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あなたの人権について知ろう
-人権デー、2003年12月10日-
人権の大きな前進 1993-2003年

プレスリリース 03/129-J 2003年12月26日

10年前、世界各国は一堂に会し、あらゆる人権を促進、保護するという決意を新たにしました。この厳粛な行為は、1993年世界人権会議の「ウィーン宣言と行動計画」に体現されています。このウィーン憲章には、各国が約束を行動に移すのを助ける方法が定められていますが、その中でも優先事項として要請されたのが、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の創設です。

 創設10周年を迎えるOHCHRは、人権を国際的な最優先課題に掲げ、もっとも深刻な人権侵害の被害者たちの声を代弁するよう努めてきました。また、国際人権法の強化とその適用範囲の拡大も求めてきました。OHCHRは各国による人権の遵守を支援するとともに、公務員と市民社会代表の人権関連能力の強化にも携わっています。さらに、各国が人権を尊重しているかどうかを監視する取り組みに不可欠な支援を提供しているほか、国連全体が各国レベルでの活動で人権を考慮する上での手助けも行っています。

 少数者・多数者、農村部・都市部、そして老若男女を問わず、すべての人々にとって市民的、文化的、経済的、政治的および社会的なあらゆる人権を現実のものとするというのが、これら分野の底流をなす不変の哲学です。

1. 可視性と唱道:
OHCHRは、国際社会の根本的な懸案事項として、人権の重要性と可視性を高めることに貢献しました。OHCHRは特に、子どもに対する暴力や武力紛争下の子どもなど、国際的な関心事項について人権面でのリーダーシップを発揮しています。また、HIV/エイズ、テロ対策、および、女性と子どもをはじめとする人身売買に関する人権ガイドラインの採択においても重要な役割を果たしました。さらに、ジェノサイド、戦争犯罪および人道に対する罪の処罰に向けた取り組みの一環として、ユーゴスラビアとルワンダに関する国際刑事法廷、および、国際刑事裁判所とシエラレオネ特別法廷の設立も支援しました。

2. 国際人権法をより多くの人々が理解できるようにし、これを常に前進させること:
OHCHRは各国による国際人権法採択の重要な提唱者となってきました。1993年以来、主要な7つの国際人権条約の各国による批准数は646件から1,232件へと増えました。OHCHRは新たな国際人権条約の策定にも参加しています。例えば、2000年に国連が採択した「児童の権利に関する条約選択議定書」は、子ども兵士徴用の禁止措置を強化したほか、2003年7月には人権と移住者に関する条約が発効しています。これと並行して、OHCHRは各国による新たな国内人権立法の採択を支援することで、従来からの課題と新たな課題への対処を助けるとともに、国内法の国際基準への適合を図っています。

3. 各国による人権の遵守を助け、その能力を強化すること:
OHCHRは諮問サービスと技術協力プロジェクトを通じ、判事、警察官、弁護士、教員および人権監視員を対象とする人権研修や、国内人権立法の起草などの幅広い領域で、各国を援助しています。OHCHRは全世界で国内人権委員会とオンブズパーソン制度の設立、強化を支援するとともに、各国および地域の市民団体にも援助を提供しています。「国連人権教育の10年」(1995-2004年)に対する貢献の一環として、OHCHRはアブハーズ語からズールー語に至るまで、300を超える言語と方言に「世界人権宣言」を翻訳し、できるだけ多くの人々がこれを読めるようにするためのキャンペーンを先頭に立って展開しました。OHCHRの「コミュニティ共同援助」(ACT)プロジェクトは1998年以来、48カ国で310件の草の根活動に資金を提供しています。また、「拷問犠牲者のための自発的基金」と「先住民の仲間」プログラムを通じて、各国レベルでの人権活動に資金を供与するとともに、人権擁護者向けの国際研修も行っています。研修員たちはその後、自国に戻り、この新たな経験を自らの活動に生かしています。これらの取り組みのねらいは、各国国内で人権法を施行し、進捗状況をチェックし、具体的な人権侵害と一般的な問題を調査、報告し、これに対処する能力を高めることにあります。

4. 国際的な人権法遵守監視の支援:
国際社会はこれまで50年にわたり、各国による人権法施行の進捗状況をチェックする機構を作り上げてきました。各国の条約遵守状況を監視する委員会や国連人権委員会が任命した独立調査員を含むこれらの機構は、OHCHRの支援により過去10年間に1,300件を超える国別報告書を検討し、数百件のテーマ別あるいは国別の勧告を発表し、数百回の各国訪問を行い、個人からの数千件に及ぶ人権侵害の申立てを受理してきました。こうした活動の甲斐もあり、各国は自ら進捗状況を定期的に審査するとともに、国際社会にこれを独自にチェックする機会を与えています。

5. 本部と各国レベルで国連システムがその人権アプローチを強化するための支援:
人権は国連の活動全体に浸透しています。このことは例えば、学校の建設を援助しても、一部の子どもたちが差別によってこれに通えなければ、国連の目的に反することを意味します。OHCHRは特に各国レベルで、プロジェクトの策定あるいは実施の際に人権が必ず考慮されるよう、国連の諸機関に援助を提供しています。事務総長は実際、その改革課題の中で、人権の理念を各国レベルでの国連活動の中心に据える必要性を強調しています。さらに、OHCHRと国連開発計画(UNDP)の共同プロジェクト「人権の強化」(HURIST)は、30カ国以上におけるUNDPの活動について、人権アプローチに向けた指針、ツールおよびベストプラクティスを提供しています。人権チームは現在、国連の平和維持活動と人道危機への国連の対応に必ず加わることになっています。OHCHRは1993年以来、全世界の40カ国以上でフィールド・プレゼンスを確保し、その他の国連機関からしばしば貴重なサブ、ロジ両面での支援を受けながら、人権尊重の監視や人権侵害の調査から技術協力プロジェクトの実施や国内の人権関連能力の強化に至るまで、幅広い問題に対処しています。現在、現場で活躍中のOHCHRスタッフは273人に上ります。

 このような活動を通じ、OHCHRは全世界で人権を支援する上で大きな前進を遂げてきました。しかし、これまでの前進は人権の完全な実現に向けた旅の一部にすぎません。先の道のりはまだまだ長いのです。