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持続可能な開発に関する世界サミット
(ヨハネスブルク、南アフリカ 2002年8月26日~9月4日)

プレスリリース 03/057-J 2003年06月26日

サミットの主要な成果
 
● サミットは、持続可能な開発が国際的な課題の中心要素であることを再確認するとともに、貧困と闘い、環境を保護するためのグローバルな行動に新たな弾みを与えました。
 
● サミットの結果、貧困、環境および天然資源利用の間に見られる重要な関連性をはじめ、持続可能な開発に対する理解が広がり、強化されました。
 
● 政府は、持続可能な開発目的を効果的に達成するための広範な具体的コミットメントや目標について合意し、これを再確認しました。
 
● エネルギーと衛生の問題は、持続可能な開発に関するこれまでの国際会議にも増して、交渉と成果の重要な要素となりました。
 
● 貧困撲滅のための「世界連帯基金」設立に対する支持は、一つの前進でした。
 
● 国際社会はアフリカの開発ニーズへの取組みとして、アフリカと「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」に特別の注意を払って支援することにしました。
 
● 会議の結果を実施し、パートナーシップ・イニシアチブを促進する上で市民社会が重要な役割を果たすとの認識のもとに、サミットでは市民社会の見解が重視されました。サミットには市民社会から8,000人以上が参加したほか、NGO、女性、先住民、若者、農民、労働組合、財界指導者、科学技術専門家および地方自治体、それに各国の裁判所長など、主要グループがサミットと並行して各種イベントを開催しました。
 
● 政府、企業および市民社会のパートナーシップという概念は、サミットや実施計画で大きく取り上げられました。サミットに先立ち、220件を超えるパートナーシップ(総額2億3,500万ドル)が明らかにされたほか、サミット開催中にもおよそ60件のパートナーシップが発表されました。

 

ヨハネスブルク実施計画の主要な公約、目標および達成期限※1

※1 注:このリストは網羅的なものではなく、ヨハネスブルク実施計画に定められた主要な公約に関する情報を提供するものです。これら公約の正確な文言を含む計画全文は、公式ウェブサイト(www.johannesburgsummit.org)でご覧になれます。

貧困の撲滅

 2015年までに、世界人口のうち1日1ドル以下で暮らす人々や飢餓に苦しむ人々の割合を半減させる(ミレニアム開発目標の再確認)。
 
 2020年までに、「スラムのない都市」イニシアチブで提案されたように、少なくとも1億人のスラム居住者の生活を大幅に向上させる(ミレニアム開発目標の再確認)。
 
 開発途上国における貧困を撲滅し、社会・人間開発を促進する目的で「世界連帯基金」を設立する。
 
水と衛生
  
 2015年までに、安全な飲料水を利用できない人々の割合を半減させる(ミレニアム開発目標の再確認)。
 
 2015年までに、基本的な衛生施設を利用できない人々の割合を半減させる。
 
持続可能な生産と消費
  

 持続可能な消費と生産への転換を加速させるため、10年計画の枠組みの策定を奨励し、促進する。
 
エネルギー
  
再生可能エネルギー
 エネルギー供給を多様化して、再生可能エネルギー源の全体的シェアを大幅に拡大し、総エネルギー供給量への寄与率を高める。
 
エネルギーへのアクセス
 2015年までに貧困人口の割合を半減させるという目標を含め、ミレニアム開発目標の達成に十分となるように、信頼でき、金銭的に利用可能かつ経済的に持続可能で、社会的に受容でき、環境上適正なエネルギーのサービスおよび資源に対するアクセスを改善する。
 
エネルギー市場
 税制改革および有害な補助金の段階的廃止を含め、市場の歪みを排除する。
 需要と供給の双方に関し、安定性の改善と消費者のエネルギー・サービスに対するアクセス確保をねらいとして、エネルギー市場の機能、透明性および情報を改善する取組みを支援する。
 
エネルギー効率
 国際社会の支援を受け、エネルギー効率改善のための国内プログラムを確立する。また、研究開発の促進を含め、エネルギー効率と省エネ技術の開発および普及を加速する。
 
化学物質
  
 2020年までに、人間の健康と環境に大きな悪影響を与えない方法で化学物質の使用と生産を行うようにする。
 
 そのライフサイクルを通じ、化学物質および有害廃棄物の健全な管理に対するコミットメントを新たにする。
 
 化学物質と有害廃棄物に関する国際条約の批准と実施を促進することにより、ロッテルダム条約が2003年までに、ストックホルム条約が2004年までに発効できるようにする。
 
「2000年以降に向けたバイア宣言および行動優先課題(Bahia Declaration and Priorities for Action beyond 2000)」に基づき、2005年までに、国際化学物質管理に対する戦略的アプローチをさらに発展させる。
 
 化学物質の分類およびラベリングに関する新たなグローバル統一システムの実施を各国に促し、2008年までにこのシステムの全面的な実施を図る。
 
天然資源の管理
  

 2005年までに、総合的な水資源管理・水効率計画を開発する。
 
海洋と漁業
 漁業資源の持続可能な開発のために2010年までに生態系アプローチを適用するよう奨励する。
 
 緊急課題として、かつ、可能であれば2015年までに、枯渇した漁業資源を持続可能な最大の生産量を確保できるレベルに維持あるいは回復させる。
 
 合意された期日までに、FAO国際行動計画を実施に移す。
 -漁獲能力の管理については、2005年までに
 -違法、無申告および無規制の漁業の防止、抑止および廃止については、2004年までに
 
 生態系アプローチを含む多様なアプローチとツールの利用を開発および促進し、破壊的な漁業慣行を廃止し、2002年までに、代表的ネットワークを含め、国際法に従い、科学的情報に基づく海洋保護区域を設定する。
 
 2004年までに、海洋環境の状態に関するグローバルな報告と評価のための通常プロセスを国連の下に設けること。
 
 違法、無申告および無規制の漁業ならびに過剰漁獲能力を助長する補助金を廃止すること。
 
大気
 2003/2005年までに、「オゾン層破壊物質に関するモントリオール議定書(Montreal Protocol on Substances that Deplete the Ozone Layer)」基金の十分な補充を確保することにより、同議定書の実施を促進する。
 
 2010年までに、オゾン層破壊物質の代替物質に対する開発途上国のアクセスを改善し、これらの国々がモントリオール議定書による段階的廃止期限を順守できるように援助する。
 
生物多様性
 2010年までに、生物多様性の損失の速度を現在よりも大幅に低下させる。
 
森林
 2005年の進捗状況アセスメントに貢献するため、各国および「森林のための協調パートナーシップ(Collaborative Partnership on Forests)」による森林に関する政府間パネル(IPF)/森林に関する政府間フォーラム(IFF)行動提案の実施を加速させるとともに、国連森林フォーラムに対する報告への取組みを強化する。
 
企業の責任

 政府間協定や措置の十分な策定と効果的な実施、国際的なイニシアチブと官民パートナーシップ、および、適切な国内規制を通じたものを含め、企業の責任と説明責任を積極的に促進する。
 
保健
  
 2010年までにグローバルなヘルス・リテラシーを改善する目的で、保健教育を拡充する。
 
 2015年までに、乳児および5歳未満の幼児の死亡率を2000年比3分の2、妊産婦死亡率を2000年比4分の3、それぞれ引き下げる(ミレニアム開発目標の再確認)。
 
 罹患率がもっとも高い国々においては2005年までに、世界的には2010年までに、15歳から24歳までの若い男女のHIV感染率を25%減少させるとともに、マラリア、結核およびその他の病気とも闘う(総会決議の再確認)。
 
小島嶼開発途上国の持続可能な開発
  
 廃棄物と汚染およびその健康への影響を削減、予防および規制するため、2004年までに、「陸上活動からの海洋環境の保護に関する世界行動計画(Global Programme of Action for the Protection of the Marine Environment from Land-based Activities)」の実施を目指すイニシアチブに着手する。
 
 2004年までに、持続可能なツーリズムに関する地域主体型のイニシアチブを策定する。
 
 2004年までに、エネルギーの供給とサービスに関する取組みの強化など、十分かつ経済的に利用可能で環境を健全に保つエネルギー源を、小島嶼開発途上国の持続可能な開発に利用できるよう支援する。
 
2004年に「小島嶼開発途上国の持続可能な開発のためのバルバドス行動計画(Barbados Programme of Action for the Sustainable Development of Small Island Developing States)」の実施状況を再検討する。
 
アフリカのための持続可能な開発
  
 特に、2005年までに飢餓に苦しむ人々の割合を半減させるため、ミレニアム開発目標に従い、持続可能な農業生産性と食糧安全保障を改善する。
 
 アフリカ諸国が2005年までに食糧安全保障戦略を策定および実施できるように支援する。
 
 特に農村部において、20年以内にアフリカ人口の少なくとも35%がエネルギーを利用できるようにするという、エネルギーに関するNEPAD目標実現に向けたアフリカの取組みを支援する。
 
実施手段
  
 2015年までに、すべての子どもが初等学校教育を修了できるようにするとともに、女子と男子が国民的ニーズに即したあらゆるレベルの教育に平等にアクセスできるようにする(ミレニアム開発目標の再確認)。
 
 2005年までに、初等・中等教育における男女間格差を解消する(万人のための教育に関するダカール行動枠組みの再確認)。
 
 国連総会に対し、2005年に始まる10年を「持続可能な開発のための教育の10年」と指定することを検討するよう勧告する。
持続可能な開発のための制度的枠組み
 国際、地域および国内のレベルにおいて、持続可能な開発のための制度的取極めを強化する新たな措置を採択する。
 
 アジェンダ21の実施状況について再検討と監視を行い、かつ、実施、イニシアチブおよびパートナーシップの整合性向上によるものを含め、持続可能な開発委員会の役割を強化する。
 
 持続可能な開発の環境的、社会的および経済的側面を国連地域委員会作業プログラムへ統合し、それを促進する。
 
 国連システムの中に、海洋および沿岸問題に関する効果的かつ透明で通常の機関間調整メカニズムを発足させる。
 
 持続可能な開発のための国内戦略を直ちに策定し、2005年までにその実施を開始する。

 

ヨハネスブルク・サミットの主要なイニシアチブを発表※2

※2  以下のリストは網羅的なものではなく、ヨハネスブルク・サミット開催中に発表された一部の重要なイニシアチブを反映するものです。

水と衛生
  
● 米国は今後3年間、水・衛生プロジェクトに9億7,000万ドルの投資を行うと発表しました。
 
● 欧州連合は、主としてアフリカと中央アジアで水と衛生に関する目標を達成するようパートナー機関に求める「命の水(Water for Life)」イニシアチブを発表しました。
 
● アジア開発銀行は、国連ハビタットに500万ドルの無償資金協力を提供するとともに、「アジア諸都市のための水プログラム(Water for Asian Cities Programme)」に向けた5億ドルの緊急融資を行いました。
 
● 国連はその他にも、21件の水・衛生イニシアチブを受けましたが、これによる追加資金は少なくとも2,000万ドルに上ります。
 
エネルギー
  
● E7の大手電力会社9社は、開発途上国での持続可能なエネルギー・プロジェクトへの技術協力を促進するため、国連との一連の協定に署名しました。
● 欧州連合は総額7億ドルに上るエネルギーに関するパートナーシップ・イニシアチブを発表し、米国は、2003年に4,300万ドルを上限とする投資を行うと発表しました。
 
● 国連経済社会局、UNEPおよび米国の環境保護局は、民間セクター、NGO、先進国および開発途上国のパートナーからの幅広い支援を受けて、「よりきれいな燃料と車(Cleaner Fuels and Vehicles)」に関するパートナーシップを発表しました。
 
● 南アフリカのエネルギー公社「エスコム(Eskom)」は、近代的なエネルギー・サービスを近隣諸国に拡大するパートナーシップを発表しました。
 
● 国連環境計画は、開発途上地域に向けたグリーン・エネルギーとよりクリーンなエネルギーに関する技術の研究、移転および展開を促進する新イニシアチブ「持続可能な開発のためのエネルギーに関するグローバル・ネットワーク(Global Network on Energy for Sustainable Development)」を発足させました。
 
● 国連はエネルギー・プロジェクトに関する、32件のパートナーシップを受けましたが、その金額は少なくとも2,600万ドルに達しています。
 
保健
  
● 米国は健康問題について2003年までの間に23億ドルを支出すると公約しましたが、そのうちの一部は、すでに「グローバル基金」の分として指定されています。
 
● 国連は保健プロジェクトに関して、16件のパートナーシップを受けましたが、その金額は300万ドルに上ります。
 
農業
  
● 米国は2003年、持続可能な農業プログラムに9,000万ドルの投資を行う予定です。
 
● 国連は17件のパートナーシップの申し出を受けましたが、これによる追加資金は少なくとも200万ドルに上ります。
 
生物多様性と生態系管理
  
● カナダとロシアは、京都議定書を批准する意志を表明しました。
 
● 米国は2002年から2005年までに、森林プロジェクトに対して5,300万ドルの拠出を発表しました。
 
● 国連は32件のパートナーシップ・イニシアチブを受けましたが、その金額は1億ドルに及びます。
 
横断的な問題
  
● グローバル環境ファシリティーの資金補充につき、総額30億ドルの合意がなされました(サミット以前に29.2億ドルの拠出表明、ヨハネスブルクでEUが8,000万ドルを追加)。
 
● ノルウェーは、ヨハネスブルクでの公約を受けて、5,000万ドルの追加拠出を誓約しました。
 
● 英国は、アフリカへの援助を倍増して年間10億ドルとするとともに、すべての国々への援助総額を50%増額すると発表しました。
 
● EUは、開発援助額を2006年までに220億ユーロ増額し、さらに2006年以降も毎年90億ユーロ以上増額すると発表しました。
 
● ドイツは、再生可能エネルギーに関する協力を促進するため、今後5年間で5億ユーロの拠出を表明しました。
 
● カナダは、2003年1月1日付で、後発開発途上国からのほとんどすべての輸入品に対する関税と輸入枠を撤廃するとともに、2010年までに、開発援助額を倍増すると発表しました。
 
● 日本は、5年間で2,500億円以上の教育援助を提供するとともに、南部アフリカの子どもたちを飢饉から救うため、3,000万ドル相当の緊急食糧援助を提供すると発表しました。
 
● 日本はまた、5年間で海外から5,000人の研修員を受け入れることにより、環境関連の能力育成に向けた協力を行うことも発表しました。
 
● アイルランドは、アフリカ地域の人道ニーズに対応し、ほぼ900万ユーロの緊急援助資金を計上したと発表しました。