ミラノ会議、気候変動への協調的緊急対策を呼びかけ閉幕
プレスリリース 03/131-J 2003年12月26日
「国連気候変動枠組み条約」締約国188カ国による年次閣僚級会合は、2003年12月12日、20数件の法的決定を下し、温室効果ガス排出量抑制と気候変動の影響への対応に向けた幅広いオプションを検討してミラノで閉幕しました。
会議には閣僚95人を含む5,000人が参加し、各国政府、市民社会および民間による一層の活動の促進を図るとともに、京都議定書発効に向けた準備を行いました。
会期中のハイレベル政治協議は、適応、ミチゲーション、持続可能な開発、科学技術およびアセスメントに焦点を絞った3回の閣僚懇談会の形で行われました。閣僚の間では、気候変動が人類にとって引き続きグローバルな最重要課題であること、および、その悪影響はすでに世界各地で表れていることについて合意が見られました。先進国、途上国を問わず、気候変動への適応を目指す活動を報告し、開発途上国のこうした取り組みを支援する道義的責任を強調する締約国も多く見られました。
京都議定書は、大気中の温室効果ガスを安全なレベルで安定させるという条約の目標達成に向けた重要な第一歩であることを参加者は強調し、その早期発効を呼びかけました。さらに、京都議定書は気候、エネルギーおよび投資に対する私達の考え方をすでに変えつつあるとの見解も表明しました。
各国閣僚は、経済成長と気候変動対策が矛盾せず、早期に対策を講じれば、経済的利益が生じ得ることを指摘。省エネプロジェクトなどの政策や措置の実施は、健康増進などの社会的・環境的成果に加えて、経済成長と排出量増加との因果関係を断ち切ることにも貢献できるとしました。科学技術研究やクリーナー・プロダクション(環境汚染を抑えた生産)などにとって、南北協力と地域協力の強化は欠かせません。
よい統治とインフラ、さらに民間投資のチャンスは死活的に重要です。また、今後20年間に必要な電力生産への巨額の投資を行う上で、利用できる最善の技術を選んでゆくことも不可欠です。幸い、多くの排出削減技術がすでに利用できる状態にあります。議定書の「柔軟なメカニズム」(クリーン開発メカニズム、共同実施および排出権取引)は、科学技術への投資とその普及を促進するでしょう。
会議で採択された正式決定は、条約本体と京都議定書双方の制度的枠組みを強化することになります。
「気候変動に関する政府間パネル」は、グッドプラクティス・ガイダンスを提示しています。これに基づく新しい排出量報告ガイドラインは、土地利用の変化と林業による炭素濃度の変化を報告する上で、適切で信頼できる基盤となるでしょう。新たなガイドラインに基づく報告は、2005年に予定されています。
もう一つの重要な前進として、クリーン開発メカニズム(CDM)による炭素吸収型森林管理プロジェクトのあり方と規模に関する合意があげられます。この合意は2年前にマラケシュで採択されたパッケージを補完し、CDMをさらに幅広い活動へと広げるものとなっています。
2週間の討議では、気候変動の影響を最も受けやすく、効果的開発の策定と実施を必要としている後発開発途上国の資金ニーズをはじめ、先進国・途上国間の協力が多く取り上げられました。技術移転と能力育成の問題は多くの決定で取り上げられており、民間とのパートナーシップによってこの取り組みを進めることの重要性がはっきりと理解されています。
「特別気候変動基金」(Special Climate Change Fund)と「後発開発途上国基金」(Least Developed Countries Fund)はさらに発展を見ました。2つの基金は技術移転、適応プロジェクトおよびその他の活動を支援することになります。欧州連合、カナダ、アイスランド、ニュージーランド、ノルウェーおよびスイスは資金拠出誓約を更新し、これら基金その他を通じて毎年4億1,000万米ドルを開発途上国に供与する予定です。
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