国際腐敗防止デー(12月9日)に寄せる
国連薬物犯罪オフィス(UNODC)事務局長メッセージ
プレスリリース 05/102-J 2005年12月09日
今年の「国際腐敗防止デー」のテーマは、「腐敗は根絶できる」です。
国際社会はこれまで、腐敗がグローバルな問題であるとして、それに対する意識を高めるよう努めてきました。そして今日、腐敗がもたらす脅威の規模については、もはや議論の余地はありません。
腐敗が些細な問題だと主張をする人は、今ではほとんどいないでしょう。腐敗によって、子どもに届くべき開発資源は裕福な人々の懐へと消えてしまいます。腐敗はテロ行為を助長します。組織犯罪は腐敗なしでは存続できず、現代の奴隷制度と言うべき極めて卑劣な人身売買も、同様に腐敗に支えられています。国によっては、その国内総生産(GDP)のおよそ30パーセントが腐敗行為に吸い取られていることが知られています。
今年、私たちは、腐敗に対する行動を起こそうという責任を認識しなければなりません。誰か他の人が何かをするだろう、という受け身の姿勢で傍観することはもはや許されません。腐敗はその文化や社会が抱える避けられないものだ、などと受け入れることは決してできないのです。
きょうは、2003年にメキシコのメリダにおいて「国連腐敗防止条約」が署名された記念日です。この出来事からわずか2年後、私たちはこの条約の発効を祝っています。12月14日から、世界は腐敗を防止するための新しく、今まで存在しなかった規模の強力な道具を手にするのです。国連薬物犯罪オフィス(UNODC)は、それが確実に効果を発揮できるよう支援する特別な義務を負うことになります。
しかし、道具を使うには手が必要です。政府、民間企業、市民社会および一般市民に対して、この機会を活かすよう説得していかなければなりません。後世の人々に、私たちが行動を起こしたことを知ってもらうようにするためです。私たちは無抵抗に傍観していたわけではないと。私たちは腐敗に対して、真正面から立ち向かったのだと。
人々の教育、健康、福利厚生のために切実な資源が、きちんとした目的のもとに有意義に用いられるよう、また、無法な犯罪者に盗まれないようにするため、世界の国々は行動を共にしてきました。この新しい条約を通して、腐敗に終止符を打つために国際社会は前進しているのです。