シリア危機と国連の対応【ウィークリー・アップデート第77号】1/14付資料
2015年01月16日
国連広報局(DPI)は、シリア危機への国連の様々な対応をまとめた資料を週に一度発表しています。以下はその日本語訳です。
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ウィークリー・アップデート
国連広報局(DPI)第77号/2015年1月14日
◆UNRWA、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプへのアクセスを要求
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は1月13日、ヤルムーク難民キャンプ内での武力紛争激化について懸念を表明しました。UNRWAは、ヤルムークの民間人の窮状を和らげるべく、戦闘を直ちに停止するよう訴えています。「ヤルムークで戦闘が続いているため、UNRWAは2014年12月6日以来、物資配給活動を実施できていません」。クリス・グネスUNRWA報道官は、このように語っています。UNRWAによると、これら弱い立場にある人々の最低限の食料ニーズを充足するためには、1日あたり400箱の物資が必要とされています。UNRWAは、この4週間で計36箱の食料しか供給できておらず、医療と避難所を含む人道ニーズも同様に充足されていないことを引き続き深く憂慮しています。
-詳しくは以下をご覧ください。
http://www.unrwa.org/crisis-in-yarmouk
◆UNICEF、厳しい冬に直面する子ども向けの越冬物資配給を本格化
シリアと周辺地域が寒波に襲われる中、国連児童基金(UNICEF)はシリア、イラク、レバノン、ヨルダン、トルコの90万人を超える子どもたちに防寒衣や毛布、暖房用物資、現金、商品引換券を配給しました。
「異常気象のもと、アクセスに支障が生じている中で、私たちはできるだけ多くの子どもに支援の手を差し伸べるため、越冬物資の配給を加速することができました」。こう語るのは、マリア・カリビスUNICEF中東・北アフリカ地域局長です。「このような困難な状況下で取り組みを実現させるうえで、地域、政府をはじめとするさまざまなパートナーの貢献は欠かせませんでした」。UNICEFは、緊急に支援を必要とする国内避難民と難民の子どもが、少なくとも700万人に上ると見ています。建設途中の建物や、不十分な避難所で、氷点下の気温と大雪、強風にさらされながら暮らし続けている子どもも多くいます。
-詳しくは以下をご覧ください。
◆UNHCR、猛吹雪に見舞われたシリア難民向けの救援努力を増強
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は24時間体制で、猛吹雪に襲われた中東地域の各地で暮らすシリア難民と国内避難民に対する支援に取り組んでいます。大雪や豪雨、強風、氷点下の気温は、さらに数日続くという予報が出ており、これによって、最も弱い立場に立たされたシリア人の生活がさらに混乱するものと見られています。UNHCRは1月9日、すでに低地では洪水の被害が出はじめており、雪解けによって状況はさらに悪化しかねないと述べました。
-詳しくは以下をご覧ください。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=49767
http://www.unhcr.org/54affcf59.html
◆UNHCR、ヨルダンのシリア難民が厳しい貧困に陥りつつある現状を報告
アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、ヨルダンでの新たなUNHCR調査報告書の発表にあたり、多数のシリア難民が大規模な危機と、国際社会からの支援の不足により、恐ろしい速さで厳しい貧困に陥りつつあると述べました。この報告書『Living in the Shadows(暗闇の暮らし)』によると、ヨルダン全土の難民のうち、3分の2は国内貧困ライン未満で暮らしているほか、シリア難民6世帯に1世帯が、1カ月40ドル未満という厳しい貧困の中で暮らしています。この調査結果は2014年、ヨルダンのキャンプ以外で暮らすシリア難民ほぼ15万人から収集したデータに基づくものです。高等弁務官は「ヨルダンの国民と政府の寛大さに応え、国際社会もそれに見合う大規模な支援を行う必要がある」と述べました。
-詳しくはUNHCRプレスリリースをご覧ください。
http://www.unhcr.org/54b635b49.html
-報告書『Living in the Shadows』はこちらからご覧ください。
http://unhcr.org/jordan2014urbanreport/
◆安全保障理事会、レバノンでの自爆テロを強く非難
1月10日、レバノンのトリポリで起きた自爆テロで多くの死傷者が出たことを受け、安全保障理事会は、ヌスラ戦線が犯行声明を出したこの事件を強く非難しました。安全保障理事会理事国は声明の中で、その形式と発現形態にかかわらず、あらゆるテロリズムが国際の平和と安全に対する最も深刻な脅威のひとつにあたること、そしていつ、どこで、誰が、どのような動機で行おうとも、テロ行為はいずれも正当化できないことを再確認しました。安全保障理事会理事国は、すべてのレバノン国民に対し、同国の安定を損なおうとする策略に屈せず、国の結束を守るよう訴えるとともに、レバノンの全当事者が、紛争との関係を断つというレバノンの政策を尊重し、シリア危機へのいかなる関与も慎むことの重要性を強調しました。
-安全保障理事会の声明は以下をご覧ください。
http://www.un.org/press/en/2015/sc11731.doc.htm
◆事務総長、寛容と理解を推進する取り組みの強化を要求
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は1月11日、声明を発表し、先週のテロ攻撃による犠牲者を追悼し、同日パリで行われたデモ行進を歓迎しました。ステファン・デ・ミストゥーラ シリア担当特使は、国連の代表としてデモに参加し、テロリズムに対する国連の嫌悪感を表明しました。事務総長は、過激主義に対処し、反ユダヤ主義その他の差別と闘い、言論と表現の自由を堅持するという不可欠な作業を続ける強い決意を改めて表明しました。そして同時に、寛容と理解を推進する取り組みの強化も求めました。「この1週間だけでも、世界はしばしば宗派間で、恐ろしい爆撃や残虐行為が起きる様子を目の当たりにしました。世界は、問題を悪化させることなく、人権と法の支配の尊重を確保するようなやり方で、この暴力と分裂に取り組まねばなりません」。事務総長はこのように指摘しました。
-事務総長の声明は以下をご覧ください。
http://www.un.org/sg/statements/index.asp?nid=8321
◆自給のための農業を学ぶシリア難民の若者
17歳のアブダラさんは、シリアで幼い頃から「園芸の才能」に恵まれていました。祖父から花や野菜の栽培方法を学んでいたからです。そして今、祖国を引き裂いた戦闘から逃れ、家族とともに隣国レバノンの高地で難民となっているアブダラさんは、コミュニティ・センターで他のシリア難民の若者に、自分の知識を伝えています。UNHCRによれば、アブダラさんの生徒の中には、現地の受入れコミュニティの若者もいます。
-詳しくは以下をご覧ください。
http://www.unhcr.org/54b3cf4b9.html
国連の事務局、機関、基金および計画へのリンク:
国連広報局(DPI)シリア特集ページ:
http://www.un.org/apps/news/infocusRel.asp?infocusID=146
国連の人道関係機関:
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/media/index.html
世界食糧計画(WFP)
http://www.wfp.org/countries/syria
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/crisis/syria
世界保健機関(WHO)
http://www.who.int/countries/syr/en/
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/4f86c2426.html
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)
http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/NewsSearch.aspx?CID=SY
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
ソーシャルメディア:
Twitter: https://twitter.com/UN
Flickr: http://www.flickr.com/photos/un_photo/
YouTube: http://www.youtube.com/unitednations
Tumblr: http://united-nations.tumblr.com/
フォトギャラリー:
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/49c3646c25d.html
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
http://www.unrwa.org/photogallery.php
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/media-resources/photo-gallery
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/photography/photo_2013.php#UNI82253
統合地域情報ネットワーク(IRIN)
http://www.irinnews.org/photo/
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