕著な進展が見られることを私たちが望んでいる、以下の分野に焦点を合わせるつもりである。
- 公行政、とりわけ、主要な政府機関が当初から中核的な政府機能を管理できるように直ちに支援すること。
- 憲法制定プロセスを含む、移行期の統治の取極。
- 帰還者の社会復帰。
- 早期の雇用促進。
- 経済の再活性化のその他の側面。
- 基本的なインフラストラクチャーの復興。
- その他の数多くのくり返し問題となる優先分野において私たちが見てきたように、常設の国際連合の能力の中核となるものが、予測可能で効果的な国際的対応に不可欠である。上に列挙した分野に関する来るべき議論に基づいて、私たちは、決定的に重要な分野における国際的対応を改革するであろう、常設能力その他の取極のための追加の資源について要請を提示するかもしれない。これらの能力のうちの一部は、通常予算または査定された予算から資金を供与されなければならないかもしれない。その他の能力は、予算外の資源によって賄われなければならないかもしれず、関連の機関、基金および計画のための中核的な資金供与の一部となるべきである。
予測可能な国際的支援:国際連合およびその他の国際文民能力の展開
- 紛争によって荒廃した国家において、迅速で効果的な対応を確保するためには、現地の既存の能力を増強し、農業生産の迅速な回復または天然資源の効果的な管理のような分野において、追加の国際文民能力を展開する必要がある。国際連合は、かかる能力の重要な源であり、または、その伝達経路であるが、加盟諸国並びに地域的および準地域的機構もまた、重要な文民能力を提供している。課題は、これらの努力が相互補完的であること、および、既存の供給を基礎とせず、国家の需要を満たすために展開されることを確保することである。
- 緊急展開の必要性は、国内的にも国際的にも、現地にすでに存在している能力をいかに利用するのかについての注意深い考慮に優先されるべきではない。紛争が終結するとき、ほとんど常に国際的な能力が現地に存在しており、いくつかの事例においては、人道援助の関係者と資産が、首都以外にも存在する唯一の国際的な関係者である。これらの活動能力は、とりわけ、人々が帰還を始めるにつれて、基本的サービスの迅速な提供を支援するのに決定的に重要なものとなりうる。これらの既存の能力を、機関自身の増員能力と登録名簿を通じたものを含め、迅速に強化するためのメカニズムは、紛争後の対応の不可欠の要素である。とりわけ、人道援助関係者が平和構築の即時優先事項と一致する活動に従事している場合には、それらの活動の規模を拡大する最速の方法は、これらの人道援助関係者の能力と資源を強化することである。
- 予測可能な国際的支援の提供は、活動能力と資源が存在する場合にのみ、保証されうる。これらの能力の詳細な形態は、問題ごとに異なる。必要が緊急な場合、また、文民の適切な専門知識を迅速に確認し、展開することが重要な課題となっている場合には、国際連合システム全体の諸機関、国際的金融機関および外部の協力者によって維持されている常設で待機中の文民能力に依存することが、最も時間の節約になる。
- 常設能力は、私たちが最速で利用しうる能力である。国際連合内で、それらは、緊急の活動上の必要を満たすために迅速に展開することが勤務条件として必要とされる、経験を積んだ職員という形をとり、通常の募集が終結するまで、緊急の能力開発のニーズを支えることができる。これらの個人は、国連によって設定された勤務条件のもとに雇用され、現地の国際連合システムの統合的な努力を支えるために、決定的に重要な地点に展開する。私たちは、常設能力はミッションの早期の立案および初動段階で決定的に重要な役割を演じることができ、それによって、計画立案から実施の段階まで途切れることのない移行を確保するということを学んだ。また、既存の能力は、平和の配当の提供を加速することができる。仲介支援ユニットの常設チームと常設警察能力は、仲介およびミッションの開始における働きについて、それぞれ高い称賛を受けている。私は、司法および矯正の能力を平等且つ迅速に展開する結果をもたらす、法の支配の強化に対する全体的な調整された取組を当初から確保するために、私たちが常設警察能力に関する成功の経験をさらに発展させるよう勧告する。私は、総会決議61/279および総会決議63/250の関連規定を考慮に入れて、これに関するさらに詳細な情報を提供する意向である。欧州連合や世界銀行を含む他の多数国間機関は、国際連合の常設能力を補完しうる、文民の専門家の緊急展開のための取極を確立しているか、または作成中である。
- 常設能力には、国際連合ミッションの職員として、または、他の国際連合機関、国際的金融機関、非政府組織若しくは外部の協力者との取極のもとに、勤務するために迅速に展開する能力があり、その準備を整えている、事前に審査された候補者の名簿も含まれる。それらはまた、「お抱えの」仲介その他の能力、並びに、必要な場合には迅速に作動する準備を整えている加盟国の能力も含む。専門家の名簿は、文民能力の迅速な展開のために必要な能力である。しかしながら、名簿の維持には、とりわけ、とくに途上国から得る専門知識の深さ、範囲および多様性を確保するための、かなりの投資が必要であることを経験は示してきた。さらに、専門家レベルの名簿は、ほとんど互換性がなく、または、調整されておらず、国内の若しくは国際的な関係者が、いかなる資源が利用できるのかに関して要請を送り、または、情報を得るための場所が、一つも存在していない。国際連合事務局は、典型的な優先分野のそれぞれにおける専門家名簿全体の互換性を高めるため共通の基準、訓練および指導の原則の発展を促進するために、名簿作成の指揮者と協力するであろう。
- 迅速に展開しうる常設待機能力は、効率的な募集プロセスと人的管理の必要性を補完するものであり、取って代わるものではない。国際連合システム内で、私たちは、多くの異なる状況から得られた経歴、技能、知識および専門的技術を持つ要員という豊富な資源を持っている。しかしながら、私たち自身の手続が、国連システムを横断した職員の流動性を妨げている。私たちは、よりはるかに容易に、この職員を利用できる必要がある。私は、加盟諸国に対し、互換性のある一括化された給与・手当による機関間の流動性を通じて、国際連合が紛争後の実務家および職業的専門家のコミュニティーを構築し、利用できるように、また、関連の国際連合機関間のより大規模な横断的人材育成を促進できるように、私の勤務条件の調整のための人的資源改革一括提案の残りの部分を承認するよう促す。
- 初期の平和構築の努力に関する国際的な支援は、近隣地域、類似した社会経済的、文化的若しくは言語的構成の諸国、または、紛争後の移行を進めてきた諸国よりの要員の提供から利益を得ることができる。国際連合は、世界中に手を伸ばし、途上国での国内現地関与をしているので、平和構築の努力の支援のために、かかる能力をより上手にてこ入れすべきである。私は、途上国出身の適格な要員との新たな接触を適切に確立するよう、国際連合の募集の努力に対し指示している。私はまた、国連の現地関与機関に対し、紛争後の作業のために名簿に記載して、将来選抜するのに適格な国内職員を確認するよう指示している。
- 国際連合ボランティア(UNV)計画は、広範な職業分野において、紛争後の環境への、とりわけ近隣諸国から得られた文民能力の提供に有益な支援を与えている。ボランティア精神に基づいて、UNV計画は、現在、国際連合の平和活動および開発活動を支援して、140か国以上に個人を派遣している。私は、UNVに対し、関係の国際連合機関と協力して、くり返し問題となる優先分野において文民能力の確認を優先し、また、平和構築ボランティアとして短期の現地サービスのための関連の専門知識と経験を有する国連ボランティアを展開するための特別プログラムの策定を検討するよう奨励する。
- 国際連合以外でも、文民能力を拡大するためにかなりの努力が国際的になされてきたが、それは主として少数の西側援助提供国内においてであった。あまりにも頻繁に、これらの努力は、互いにわずかな関心しか払わずに、多数国間システム―それらを通じて紛争後の対応の大半が着手されている―との十分な関連を持たずに、さらに、途上国において、また、女性の間から、能力を動員する問題に対する十分な注意を払わずに、着手されてきた。いかにすれば、国際連合および国際社会が、紛争から脱却しつつある諸国の早急な能力開発のニーズを支援するために、文民専門家集団を拡大し、深化させるのを援助することができるのかについて、とりわけ、本報告書において確認された優先分野に焦点を合わせて分析する、再検討に着手する必要がある。このことを進めるため、私は加盟国と更なる討議をするつもりである。この再検討は、国際連合内で存在し、または、生み出しうる能力、並びに、地域的機構および加盟諸国内に存在する能力を判断し、これらを潜在的な需要に対応させておくのを可能にするかもしれない。それは、いかにして私たちが、多数国間機関、地域的機構および加盟諸国の能力間の互換性を強化し、改善しうるのかについて、とくに、途上国の能力を動員すること、並びに、協力関係を発展させる可能性に注意を払って、検討するのを可能にするかもしれない。
- 国際社会は、くり返し、途上国出身の文民専門家がもたらしうる貢献を認識してきたが、今日までのところ、かかる能力の構築に対する投資は、はるかに不足している。アフリカにおいて、コフィ・アナン国際平和維持訓練センター、アフリカ人道・平和構築ミッション文民待機名簿、および、最近のアフリカ紛争解決・平和維持カイロ地域訓練センターの開設を含む、いくつかの有益な措置がとられつつある。同様の措置は、東南アジアにおいて、東南アジア諸国連合地域フォーラムによって、また、太平洋地域において、太平洋諸島フォーラム政治安全保障プログラムを通じて、とられてきている。アフリカその他の地域における地域的危機管理能力を構築する努力は、より組織的な方法で文民専門家能力に取り組むために、さらに支援を受け、強化されなければならない。
- 地域的機構および準地域的機構は、紛争後に文民を展開する能力の開発に重要な役割を演じている。国際連合の地域的経済委員会もまた、適格な個人への接触を促進することについて、また、地域的機構が危機管理能力を強化するのを支援することについて、重要な役割を演じている。私は、加盟諸国に対し、必要な資源を投資するよう、並びに、途上国から、とりわけ女性から、国内に文民専門家を動員するための努力について、地域的機構を支援するよう求める。
世界銀行との取極
- 国際連合と世界銀行の緊密な協力は、効果的な多数国間の対応にとってきわめて重要であり、他の国際的な関係者の関与を支援するための場を提供しうる。強力な戦略的協力関係の必要性を認識して、世界銀行総裁と私は、危機的状況および危機後の状況において、私たちの機構間の協力を強化するために、また、それによって、より効果的で持続可能な国際的対応に寄与するために、2008年10月に協力関係枠組協定に署名した。この協定を発展させて、国際連合と世界銀行グループは、共通の関心事である危機に陥っている諸国および危機後の諸国に関する定期的な本部レベルの協議のための特別のメカニズムを設ける予定である。この協議メカニズムの目標は、国際連合と世界銀行の努力の戦略的調整と集団的な影響を強化することである。
- 世界銀行は、くり返し問題となる優先分野のうちのいくつかにおいて、強い専門的能力を持っており、それは、国際連合の力に重要な補完を提供する。具体的な紛争後の状況において、上級の国際連合指導部は、世界銀行が比較優位性を持つ優先分野において、適切な場合には、早期の関与と迅速な専門的助言のために、世界銀行の国内責任者を利用すべきである。
資金供与
- 効果的な指導力、共通の戦略およびより予測可能な支援能力は、迅速な資金供与のための資源抜きでは、ほとんどなきに等しい。人道援助の段階の資金は、速やかな提供のために立案された特別な手続を用いて、迅速に供与される。平和構築のための資金供与は、通常、開発予算を利用するが、典型的に、それは開始から国レベルでの支払いまでに長い導入の時間を要する。その結果は、人道資金が減少し始めたときから開発資金が流入し始めるまでの、資金供与の空白である。課題は、紛争直後の期間にも、十分なレベルの人道資金供与を維持するだけでなく、紛争直後の平和構築促進の活動のために若干の資金を事前に供与し、また、開発資金を早期に提供して、双方から空白を生めることである。私たちはまた、このために用いられるメカニズムが紛争後の早期の環境の流動的で不安定な性質に適したものであること、および、それらのメカニズムが一貫した戦略を支える資金の到着を可能にすることを確保する必要がある。
- 紛争直後にも、人道援助は依然として必要である。実際、人道上のニーズは、紛争の影響を被った地区への連絡路が開かれ、避難民が原居住地に帰還し始めるにつれて、ときには増大しうる。紛争期にも、直接的な「救命」介入に加えて、人の財産を保護するセーフティーネット、生計を立てる機会への投資、準常設の避難所、道路の連絡、および強化された地方の統治によって、人々の生活が大きく改善されうる平和な地区が存在することだろう。これらの活動は、人道援助対応の早期復旧部門に含まれる。それらは、ひとたび紛争が終結した場合に、より迅速な対応の基礎を提供する一助となる国家能力への重要な投資となる。私は、援助提供者に対し、これらの重要な早期復旧活動に十分に資金を供与し、紛争期および紛争後の時期に不可欠な人道援助への支援を続けるよう促す。
- 多数国間レベルでは、迅速な早期支払いのための資源を事前に用意するための、いくつかの基金が設立されてきている。平和構築基金は、平和構築委員会の議事日程に載っている諸国での役割に加え、早期の優先事項を促進し、また、援助提供者の誓約と資金の支払いとの間の資金供与の空白を埋める、という二通りの使い方ができるかもしれない。紛争の直後、最初の迅速な資金の提供は、国家当局と緊密に協力するその国の上級国際職員によって、早期統合戦略枠組またはそれに相当するものにおいて確認された具体的な活動を促進するために、要請されるかもしれない。ひとたび国家の平和の強化と復旧の枠組が確立されれば、そこで確認された緊急の活動を促進し、援助提供者の支払いの遅れを埋め合わせるために、二次的な、より重要な分配が利用されうるであろう。私は、総会宛ての平和構築基金に関する事務総長報告書(A/63/818)において、決定的に重要な平和構築のニーズのための柔軟且つ早期の資金の提供および他の資源が動員されている一方での二次的な平和構築促進のための支払いの双方に適合させるために、当該基金の職務内容は変更されるべきである、と提案した。私は、中核的な平和構築の優先事項の促進への平和構築基金の集中を強化し、平和構築基金の資金供与の適切なタイミングと集中を確保するための措置をとる予定である。
- 世界銀行国家・平和構築基金、UNDP危機予防復旧信託基金事務局および欧州委員会安定化機関のような、その他のいくつかの迅速な支払いのメカニズムが、より包括的な資金供与が利用できるようになるまでの間、平和構築活動を支援するために立案されてきた。WFP長期救援復旧活動の資金供与機関もまた、とくに、移行期の資金供与の空白に取り組むために、導入され、立案されたものである。これらの機関と平和構築基金との間の相互補完性は、本基金が促進の機能を果たしうることを確保するために不可欠である。
- 平和構築基金およびその他の迅速な支払いと事前の準備のための基金は、空白を埋めるには不十分なものであろう。最初の数日間、数か月間に平和構築の優先事項を支援するために、追加の特定の国家のための基金が早期に設立される必要がある。しかし、既存の資金供与メカニズムは、かなりの程度の迅速性、柔軟性およびリスク許容性を必要とする紛争後早期の状況には適していない。私は、紛争後の状況において、より高いリスク許容性を伴う、より早期の、より迅速な資金の提供を可能にするために、経済協力開発機構の開発援助委員会が現在行っている援助提供手続を改訂するための努力が早期に成果を挙げることを期待している。国際援助の透明性もまた、和平プロセスでの信頼を育み、受益者および国内の利害関係者に対する説明責任の拡大を可能にするために不可欠である。私は、援助提供者に対し、紛争から脱却しつつある諸国のための柔軟、迅速且つ予測可能な資金供与の方式を確立する解決策を見出すに当たって、より大胆且つ革新的であれと促す。資金の供与は、十分で、なされた誓約に見合うものであるべきである。また、早期復旧のためのものも含め、資金供与の空白を埋めるための時機を得た方法で利用に供されるべきであり、重複を避けるべきである。資金供与はまた、財政的なインセンティブによって全ての関係者を同じ方向に向かわせるために、共通の評価と計画立案のプロセスを通じて確認された限定的な一連の優先事項を支持する形で調整されるべきである。この問題が執拗に生じていることを考えると、今やまさに、加盟諸国が、彼らの確認した資金供与の実務の不十分な点に取り組むために必要な行動をとる時である。私は、国際連合開発グループの議長に対し、平和構築支援事務室と緊密に協力して、このプロセスに関与し、国際連合その他の主要な多数国間協力機関が、この議論を迅速に満足のいく形で終わらせるのに必要な支援を提供するのを確保するよう求める予定である。
- 早期の国レベルの多数国間援助提供信託基金およびその他のプールされた資金を供与するメカニズムは、個別の援助提供者に対してはリスクを減らし、国家当局に対しては資金供与の予測可能性を高めることができる。かかる基金を通じて資金が送られている場合には、それらの基金は、予測可能性と一貫性にかなり貢献し、努力を集中している一連の合意された優先事項へと資金を振り向けることによって調整を促進しうることを、証拠は示している。もし、うまく支援されれば、多数国間援助提供信託基金およびその他のプールされた基金が、共通の戦略アプローチを支える力となりうる。過去には、かかる基金は、その効果をかなり減少させる行政的および法的障害によって悩まされてきた。国際連合=世界銀行協力関係枠組の中で、私たちは、多数国間援助提供信託基金の迅速且つ円滑な活動を妨げる障害物を減らすために、同基金の管理に取り組んできた。援助提供者に対し、既存のメカニズムを通じて現在行われている活動に十分な資金を供与するよう求めるのに加え、私は、適当な場合には、紛争から脱却しつつある諸国において国内多数国間援助提供信託基金およびその他のプールされた基金を供与するメカニズムを設立することを奨励する。私は、援助提供者に対し、最大限可能な限り、これらのメカニズムを利用するよう奨励する。
- 女性の早期回復のニーズのための資金供与は、女性の能力を強化し、歴史的なジェンダー間の不均衡、並びに、女性および少女のニーズに対する資金供与の不足を正すのにきわめて重要である。女性の肉体的安全、収入の管理および意思決定への参加というニーズを重視することは、重大なコストをもたらしうる。女性の組織やネットワークに対する早期の資金供与は、進展しつつある和平プロセスにおいて女性の声に力を与えうる。私は、国際連合の管理する基金、とりわけ、国際連合開発グループ多数国間援助提供信託基金が、UNDPによって開拓された、意思決定者がジェンダー関連の資金配分を追跡できるようにするためのシステムを試験的に実施するのを確保する予定である。
Ⅵ.平和構築委員会の役割
- 安全保障理事会決議1645(2005年)および総会決議60/180を通じた、2005年終わりの平和構築委員会の設立は、国際社会の平和構築への対応の進展における一里塚となった。当該委員会は、国際連合の3つの主要機関である総会、安全保障理事会および経済社会理事会のそれぞれの構成国のみならず、分担金および自発的拠出金の上位提供国並びに国際連合ミッションへの軍事要員および文民警察官の上位提供国も結集させているという独特の構成員資格によって、これらの主要機関との緊密な絆を一本化している。安全保障理事会が本報告書を要請した2008年5月20日の安保理議長声明において、安保理は、国際平和構築活動および資源の調整について助言することにおける平和構築委員会の作業を歓迎し、また、平和構築委員会、平和構築支援事務室および平和構築基金に対する支援を表明した。
- 設立から4年足らずの間に、平和構築委員会のその議事日程に載せている諸国への関与は進展し続けてきた。限られた国家への関与から結論を導き出すことは、依然として尚早であるが、シエラレオネとブルンジは、他の諸国へも適用可能な有用な教訓を示している。同時に、平和構築委員会の審議は、全体的な平和構築の努力に対する同委員会の貢献を強化するために、そのメカニズムと作業方法をさらに改変する必要があることを確認した。
- 平和構築委員会は、本報告書に概略が述べられた課題を支持し、促進することについて、決定的に重要な役割を演じてきた。ある国で主要な紛争が終結した後に、決定的に重要な平和構築の任務のうちの多くが開始されなければならない。これはまた、平和構築委員会の役割が、本報告書によって扱われる紛争直後の決定的に重要な時期にまで拡大することを意味する。設立決議の第2項に定義された当該委員会の主要な目的のうちのいくつかは、この時期に大いに関連性を持つ。設立決議がまた強調したように、安全保障理事会の議事日程に載っている紛争後の状況における当該委員会の主要な目的は、とりわけ、国際連合が職務権限を付与した平和維持活動が現地に存在している場合には、安保理に対し、その要請に基づいて、助言を与えることである。安全保障理事会は、先手を打って、紛争後の状況の審議の早い段階で、たとえば、統合的な平和構築の全体像やその議事日程に載っている国への安保理の自らの関与に関する具体的な提案を示すことによって、いかにして当該委員会の助言をその活動に生かしうるのかについて審議すべきである。安全保障理事会の議事日程に載っている国々にとって、安保理と当該委員会のそれぞれの役割は、当該委員会が重要な価値を付加しうる早期の段階で、その役割を減少させていく形で連続しているのではなく、設立決議によって想定された通り、相互補完的で並列的なものと見られる必要がある。
- 平和構築委員会はまた、いかにすれば、その議事日程に載っている諸国および本報告書において扱われている、たとえば以下のような数多くの分野に関する諮問的役割をさらに強化できるのかについて審議したい、と願っているかもしれない。
- 具体的な平和構築の優先事項に対する関心を集め、維持すること。
- 決定的に重要な分野において国家の能力や制度を開発するための、適切で時機を得た人的および金銭的資源を提供するよう関係者に対し奨励すること。
- 国内の関係者と国際的な関係者との間の共通の評価と計画立案のプロセスを通じて策定された国家の平和構築戦略および復旧枠組の実施に関する進捗状況を監視すること。
- 国際連合システムのさまざまな部門と国際連合システム外のその他の関係者との間のより一層の一貫性と協調を促進すること。
- 開発のための資金供与に関する総会および経済社会理事会の議論に基づいて、平和構築委員会はまた、紛争が終結するに従って生じる資金供与の課題に特に力点を置いて、援助の有効性と相互の説明責任に関する議論を奨励するために、これら2つの機関と協力したいと願っているかもしれない。より具体的には、平和構築委員会は、以下のことをなしうるかもしれない。
- 平和構築のための資源を、とりわけ、不十分な関心しか払われず、不十分な資金供与しか受けていない国々に対し動員するための革新的な対処法を促進する。
- 援助の有効性を高め、国家の平和構築に関する契約と優先事項に基づいて援助提供国とプログラム対象国との間の相互の説明責任を強化する。
- 紛争が終結するときに生じる具体的な資金供与の課題と空白に取り組むために、より迅速で、より柔軟で、よりリスク許容性の高い資金供与を行うよう、援助提供者に対し奨励する。
- 私はまた、2010年の、総会および安全保障理事会による、平和構築委員会の設立決議で述べられた取極の再検討に期待している。私は、現在の作業の手法や手段を評価し、また、いかにすれば、紛争後の状況において最善の関与をし、助言を与えることができるのかについて、より革新的で柔軟な対処法を提案するための、この再検討の準備における、平和構築支援事務室の支援を受けた平和構築委員会の努力を歓迎する。これは、これまでよくあった、より深い関与から、当該委員会が他のメカニズムができないような方法で価値を付加できる特定の優先課題に対する、より軽い、より焦点を絞った対応にまで及ぶ。全ての場合において、当該委員会は、もし存在する場合には、既存の国レベルの戦略策定プロセスを発展させ、強化し、また、その作業が、その議事日程に載っている国々の具体的なニーズおよび優先事項と緊密に結びつき、また、それらのニーズおよび優先事項によって推進されるのを確保すべきである。当該委員会の独特の構成員資格と柔軟な構成も、これらの審議において重要な要素として考慮されるべきである。
- より全般的には、私は、2010年の再検討が、加盟諸国に対し、とりわけ当該委員会の構成国に対し、自らの当該委員会への関与を深め、委員会の議題とそれが与える助言についてより主体的に取り組むための機会を提供することを期待している。当該委員会は、その構成国全てがそれぞれの潜在能力を最大限にするために連携するときに、はじめて成功する。それらの構成国は、各国が持続的な平和と発展を達成し、最終的に、大規模な平和維持ミッションをその中の一部の国が必要とするような段階を乗り越えるのを支援するに当たって、当該委員会が重要な役割を演じることを確保しうる。しかしながら、本報告書が明らかにしたように、この関与は早期に開始する必要があり、また、それは、最終的にこの移行を可能とする主要な優先事項に集中されなければならない。
Ⅶ.結論および所見
- 本報告書で取り組んだ課題は、新しいものではない。10年以上にわたって、私たちは、いかにして、平和構築を話題に取り上げ、紛争の直後により迅速且つ効果的な対応を開始するのかについて取り組んできている。しかしながら、世界的に資源が制約され、最も弱い者が経済停滞の矢面に立たされている今日、私たちが、努力を強化し、より一貫した、効果的な、的を絞った対応を促進することによって、資源がより効果的に用いられるのを確保することが、新たな急務である。
- 本報告書において、私は、紛争後の最初の2年間に焦点を合わせた。なぜなら、この時期が、特別な課題や執拗に生じる空白だけでなく、かなりの機会をももたらすからである。人々の安全に対する要求を満たし、政治プロセスを支援し、平和の配当を配分し、また、国家能力を強化することによって、私たちは、国内の関係者が当初から積極的に行動しようと努力するのを援助することができよう。私は、国家の能力を強化すること、それが入口戦略の一部となるのを確保すること、そして、それが単なる出口の基礎としてのものではないことを初期に重視することの重要性を強調しなければならない。
- 国民の主体的取組が不可欠であること、紛争後の状況が流動的であることを考えると、平和構築の努力は、国家レベルに根を下ろしたものでなければならない。安全保障理事会、総会、経済社会理事会、平和構築委員会、国際連合本部および加盟諸国の首都からの支援と指導は不可欠であるが、常に変化し続ける状況の現実に効果的に対応するビジョン、戦略および意思決定を保証しうるのは、主として、現地にいる国内の指導者および国際的な指導者の双方である。
- 国際連合は、徐々に、国内の関係者と国際的な関係者との間の取極および国際的関係者間の取極を促進して、現地で指導的な役割を演じることが期待されるようになっている。私は、紛争直後のより迅速で効果的な対応への国際連合の貢献を強化するための課題について述べてきた。この課題の要素には、現地の指導チームを強化し、支援すること、早期戦略の一貫性を促進すること、当初から国家能力を強化すること、迅速且つ予測可能な能力を提供する私たちの能力を強化すること、並びに、紛争後の資金供与の迅速性、柔軟性、金額およびリスク許容性を増すことが含まれる。それぞれの要素は、他の要素を強化する。成功を収めるために、私たちは、それらの課題を完全に実行する必要がある。
- 国際連合は、常に、戦争から脱却しつつある国々を支援する努力に関与している多くの関係者のうちの一つであり、それ故、明白な比較優位性を基礎とする強い協力関係に依存している。世界銀行は、紛争後の初期における決定的に重要な戦略上の協力者である。私は、私たちの協力関係を深化させること、および、私たちの力を強化するために、それが実行に移されるのを確保することを公約する。地域的機構および準地域的機構もまた、紛争直後に政治面、安全保障面および経済面で決定的に重要な役割を演じている。私たちは、地域的機構および準地域的機構の平和構築への関与を促進するために、平和創設、平和維持および開発の分野で芽生えたばかりの協力関係を発展させなければならない。
- この課題を実行することは、紛争から脱却しつつある諸国に対する国際的支援の改革における、前進に向けた決定的な一歩となろう。この課題は、一つのプロセスの終わりではなく、始まりを意味する。私は、国際連合内でこれらの措置の歩を進めることを切望している。私は、その支援なしにはこの課題を実現することができない主要な協力者として、加盟諸国に期待している。
- この課題を成功裏に実行に移すには、ある種の基本的な政治的条件が存在している必要がある。国内の関係者の側の基本的なレベルの政治的意思と公約が、平和構築の前提条件である。紛争の原動力を平和のための政治的、経済的条件へと変換するのに資する、地域的な環境が不可欠である。国際的な支援もまた、基本的なものであり、それには、一貫した持続的な努力を支援するに当たって、加盟国がその援助と関与を調整することが必要である。これらの基本的な政治的条件が存在しない限り、一貫した、効果的な対応を促進する国連の能力は、制約されたものとなろう。
- 平和を保ち、維持するためのいかなる特効薬も存在しない。国内の関係者は、紛争後に政治、安全保障および経済に関するけた外れの課題に直面する。しかし、もし、国際連合システムによって率いられた国際社会が、迅速に、一貫して、効果的に対応する用意を整えていれば、私たちは、平和を持続させ、持続可能な発展の基礎を築くより大きな機会を国内の関係者に与えるのを援助することができる。あまりにも頻繁に、無辜の男性、女性および子どもが、戦争の代償を支払ってきた。私たちは、彼ら、彼女らに対し、平和の代償を支払うよう求めることはできないのである。