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武器貿易条約(ATT)に関する国連会議がスタート:ファクトシート

プレスリリース 13-008-J 2013年03月18日

規制を必要とする物品: 武器貿易条約(ATT)の締結に向けて

ニューヨークの国連本部では、3月18日から28日にかけて武器貿易条約(ATT)の最終国連会議が開催されます。以下は国連軍縮部(UNODA)のまとめたファクトシートの日本語訳です。なお、ATTに関するFAQ(よくある質問)は、当センターのプレスリリース13-009-Jをご覧下さい。

* * * * *

世界のどの地域においても、武器や弾薬を容易に入手できることが、一般住民の人的被害、政治的弾圧、犯罪、テロ行為をもたらしてきました。通常兵器の無責任な移転は、地域の安全保障を揺るがし、武器禁輸違反を引き起こし、人権侵害を助長します。紛争や暴力の頻発に見舞われている国では、投資意欲が削がれ、発展が阻害されてしまいます。紛争や犯罪の多発に苦しんでいる国は、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成することが著しく困難になります。

世界的規範の欠如

世界貿易のほぼすべての領域は規制の対象となっており、関係国は合意された行動規範に従うように拘束されています。しかし、通常兵器の貿易を統制する世界共通のルールは存在しません。各国政府には、武器移転に関する意思決定において責任を果たすことが求められています。つまり各国政府は、武器の国際移転を承認する際には、その移転が紛争を悪化させたり、国際的な人道法や人権法の違反を助長したりするリスクを事前に評価すべきであるということです。

2006年以来、各国は、国連の枠内でこの問題の議論を重ねてきており、現在、2013年に武器貿易条約に関する交渉を決着させるべく協議を続けています。

「私たちは、大量の武器が地方軍閥、犯罪組織、海賊、テロリストの手に渡るのを目にしてきました。そして、ある国が拒否した武器輸出要請が他の国によって承認されるケースも頻繁に生じています。あらゆる武器移転に関する公平・均等な条件が必要なのです」

-アンジェラ・ケイン 国連軍縮担当上級代表

【規制の欠如と国連の活動への影響】

国連は、全世界の人々を支援する活動において、武器貿易に対する統制の緩さがもたらす多くの悪影響に直面しています。平和維持活動、食料援助の提供、公衆衛生の改善、より安全な都市の建設、難民の保護、貧困の撲滅、あるいは犯罪やテロとの闘いなどの任務を考えてみてください。そうした活動すべてに、武器による暴力や紛争の影響が及んでいます。
国際法違反、子どもの人権侵害、民間人の犠牲、人道危機、そして経済社会の発展に必要な機会の喪失 ― そうしたことが無責任な武器取引によって助長されることが少なくないのです。

無規制の武器貿易がもたらす影響

・平和維持活動(PKO)は、特に、紛争当事者が武器や弾薬の供給を受け続けている場合に極めて困難な取り組みとなります。平和維持活動の成果を暴力によって毀損しようとする集団は、武器を購入し続けることが可能な場合、和平合意から離脱しようとする非常に強い動機を持つことになります。

・海賊行為は、年間120億ドルに達するコストを国際社会に課しています。

・紛争状況では、人口集中地域における爆発性の武器の使用は、無差別的かつ壊滅的な影響を民間人に及ぼす恐れがあります。特にそのような武器による殺傷の犠牲になりやすいのは子どもです。

・2000~2010年の間に、780人を超える人道支援関係者が武力攻撃によって殺害され、さらに689人が負傷しました。近年、攻撃は激化しているように思われます。

・国連職員は、武力衝突、強盗、誘拐、人質行為、テロ、脅迫、嫌がらせの標的となってきました。

・違法な武器を使った犯罪や武装暴力は、主要なサービスや資本投資から公共資源が奪い取られる一因です。開発途上国は、GDPの15%も法執行機関に費やしていることがあります(富裕国では5%程度)。

・武装暴力の犠牲者の大多数が居住している国は、小型武器と軽兵器の輸出入・移転に対する統制が弱く、そのような武器が大量に不法拡散しています。

・2011年、13カ国において52の軍隊と武装集団が、子どもを徴用し、子どもを殺傷し、子どもに対する性的暴力を働き続けています。

国連軍縮部(UNODA: UN Office for Disarmament Affairs)の役割とは?

・世界武器貿易条約の交渉を企画・開催し、運営する

・武器貿易に関連するすべての問題について国連システムの調整役を果たす

・国家間の武器移転に関する情報をwww.un-register.orgで公開する

・小型武器の違法取引などの関連トピックへの参照を提供する

・援助供与者と援助要請国を結び付ける「ワンストップショップ」を提供する(UNODA地域センターも通じて)助言を提供し、地域会合を企画・開催し、実施を支援する

支援活動

武器貿易条約に関連する活動を支援するために、国連軍縮部はマルチドナー信託基金「Implementation Support Facility」を創設しました。詳細は、conventionalarms-unoda@un.orgまでお問い合わせ下さい。

武器貿易条約に関する国連会議ウェブサイト
http://www.un.org/disarmament/ATT

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発行: 国連軍縮部(UNODA)
http://www.un.org/disarmament