「ヨハネスブルク・サミット」(持続可能な開発に関する世界サミット)
~WEHAB と覚える5つの主要分野~
プレスリリース 02/050-J 2002年06月12日
「持続可能な開発に関する世界サミット」が南アフリカ共和国のヨハネスブルクで8月26日から9月4日にかけて開かれます。このサミットでは、水と衛生設備、エネルギー、健康、農業、生物多様性という5つの分野が、具体的な成果をあげることが期待される重要な分野となります。
この5つの主要分野― Water(水)、Energy(エネルギー)、Health(健康)、Agriculture(農業)、Biodiversity(生物多様性)―は各々の頭文字を取って、WEHABと覚えることができます。国連事務総長は、「これはWe inhabit the earth(私たちは地球に住む)の略だとも考えられます。あるいはWe must rehabilitate our one and only planet(私たちはこのかけがえのない地球を再生させなければならない)の略だと考えてもいいでしょう」と述べ、8月26日にヨハネスブルクでサミットが開かれるまでの間に、この略語が「標語のように」に用いられるよう勧めています。
この5つの分野に焦点を絞ることによって、ヨハネスブルク・サミットは地球環境を保護しながらすべての人間がよりよく暮らせるようにするための現実的な手段を定める野心的な、しかしながら達成可能なプログラムを創出することができます。事務総長は、「5つの分野で前進することができれば、自分たちが生きている間だけではなく、子どもや孫たちも享受できるような繁栄を実現するチャンスが生まれるでしょう」と述べています。
「持続可能な開発に関する世界サミット」では、世界の指導者、市民活動家、財界の代表たちが一堂に会し、地球に暮らす現在および将来のすべての住民が一定水準の生活を維持していくにはどうすればよいのかについて話し合います。
政策決定過程の中では、紛争、グローバリゼーション、最近ではテロリズムといった差し迫った問題に押され、持続可能な開発という問題はかすんでいるという印象があります。しかし、ヨハネスブルク・サミットは、1992年にリオデジャネイロで開催された「地球サミット」で生まれた勢いを取り戻すチャンスを人類に与えてくれるでしょう。
人類のおよそ20%のみに特権と繁栄をもたらしている現在の開発モデルは、地球環境を悪化させ、資源を枯渇させるという重い代償を私たちに強いています。これによって、これまでとは違った新たな努力が必要となっています。しかし、世界的な金融と経済に関する話し合いの場では、環境の問題はいまだに歓迎されざる客として扱われているのも現状です。
大量消費のライフ・スタイルは、自然生命を支える地球が持つシステムに重荷を負わせ続け、貧困の問題に関する研究と開発には十分な資金も関心も向けられていません。先進国は、自分たちの環境を保護し、開発途上の世界が貧困と闘うのを手助けするというリオデジャネイロでの約束をどちらも「十分に実行していない」と事務総長は指摘しています。これは、「環境」対「開発」、あるいは、「エコロジー」対「経済」という図式で解決されるべき問題ではなく、環境と開発としてエコロジーと経済はお互いに統合することができる、とアナン氏は強調しています。
アナン事務総長は、5つの分野―「今日の資源と技術で前進が可能な分野」―で期待される進歩を以下のようにまとめています。
- 水―きれいな飲み水を手にすることができない少なくとも10億人の人々と、適切な衛生設備をもたない20億人の人々に、それらへのアクセスを提供する。
- エネルギー―現代的なエネルギー供給サービスを受けていない20億人以上の人々にそれらへのアクセスを与える。再生可能なエネルギーを促進する。過剰消費を減らす。気候変動に対処するための京都議定書を批准する。
- 健康―有毒および有害な物質の影響に対処する。毎年300万人の命を奪っている大気汚染を削減する。汚染された水および衛生設備の不足に原因があると考えられているマラリアとアフリカのギニア虫症の発生を削減する。
- 農業生産性―世界の農業用地のおよそ3分の2に影響を及ぼしている土地の浸食作用をくいとめる。
- 生物多様性と生態系の管理―世界の熱帯雨林とマングローブのおよそ半分を破壊し、世界のさんご礁の70%に悪影響を及ぼすことで世界の漁業に打撃を与えている状況をくつがえす。
「ヨハネスブルクでの会議はこれらの問題に手を打つ良い機会です。私たちは力を合わせて、相互責任の意識を高める必要があります。また、グローバルな保全と管理を進めるための新しい倫理を打ち立てる必要があります。私たちは、力を合わせ、自然の歴史、そして人類の歴史に希望溢れる新たな一章を記すことができるのです。また、そうしなければならないのです」
報道関係の照会先:「持続可能な開発に関する世界サミット」について、詳しい情報をお求めの方は、以下にお問い合わせください。
Klomjit Chandrapanya 電話:(212)963-9495
Pragati Pascale 電話:(212)963-6870
Gavin Hart 電話:(212)584-5031
電子メール:mediainfo@un.org
ウェブサイト:www.johannesburgsummit.org