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安全保障理事会決議 1639

2005年11月21日

2005年11月21日、安全保障理事会第5307回会合で採択

安全保障理事会は、
1995年12月15日の決議1031(1995)、1996年12月12日の決議1088(1996)、2002年7月12日の決議1423(2002)、2003年7月11日の決議1491(2003)、2004年7月9日の決議1551(2004)および2004年11月22日の決議1575(2004)を含む、旧ユーゴスラビアにおける紛争に関する従前の関連安保理諸決議、ならびに、関連の安保理議長諸声明を想起し、

国際的に承認された国境内での全ての国家の主権および領土保全を維持しつつ、旧ユーゴスラビアにおける紛争の政治的解決への取り組みを再確認し、v

ボスニア・ヘルツェゴビナにおける上級代表の継続的役割を全面的に支持することを強調し、

ボスニア・ヘルツェゴビナにおける和平の包括的枠組合意およびそのAnnex(一括して「和平合意」と総称、S/1995/999, annex)、および和平履行評議会(PIC)の関連諸決定の履行を支援する公約を強調し、

和平合意Annex1-A AppendixBに言及された軍の地位に関するすべての合意を想起し、当事者に対し、それらを引き続き遵守する義務を想起させ、

さらに和平合意Annex1-AAppendixBに含まれる軍地位協定の暫定適用に関する決議1551(2004)の規定を想起し、

上級代表、多国籍安定化部隊(EUFOR)の司令官および要員、NATOサラエボ司令部の上級軍事代表および要員、欧州安全保障協力機構(OSCE)、欧州連合(EU)およびボスニア・ヘルツェゴビナに駐在する他の国際機構および機関の要員による和平合意履行への貢献に対する謝意を強調し、

全地域にわたる難民および国内避難民の包括的かつ調整された帰還は引き続き恒久的な平和に不可欠であることを強調し、

和平履行会議の閣僚級会合の諸宣言を想起し、

和平合意の署名以来、10年の間、ボスニア・ヘルツェゴビナにおける国家およびエンティティレベルの当局ならびに国際社会の達成に敬意を表し、和平合意の完全な履行がいまだ完了していないことを認識し

和平合意に基づき、欧州大西洋への統合に向けたボスニア・ヘルツェゴビナの進捗状況の重要性を強調し、ボスニア・ヘルツェゴビナが機能的、改革指向、近代的かつ民主的な欧州国家への移行の重要性を認識し、

2005年10月14日の最新の報告(S/2005/698, annex)を含む上級代表諸報告に留意し、

国連憲章の目的および原則に従い、紛争の平和的解決を促進することを決定し、

1994年12月9日に採択された「国際連合要員及び関連要員の安全に関する条約」に含まれる関連諸原則および2000年2月10日の議長声明(S/PRST/2000/4)を想起し、

すべての平和維持活動において、HIV/エイズおよびその他の伝染性疾病の予防および管理において平和維持活動要員に十分な注意を促す国連の取り組みを歓迎しかつ奨励し、

2005年以降もEUFORがボスニア・ヘルツェゴビナに駐留するとの必要性に言及した6月13日のEU外相会議の結論に留意し、この目的のために必要な段階をとるEUの意図を確認し、

ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるこれら機構の協力の方法に関する、2004年11月19日に欧州連合およびNATOが安全保障理事会に送付した書簡(S/2004/916;S/2004/915)を想起し、その中で両機構はEUFORが和平合意の軍事的観点の下で主要な和平の安定化の役割を担うことを認識し、

さらにボスニア・ヘルツェゴビナ大統領評議会が、構成要素であるエンティティを含むボスニア・ヘルツェゴビナに代わり、EUFORおよびNATO司令部の現地関与に関する取極(S/2004/917)を確認していることを想起し、

ボスニア・ヘルツェゴビナにおける欧州連合の関与の拡大と、NATOの継続的な関与を歓迎し、

また、欧州連合に向けたボスニア・ヘルツェゴビナの進捗状況の具体的な徴候および特に、EUによるボスニア・ヘルツェゴビナとの、安定化および連合協定締結交渉の開始の決定をも歓迎し、ボスニア・ヘルツェゴビナの当局に対し、このプロセスの一環として、警察改革を含み、約束を履行するよう呼びかけ、

地域の情勢は引き続き、国際の平和と安全に対する脅威を構成することを決定し、

国際連合憲章第7章にもとづいて行動して、

  1. 和平合意および1995年11月10日のボスニア・ヘルツェゴビナ連邦の履行に関するデイトン・パリ合意(S/1995/1021, annex)への支持を改めて再確認し、当事者に対し、これら合意に基づくそれぞれの義務を厳格に遵守するよう再確認する。
  2. 和平合意の履行のさらなる成功の主要な責任は、ボスニア・ヘルツェゴビナ当局自身にあり国際社会と主要ドナーによる履行および復興の取り組みへの政治的、軍事的および経済的負担を担う継続した意思は、ボスニア・ヘルツェゴビナの全ての当局による、和平合意の実施と市民社会の再構築、特に旧ユーゴスラビア国際裁判所との全面的協力、欧州の社会構造に自らを統合できる十分に機能した自立国家を助長する合同制度の強化、ならびに難民および国内避難民の帰還の促進における、遵守および積極的な参加によって決定されることを繰り返す。
  3. 和平合意に従い、当事者は、和平合意に記されているように、またはそれ以外の場合には、公平に正義を行なう責任を実行する旧ユーゴスラビア国際裁判所を含む、安全保障理事会によって決定されたように、この平和的解決の履行に関わる全てのエンティティと十分に協力することを自ら公約したことを再び想起し、国際裁判所と国家ならびにエンティティとの十分な協力は、とりわけ、裁判所によって起訴されたあらゆるものの審理のための引渡しまたは逮捕および裁判所の捜査を支援する情報の提供を含むことを強調する。
  4. 和平合意の履行監視においておよび和平合意の履行への当事者の支援を含む市民の組織および機関の活動に対する指導および調整における上級代表の継続的な役割への全面的な支持を強調し、和平合意Annex10の下、上級代表は和平合意の民生部門の履行に関する現地における最終的な権威であり、紛争が生じた場合、上級代表は自ら解釈および勧告を行う権限を有し、また、1997年12月9日および10日にボンで開かれた和平履行評議会で明らかとされたように、諸問題に関して、自ら必要と判断した場合、拘束力ある決定も行うことができることを再確認する。
  5. 和平履行評議会の閣僚級会合の諸宣言への支持を表明する。
  6. 下記の第18項および21項に従って提出される報告を考慮し、和平合意の履行およびボスニア・ヘルツェゴビナ状況を密接な調査の下におく意思、およびいかなる当事者が和平合意の下の義務の履行を著しく怠った場合には、措置を講ずる用意があることを再確認する。
  7. EU部隊および継続しているNATO司令部の現地関与へのボスニア・ヘルツェゴビナ当局による支援、および両者が、和平合意、その付属書と付録、および国連安全保障理事会の関連諸決議の諸目的の任務遂行において、SFORの合法な後継者であり、和平合意Annex1-Aおよび2ならびに国際連合安全保障理事会の関連諸決議の遵守を確保するため、武力行使を含む必要な行動をとることができることの確認を想起する。
  8. 多国籍安定化部隊(EUFOR)、および、決議1575(2004)に従って設立されたNATOの継続した現地関与に参加している加盟国に敬意を表し、これらの国々が、多国籍安定化部隊(EUFOR)の展開を継続しNATOの現地関与の継続の維持により、和平合意当事者を支援する意思を示していることを歓迎する。
  9. 2005年11月以降も、ボスニア・ヘルツェゴビナへのEU軍事活動を維持するEUの意図を歓迎する。
  10. EUを通じ、またはこれと協力して行動する加盟国に対し、本決議採択の日付から起算してさらに12カ月の期間、統一の指揮系統のもとに、SFORを合法的に継承する多国籍安定化部隊(EUFOR)を設立する権限を付与する。同部隊は2004年11月19日の書簡において安全保障理事会に通達されたように、NATOおよびEUの間で合意された取極に従い、NATO司令部の現地関与との協力において、和平合意のAnnex1-AおよびAnnex2の履行に関連する任務を遂行する。
  11. EUFORと連携して和平合意の履行を支援し続けるためにNATO司令部という形式においてボスニア・ヘルツェゴビナにおける現地関与の継続へのNATOの決定を歓迎し、NATOとの協力を通じてあるいはその協力の下に行動する加盟国に対して、統一された指揮系統の下で、SFORの合法的な継承者としてのNATO司令部を維持し続ける権限を付与する。これら加盟国は、EUFORが和平合意の軍事的観点の下で主要な和平安定化の役割を担うことを確認した、2004年11月19日の書簡において、安全保障理事会に通達されたNATOとEUとの間で合意された取極に従い、EUFORとの協力において和平合意のAnnex1-AおよびAnnex2の履行に関して自らの任務を遂行する。
  12. 和平合意および従前の関連諸決議の諸規定が、SFORに関してまたSFORへ適用していたように、EUFORおよびNATO双方の現地関与へおよび現地関与に関して適用されることを再確認する。また従って、和平合意の内容、とくにAnnex1-A、およびAnnex2ならびに付録、IFORおよび/あるいはSFOR、NATOおよびNACに関する関連諸決議は、適宜、NATOの現地関与、EUFOR、欧州連合ならびに欧州連合安全保障委員会および理事会と読み替えられることを再確認する。
  13. 和平合意の履行とボスニア・ヘルツェゴビナ情勢の進捗状況に照らし、必要に応じてさらなる権限許可の条件について審議する意図を表明する。
  14. 上記第10項および11項に基づき行動する加盟国に対し、和平合意Annex1-Aおよび2の履行を果たしまた遵守を確実とするために、あらゆる必要な措置をとる権限を与え、当事者がAnnexの遵守に同等に責任を有し続け、これらAnnexesの履行を確保しまたEUFORおよびNATO現地関与を確保するために必要と思われるEUFORおよびNATOの現地関与によるかかる強制行動に同様に従うことを強調する。
  15. 加盟国に対し、EUFORまたはNATO司令部のいずれかの要請に応じて、EUFORまたはNATO現地関与の防衛において、必要なあらゆる措置をとり、またそれらの任務の実行において両機構を支援する権限を与え、EUFORおよびNATO現地関与が攻撃あるいは攻撃の脅威より自らを防衛するために必要なあらゆる措置をとる権利を確認する。
  16. 上記第10項および11項に基づき行動する加盟国に対し、和平合意Annex1-Aに従い、すべての民間および軍事航行に関して、ボスニア・ヘルツェゴビナ領空の指揮統制を律する規則および手続の遵守を確保するために必要なあらゆる措置をとる権限を与える。
  17. 当事者がEUFOR、NATO現地関与および他の国際的な要員の安全および移動の自由を尊重するよう要求する。
  18. EUを通じて、またはこれと協力して行動する加盟国、および、NATOを通じて、またはこれと協力して行動する加盟国に対し、EUFORの活動およびNATO司令部の現地関与それぞれについて、適切な経路を通じ、少なくとも3カ月毎に理事会に報告するよう要請する。
  19. すべての国家、特に当該地域の諸国に対し、適切な支援および施設を提供し続けるように招請する。そこには、上記第10項および11項に基づき行動する加盟国に対する、通過施設も含まれる。
  20. 2003年1月1日以降、ボスニア・ヘルツェゴビナへのEUによる警察ミッション(EUPM)の展開に謝意を繰り返し表明する。
  21. また、事務総長に対し、和平合意Annex10ならびに1996年12月4日および5日にロンドンで開催された和平履行会議の諸結論(S/1996/1012)、その後の和平履行会議の諸結論に従い、和平合意の履行、特に同合意に基づく当事者による遵守に関する上級代表からの諸報告を、引き続き理事会に提出するよう要請する。
  22. この問題に引き続き取り組むことを決定する。

S/RES/1639 (2005)