シリア危機と国連の対応【ウィークリー・アップデート第61号】9/26付資料
2014年09月26日
国連広報局(DPI)は、シリア危機への国連の様々な対応をまとめた資料を週に一度発表しています。以下はその日本語訳です。
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ウィークリー・アップデート
国連広報局(DPI)第61号/2014年9月26日
◆事務総長、過激派武装集団への断固とした対策を要求
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は9月23日の記者会見で、ニューヨークに集まった世界の指導者に対し、シリアの過激派武装集団への対策を一致団結して支援するよう強く促しました。「これら過激派集団が国際の平和と安全にとって直接の脅威となっていることは間違いなく、この点については国際的な幅広い合意もでき上がっています」。事務総長はこう語り、次のように付け加えました。「シリアで活動するテロ集団に対処するためには、多面的なアプローチが必要です。このアプローチは、当面の安全保障上のリスクに取り組み、残虐行為や犯罪に歯止めをかけるとともに、より長期的には、こうした集団の温床となっている諸条件を排除できるものとすべきです」。事務総長は、こうした課題に対処するための国際的連帯を歓迎しつつ、あらゆる措置を国連憲章と国際人道法に完全に沿うものとすることの重要性も強調しました。「シリアの人々を守るため、直ちに行動を起こす必要はありますが、そうした行動は国連の諸原則に根づくものとせねばなりません」。事務総長はこのように指摘しました。
-記者会見での事務総長の発言は以下をご覧ください。
http://www.un.org/sg/offthecuff/index.asp?nid=3572
◆事務総長、ヨルダン国王とシリア、イラク情勢について協議
事務総長は9月24日、国連総会に出席しているアブドラ2世ヨルダン国王と会談し、シリアとイラクの過激派分子による安全保障上の脅威に対する深い懸念を表明しました。また、ヨルダンによるシリア難民の受け入れに感謝するとともに、すべての難民に対し、引き続き国境検問所の開放を確保することの重要性を強調しました。事務総長はさらに、緊張が高まる中、国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)の活動継続を支援するためにヨルダンが果たしている役割につき、深い謝意を表明しました。
-詳しくは以下をご覧ください。
http://www.un.org/sg/offthecuff/index.asp?nid=3588
◆国連特使:テロ対策に伴う政治的プロセスが必要
ステファン・デ・ミストゥーラ シリア担当事務総長特使は9月23日、最近のダマスカス訪問について安全保障理事会に報告を行いました。特使はこの中で、暴力の鎮静化、援助へのアクセス改善、政治的プロセスの促進という、シリアに関する3つの最優先課題の輪郭を示しました。デ・ミストゥーラ特使は「微妙かつ危険」な時期を迎えているという現状認識を示しつつ、国際社会はシリアで緊急に援助を必要としている1,100万人への支援を確保しなければならないことを強調しました。そして、安保理に対し、テロ対策と並行して、すべてのシリア人を包摂する真の政治的プロセスを立ち上げることが必要だと述べるとともに、アサド大統領も政治的プロセスの重要性については同意していることを指摘しました。
-詳しくは以下をご覧ください。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=48796#.VCT94GccRaQ
◆13万人を超えるシリア難民がトルコに流入
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は9月23日、シリア北部の村落に対する「イスラム国」の脅威を逃れたクルド人を中心とする難民13万8,000人以上が、トルコ南部に流入したことを明らかにしました。これによると、難民は引き続き開放されているユルムタリク、 ムルスティピナル/アルマナクの2カ所の国境検問所を通って入国しています。UNHCRはこのうちの1カ所の検問所付近で移動登録センターを運営しています。登録された難民は、トルコ国内の診療所での診察が無料になる身分証明書を支給されるほか、現地の自治体や非政府組織その他の援助機関からの支援も受けています。
-UNHCRのプレスリリースは以下をご覧ください。
http://www.unhcr.org/54214ed19.html
◆OHCHR:シリア北部で数十万人が迫害のおそれ
人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、シリア北部のコバニ付近の民間人が置かれた状況について、深い懸念を表明しました。OHCHRの報道官は9月23日、記者団に対し、「イスラム国」が女性と子どもを含む民間人を故意に殺害したり、クルド人数百人を拉致したりしているという憂慮すべき報告を受けたことを明らかにしました。これによると、「イスラム国」は9月15日以来、コバニのクルド人村落105カ所以上を攻略しています。この地域では今でも数十万人が、シリアの他地域やイラクで「イスラム国」が宗教的、民族的少数者に対して働いたような迫害の恐怖におびえながら暮らしています。
-OHCHRによるブリーフィングの詳細は以下をご覧ください。
http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=15085&LangID=E
◆シリア危機の深刻化で、さらに数百万人の子どもが危険な状態に
「失われた世代にしないために(No Lost Generation)」イニシアティブは、主な政府、NGO、国連のパートナーが国連総会と並行して開催する会合を前に、報告書を発表し、シリア危機の深刻化によって、1世代の子どもたち全体が依然として危険にさらされていることを明らかにしました。
報告書の指摘によると、思春期の子どもたちは特に脆弱で、十分なサービスを受けられない立場にあり、こうした状況に対する怒りや苛立ちから、武装集団に誘い込まれやすくなっています。このような子どもたちが暴力や紛争に引き込まれないようにするためには、機会を作り出すことが欠かせません。「失われた世代にしないために」イニシアティブは2014年、シリア国内の教育と子どもの保護に使う資金として、8億8,500万ドルの拠出を呼びかけました。現在までに3億100万ドル(34%)が集まっていますが、まだ5億8,400万ドルが不足しています。
-関連プレスリリース、および報告書の全文は以下でご覧になれます。
国連の事務局、機関、基金および計画へのリンク:
国連広報局(DPI)シリア特集ページ:
http://www.un.org/apps/news/infocusRel.asp?infocusID=146
化学兵器禁止機関・国連合同査察団(OPCW-UN):
国連の人道関係機関:
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/media/index.html
世界食糧計画(WFP)
http://www.wfp.org/countries/syria
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/crisis/syria
世界保健機関(WHO)
http://www.who.int/countries/syr/en/
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/4f86c2426.html
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)
http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/NewsSearch.aspx?CID=SY
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
ソーシャルメディア:
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YouTube: http://www.youtube.com/unitednations
Tumblr: http://united-nations.tumblr.com/
フォトギャラリー:
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/49c3646c25d.html
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
http://www.unrwa.org/photogallery.php
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/media-resources/photo-gallery
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/photography/photo_2013.php#UNI82253
統合地域情報ネットワーク(IRIN)
http://www.irinnews.org/photo/
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