シリア危機と国連の対応【ウィークリー・アップデート第76号】1/7付資料
2015年01月09日
国連広報局(DPI)は、シリア危機への国連の様々な対応をまとめた資料を週に一度発表しています。以下はその日本語訳です。
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ウィークリー・アップデート
国連広報局(DPI)第76号/2015年1月7日
◆シリア、UNHCRが支援対象とする難民の最大流出国に
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は1月7日、「2014年央トレンド」に関する報告書を発表し、UNHCRが支援対象とするシリア難民の数が300万人を超えたことを明らかにしました(2014年6月現在)。過去30年間、UNHCRの保護下にある難民の最大の流出国はアフガニスタンでしたが、シリアはこれを抜き、初めて最大の難民流出国となりました。シリア難民は現在、全世界でUNHCRが支援する難民全体の23%を占めています。また、報告書によると、中東、アフリカその他地域での戦争によって、2014年1月から6月までに、550万人が避難民になったものと見られていますが、この数字は、避難を余儀なくされる人々の数が増え続けていることを示しています。「国際社会が既存の紛争を政治的に解決し、新たな紛争の発生を防ぐことができないでいる限り、私たちが劇的な人道的影響に対処せねばならない状況は続くでしょう」。アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官はこのように述べ、シリア難民受入国の支援に向け、さらなる国際的な連帯を求めました。
-詳しくはUNHCRプレスリリースをご覧ください。
http://www.unhcr.org/54ac24226.html
◆エイモス人道担当事務次長、レバノンで難民危機につき協議
1月7日、ヴァレリー・エイモス人道問題担当事務次長 兼 緊急援助調整官は、政府高官や地方自治体、人道援助パートナー、シリア危機による被災者と協議するため、3日間にわたるレバノン訪問を開始しました。今回の訪問では、シリア危機によって社会事業に支障を来たしているレバノン政府を国際社会がどのように支援し、弱い立場に置かれているレバノン人、シリア人、パレスチナ人の支援を図れるかという問題が、中心的な議題となります。「レバノン危機対応計画2015-2016」によると、シリア難民を中心に、220万人以上が人道援助と保護を必要としています。計画はまた、最も弱い立場にあるコミュニティや地域で、290万人がサービス、経済、制度への投資を通じた支援を必要としていることも明らかにしています。
-「レバノン危機対応計画2015-2016」については、以下をご覧ください。
http://www.unocha.org/cap/appeals/lebanon-crisis-response-plan-2015-2016
-エイモス事務次長のレバノン訪問に関しては、以下をご覧ください。
http://reliefweb.int/report/lebanon/visit-un-humanitarian-chief-valerie-amos-lebanon
◆国連軍縮担当上級代表、シリアの化学兵器廃棄に関し安保理に報告
アンゲラ・ケイン軍縮担当上級代表は1月6日、安全保障理事会に対し、シリアの化学兵器全廃に関する報告を行いました。会合後、記者会見に臨んだ上級代表は、シリアによる化学兵器の申告漏れ、シリア国内の化学兵器製造施設(CWPF)12カ所の破壊に関する進捗状況、塩素ガス兵器使用の疑いについて調査するため、化学兵器禁止機関(OPCW)事務局長が任命した事実調査団の報告という3点を中心に報告を行ったことを明らかにしました。ケイン上級代表は、2014年9月30日に国連OPCW合同査察団の活動が完了して以来、今回が安全保障理事会に対する初の報告になることを指摘したうえで、今後も安保理理事国に対し、定期的に最新動向の報告を行っていくと付け加えました。
-ケイン上級代表による記者会見の動画は、以下をご覧ください。
-事務総長から安保理議長に宛てた書簡は、以下をご覧ください。
http://www.un.org/en/ga/search/view_doc.asp?symbol=S/2014/948
-OPCW合同査察団の詳細については、以下をご覧ください。
◆UNICEF、紛争でシリア人の子ども67万人の教育に混乱が生じていると指摘
国連児童基金(UNICEF)は1月6日、シリア紛争が継続し、ラッカ、デリゾール両県とアレッポ県農村部の学校が最近、一部閉鎖されたことから、小中学校就学年齢の子ども67万人の教育に支障が出ていると見られることを明らかにしました。「単に子どもたちが学校に通えないだけでなく、学校や教員、生徒に対する攻撃が生じているという事実は、5年目に入ろうとしている危機によって、シリアの子どもたちが恐ろしい代償を払わされていることを改めて如実に物語っています」。こう語るのは、ハナー・シンガーUNICEFシリア担当代表です。2014年1月から12月にかけ、閉校を余儀なくされた学校の数に関する報告は、依然として錯綜していますが、UNICEFが入手したデータによると、シリア全土の学校に対する攻撃は、少なくとも68回に及んでいます。報告によると、これらの攻撃で、子どもに数百人の死傷者が出ています。実際の数は、これをさらに上回ると見られるほか、意図的な攻撃が加えられた可能性も示唆されています。
-詳しくは以下をご覧ください。
◆UNICEFとWFP、ヨルダンのシリア難民向けに冬季現金支給プログラムを立ち上げ
国連児童基金(UNICEF)は1月7日、世界食糧計画(WFP)との連携により、ザータリ、アズラック両難民キャンプで暮らす14歳未満のシリア難民の子ども4万1,000人に冬着を提供するための現金支給プログラムを立ち上げました。UNICEFは、WFPが展開中の食料引換券配付プログラム(eカード)を通じ、2つのキャンプの難民1万3,000世帯の子どもを対象に、単発の現金支給を行います。難民世帯には、SMSやポスター、チラシ、キャンプのコミュニティ・リーダーを対象とする啓発セミナーを通じ、情報が提供されています。UNICEFの越冬プログラムは、UNHCR、WFPのほか、NGOのパートナーとも連携し、ヨルダンで弱い立場に置かれている子ども10万2,000人以上を支援しています。
-詳しくは以下をご覧ください。
国連の事務局、機関、基金および計画へのリンク:
国連広報局(DPI)シリア特集ページ:
http://www.un.org/apps/news/infocusRel.asp?infocusID=146
国連の人道関係機関:
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/media/index.html
世界食糧計画(WFP)
http://www.wfp.org/countries/syria
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/crisis/syria
世界保健機関(WHO)
http://www.who.int/countries/syr/en/
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/4f86c2426.html
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)
http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/NewsSearch.aspx?CID=SY
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
ソーシャルメディア:
Twitter: https://twitter.com/UN
Flickr: http://www.flickr.com/photos/un_photo/
YouTube: http://www.youtube.com/unitednations
Tumblr: http://united-nations.tumblr.com/
フォトギャラリー:
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/49c3646c25d.html
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
http://www.unrwa.org/photogallery.php
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/media-resources/photo-gallery
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/photography/photo_2013.php#UNI82253
統合地域情報ネットワーク(IRIN)
http://www.irinnews.org/photo/
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