国際連合:その憲章と機構
UN CHARTER, STRUCTURE AND SYSTEM
平和への闘いに終わりはない。一世紀以上も前にさかのぼる1899年、危機を平和的に解決し、戦争を防止し、かつ戦争の規則を法典化する目的で最初の国際平和会議(International Peace Conference)がオランダのハーグで開かれた。会議は「国際紛争の平和的処理に関する条約」を採択し、常設仲裁裁判所を設置した。裁判所の作業は1902年に始まった。続いて1919年、ベルサイユ条約のもとに国際連盟(League of Nations)が設立された。この機関は第一次世界大戦のさなかに構想され、「国際協力を促進し、平和安寧を完成する」ことを目的としていた。国際連盟は第二次世界大戦の防止に失敗し、その活動を停止したものの、国際協力と対話を通して紛争を平和的に解決する必要は次第に高まっていった。
「国際連合(United Nations:連合国)」という名称は、第二次世界大戦中にアメリカのフランクリン・D・ルーズベルト大統領が考え出したものであった。その言葉が最初に使われたのは、26カ国政府の代表が枢軸国に対して共に戦うと誓った1942年1月1日の「連合国宣言(Declaration by United Nations)」の中であった。中国、ソビエト連邦、イギリス、アメリカの代表が1944年にワシントンD.C.に集まって行った審議に続き、翌年の1945年、50カ国の代表が「国際機関に関する連合国会議(United Nations Conference on International Organization)」に出席するためにサンフランシスコに集まった。会議では「戦争の惨害」を終わらせるとの強い決意のもとに国際連合憲章(Charter of the United Nations)が起草され、1945年6月26日に署名された。
国際連合は中国、フランス、ソビエト連邦、イギリス、アメリカおよびその他の署名国の過半数が批准したことを受けて1945年10月24日に正式に設立された。本部はニューヨークに置かれることになった。世界平和に対するこの歴史的誓約を記念して、毎年10月24日は「国連デー(United Nations Day)」として祝う行事が各国で行われる。第二次世界大戦が引き起こした鋭い対立や多くの審議の対象となったその後の冷戦によって世界が二分化されたにもかかわらず、国連は今後もこの誓いに忠実に、成長を続ける。今や世界では対立がより複雑になり、グローバルなテロリズムのような新たな脅威が出現してきた。こうした問題に取り組むための世界的な交渉の場がこれまで以上に必要となった。こうした状況のもとにあってはこの誓約は今まで以上に今日的な意義を持つようになった。