国際コメ年 2004 スタート
~国連本部での記者会見から~
プレスリリース 03/115-J 2003年11月10日
国連食糧農業機関(FAO)のミシェル・サヴィニ事務局次長は10月31日、国連本部で記者会見を行い、2004年を「国際コメ年」とする決定は、国連が農作物を記念する1年を設ける初の試みだと語りました。
この記者会見は、国際コメ年2004のスタートにあたって開かれたものですが、この中でサヴィニ次長は、来年をコメ年とするという決定が、飢餓と貧困の根絶に関する国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成において、持続可能なコメ生産が重要な役割を担うことを示すものだと述べました。記者会見にはFAO植物生産・防疫局のマフムード・ソル局長も同席しました。
サヴィニ次長によれば、コメは世界人口の半数以上の人々にとっての主食であり、世界の栄養供給量の20%を占めていますが、これは小麦の19%、トウモロコシの5%をしのぐものです。しかし、世界人口が増加を続けるなか、コメ生産は土地と水をめぐって都市開発などその他の用途との間で競合が生じています。
サヴィニ次長はさらに、アフリカ、アジアおよび南北アメリカのほぼ10億世帯が、コメ生産システムに雇用と生活の糧を主に依存していることを指摘。各国が「農民、女性、子ども、そして特に貧困層に恩恵を及ぼすような持続可能な方法」でコメの増産を図る上で、国際コメ年が「起爆剤」としての役割を果たすことを期待すると述べました。
コメの増産の予測に関する質問に答え、ソル局長は、1970年代と1980年代には2.5%の増産が見られたものの、1990年代にはこの伸びが1.1%にまで鈍化したと回答。こうした数字を見れば、食糧としてのコメ需要を世界的に充足できていないことは明らかだとしました。そして、2004年を国際コメ年と宣言するきっかけとなったのは、まさにこのコメ生産の低迷であったと述べました。
ソル局長によれば、年間のコメ生産量は4,000億トンに上りますが、その半分は中国とインドが生産しています。しかし、エジプトも急激に生産を伸ばしており、2001年の単位面積あたり収量では第1位となっています。
遺伝子組換え米に関する質問に対し、ソル局長はあらゆる「科学技術の進展」を注視してゆくと回答。遺伝子組換え米は、特にビタミンAの含有という点で、依然として議論の的であることを認めながらも、中国、インド、および、米国のコーネル大学と韓国の科学者たちは、その生産の将来性を一部実証していると述べました。また、開発途上国では遺伝子組換え米が「大きな懸念」にはなっていないとも主張しました。むしろ懸念すべきは、適切な資源を提供することであり、遺伝子組換え作物の問題を実際に議論するには、まだかなりの時間がかかると見られます。
ソル局長は、国際コメ年が生産システムの多様化に重点を置くものになろうという期待を表明。「コメだけでなく、コメを中心とする生産システムについて話し合うほうが適切だ」としました。なぜなら、コメ中心の生産システムには他の生産の側面も含まれ、それによって他の換金作物も関わってくるからです。ソル局長は、コメ生産における節水の問題に取り組むための措置も講じる必要があると述べました。