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事務総長出典「国連の基礎知識」

Secretary-General

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事務総長室は事務総長と上級顧問から構成され、一般的な政策を策定し、国連に対して包括的なガイダンスを提供する。外交官にして唱道者、公務員であると同時に経営責任者でもある国連事務総長は、国連の理想の象徴であり、世界の人々の代弁者である。アントニオ・グテーレス氏(ポルトガル)は九代目の事務総長で、2017年1月1日に就任した。

国連憲章のもとに、事務総長は安全保障理事会の勧告に基づいて総会が任命する。再選も可能である。グテーレス事務総長の前任者は以下の通りである。初代事務総長で1946年2月から1952年11月の辞任まで在職したノルウェーのトリグブ・リー(Trygve Lie)、1953年4月から1961年9月にアフリカの飛行機事故で殉職するまで在職したスウェーデンのダグ・ハマーショルド(Dag Hammarskjold)(在任中に死亡したただ一人の事務総長)、事務総長代行として任命された1961年11月(事務総長として正式任命は1962年11月)から1971年12月まで在職したビルマ(現ミャンマー)のウ・タント(U Thant)、1972年1月から1981年12月まで在職したオーストリアのクルト・ワルトハイム(Kurt Waldheim)、1982年1月から1991年12月まで在職したペルーのハビエル・ペレス・デクエヤル(Javier Perez de Cuellar)、1992年1月から1996年12月まで在職したエジプトのブトロス・ブトロス=ガーリ(Boutros Boutros=Ghali)、1997年1月から2006年12月まで在職したガーナのコフィー・アナン(Kofi Annan)、2007年から2016年まで在職した大韓民国の潘基文(Ban Ki‒moon)である。

2016年の事務総長選出プロセスは、候補者が立候補する意思を自国代表団を通して表明することから始まった。それまでに立候補を表明した候補者の地理的配分はアフリカ、アジア、西ヨーロッパ、ラテンアメリカ・カリブ海域に及んだ。東欧出身の事務総長はいなかったし、女性の事務総長も選出されていなかった。伝統的に安全保障理事会の5常任理事国からの候補者は事務総長のポストには考慮されない。2015年12月、モーエンス・リュッケトフト総会議長とサマンサ・パワー安全保障理事会議長は、候補者を指名するよう加盟国に求めた共同書簡の中で、候補者がそれぞれの関係機関のメンバーとの対話もしくは会合に非公式に参加するための手続きを設定した。選出のプロセス(2016年4月から10月)はこれまでに比べてオープンな形で行われた。公開指名の可能性が探られ、候補者はこれまでになかった全世界にテレビ中継された対話集会に参加した。安全保障理事会はそれぞれの指名候補者と非公開の話し合いを行って、投票を行い、一人の候補者が9理事国は賛成投票を受け、常任理事国の拒否権行使もない場合は、その候補者を理事会の勧告として発表する。2016年10月6日、13人の候補者の中から、グテーレス氏が2017年1月1日から2021年12月31日までの任期で事務総長としての勧告を受けた。

国連憲章は事務総長を国連の「行政職員の長」であると規定している。事務総長はその資格の下に行動し、かつ安全保障理事会、総会、経済社会理事会、その他の国連機関が事務総長に「委託するその他の任務」を遂行する。憲章はまた、国際の平和と安全の維持を脅かすと認める事項について安全保障理事会の注意を促す権限も事務総長に与えている。これらの指針は事務総長の任務と権限を定義づけると同時に、かなりの幅広い行動を許している。 事務総長は加盟国のニーズと関心事を考慮に入れなければならない。その一方で、事務総長は国連の価値と道徳的権威を掲げ、時には同じ加盟国に異議を唱え、挑戦するという危険を冒しながらも平和のために独自に発言し、行動しなければならない。事務総長が果たすもっとも重要な役割の一つが事務総長の「周旋」である。これは、事務総長はその公平さを利用して公的にまたは私的にその「周旋」を利用し、国際紛争の発生を防止し、かつその解決を図ることである。

2016年12月12日の就任演説において、グテーレス氏は紛争防止とその根本的原因を取り除くことを重視する必要を強調し、「防止は新しい概念ではない。それは国連の創始者たちがわれわれに求めていることである。それは人々の命を救い、人間の苦しみを取り除く最善の方法である」と述べた。そして、国連の平和と安全の構造、国連の開発支援制度、国連の内部管理など、三つの主要な分野で大々的な改革を進める意向を表明した。また、国連システム全体におけるジェンダーの平等を達成し、国連の事業における説明責任を明確にする文化を育てると誓った。

副事務総長

カナダのルイーズ・フレシェットが1998年に初代副事務総長に任命された。その後、2006年にイギリスのマーク・マロック・ブラウン、2007年にタンザニアのアーシャ=ローズ・ミギロ、2012年にスウェーデンのヤン・エリアッソンが引き継いでいる。現在の副事務総長はナイジェリアのアミナ・J・モハメドで、2017年に就任した。