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UNAIDS(国連エイズ合同計画)、
アフリカでのエイズの破壊的影響を物語るデータを発表

プレスリリース 02/059-J 2002年07月04日

 国連HIV/エイズ合同計画(UNAIDS)は6月、アフリカの社会と経済に対するエイズのこれまでに例を見ない破壊的影響に関するデータを発表しました。現在、アフリカのHIV感染者は2,800万人を超え、国によっては、成人人口の30%以上が感染者となっています。

 UNAIDSの事務局長、ピーター・ピオット博士は「HIV/エイズの破壊的影響は、アフリカにおける数十年間の発展を逆行させている」と述べています。「教員から兵士、さらには農民に至るまで、アフリカ社会の隅々までエイズの攻撃にさらされています。」

 HIV/エイズは、サハラ以南アフリカのすでに脆弱な市場において、経済を急速に不安定にしています。サハラ以南アフリカの経済成長率はすでに、エイズによって4%も低下しました。もっとも影響の大きい国々では、労働生産性が50%も減少しています。ザンビアでは、経営部門の死者のほぼ3分の2が、エイズを死因としています。被害が深刻な国々では、2020年までに、エイズによって労働人口の25%が命を失う恐れがあります。

 農村部では、700万人の農民がエイズで死亡していることにより、農業生産が深刻な打撃を受けています。ブルキナファソでは、農村部の5世帯に1世帯が、エイズによってその農作業を縮小したか、さらにはその農地を放棄したと見られています。農作業に携わることができる人数が少なくなる中で、農家は、農地面積の縮小や、労働集約性の低い自給作物への転換を余儀なくされていますが、これらの作物は、栄養価も市場価格も低いことが多くなっています。

 同時に、被害が深刻な多くのアフリカ諸国では、効果的な開発のための必須条件である国家の安全保障が、エイズによって根底から揺らいでいます。これらの国々の国防省によれば、兵士のHIV感染率は平均で2040%、HIV/エイズの出現から10年以上を経過している国々では5060%にも上っています。米国の国家情報会議(National Intelligence Council)によれば、エイズの軍事面での代価は、アフリカでも近代化が進んだ軍隊、特に士官クラスで、もっとも高いものと見られています。士官や重要ポストの職員が病気になれば、これら軍隊の戦闘準備体制と戦闘能力は低下し、経済・社会成長に必要な安定が脅かされかねません。

 予算が縮小し、公務員がエイズで命を失う中で、政府の国民に対する奉仕能力も失われます。例えば、ボツワナでは、政府の歳入がエイズにより、2010年までに20%減少するものと見られます。ケニアでは、警察官の死者のうち、エイズを死因とするものが4人に3人に上っています。保健、福祉および司法など、不可欠なサービスが揺らぐ中で、もっとも貧しく脆弱な世帯は、最悪の被害を受けているのです。

 「アフリカのエイズの状況は厳しいが、希望はある」とピオット博士は述べています。「十分な資金を備えた政府支援による全国的エイズ・プログラムによって、その蔓延を後退させることに成功した国があります。このような努力を広め、サハラ以南のアフリカのあらゆる人々に手を差し伸べなければなりません。エイズ対策への投資は、人命の救助、コミュニティーの連帯維持、および、経済の保全という点で、数千倍にも及ぶ収益をもたらすことでしょう。」

 詳しくは、Anne Winter, UNAIDS, Geneva, (+41 22) 791 4577Dominique de Santis, UNAIDS, Geneva (+41 22) 791 4509あるいはAndrew Shih, UNAIDS, New York (+1 212) 584 5030にお問い合わせください。計画について詳しくは、インターネットのUNAIDSホームページ(http://www.unaids.org)もご覧になれます。