国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所
United Nations High Commissioner for Refugees (UNHCR) Representation in Japan
UNHCRとは
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、70年以上にわたり、世界の難民の保護と支援を行ってきた国連の機関です。
組織としての主な目的は、故郷を追われた人々の人権と尊厳を守ることです。すべての人が国際的な保護を求めることができ、安全な生活が確保されるよう、世界130カ国以上で活動しています。政府やパートナー団体、コミュニティとも密接に連携しながら、恒久的な解決策を見いだすために日々取り組みを進めています。
1950年の設立以来、UNHCRは多くの人の命と尊厳を守るを支援を続けてきました。UNHCRの支援対象者には、難民、国内避難民、庇護希望者、帰還民、無国籍者が含まれます。
現在、故郷を追われた人の数は、第二次世界大戦以降最多を記録しています。紛争や迫害により避難を余儀なくされた人々、また、国籍を得ることができない無国籍者は、教育や医療、雇用、移動の自由といった基本的な権利へのアクセスも制限されています。
UNHCRによる保護、シェルター、医療、教育、生活再建などの支援は、壮絶な過去を乗り越え、より明るい未来を構築する上で重要な役割を果たしています。
こうしている今も、世界各地で紛争は続き、また新たな紛争も発生しています。難民問題が拡大、複雑化するなかで、UNHCRの活動はこれまで以上に重要性を増しています。
UNHCR駐日事務所からのメッセージ
日本はこれまで長年にわたり、世界の人道支援において、主導的な役割を果たしてきました。難民や国内避難民、無国籍者などに対する日本の献身的な支援に、UNHCRを代表して、深く感謝したいと思います。
世界では、紛争、暴力、人権侵害、迫害により故郷を追われた人の数が、史上初めて1億人を超えました。
長期化した紛争も出口が見えず、激しさを増している地域もあります。新たな危機も次々に勃発し、人道的なニーズに対する支援が追いつかない状況です。ここ数年では新たに、ウクライナ、スーダン、ミャンマー、ベネズエラ、イエメン、カメルーンなどで、多くの人が避難を余儀なくされています。また、シリア、イラク、アフガニスタン、南スーダン、ソマリアの難民や国内避難民は、恒久的な解決策がないまま、帰還の見通しが立っていない人がほとんどです。このような人々を受け入れているのは、グローバルサウスとも呼ばれる低中所得国であり、受け入れ側の国やコミュニティの負担の軽減にどう取り組むか、国際社会がどのように責任を分担するかが、大きな課題となっています。
そのような状況の中で、日本の資金協力は、UNHCRとパートナー団体の活動をあらゆる面で支えてきました。日本は、難民・移民の保護の促進を目指した2016年の「ニューヨーク宣言」、2018年の「難民に関するグローバル・コンパクト」への積極的な支持を表明し、2023年には「第2回グローバル難民フォーラム」の共同議長国として国際社会で難民支援の議論をリードする立場となります。また、日本はUNHCR執行委員会の常連の加盟国で、「人道・開発・平和の連携(ネクサス)」や「人間の安全保障」の概念こそが、人々の生活の改善の助けとなると訴えてきました。
UNHCR駐日事務所は、世界的な難民問題とUNHCRの活動に対する日本での理解促進のために、日本政府、市民社会、教育機関、民間企業、団体、自治体、ユースなど、多様なステークホルダーとパートナーシップ構築を進め、“社会全体で取り組む難民支援”を実現していくことが重要であると考えています。
人道危機が起こっている地域から、日本は地理的には遠く離れているかもしれません。しかし実際に、紛争や迫害から逃れるため、安全を求めて日本にやってくる難民もいるのです。日本は「難民の地位に関する1951年の条約」の加盟国であり、これまでも包括的な庇護制度の発展に向けた取り組みを進めてきました。UNHCRは日本の庇護制度の充実に向けて、第三国定住プログラムを支援し、日本で暮らす難民への高等教育の機会提供をはじめとする当面の代替措置などを見いだすべく、日本政府とさらなる連携に努めてまいります。
私はUNHCRでの30年にわたる世界各地での現場経験の中で、日本の迅速かつ継続的な支援が故郷を追われた人々の命を守り、生活再建を支えていることを実感してきました。拡大し、複雑化する難民問題に対して必要なのは“社会全体での取り組み”です。日本の皆さんと連携を強化しながら、難民や国内避難民、無国籍者のより良い未来に向け、日本だからこそできる支援に共に取り組んでいきたいと思います。
お問い合わせ先
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