安全保障理事会は、国連、米国、ロシア、欧州連合が
発表した中東に関する共同声明への支持を表明
プレスリリース 02/039-J 2002年04月25日
安全保障理事会は今夜、本日マドリッドにおいて国連事務総長、ロシア・スペイン各外相、米国国務長官、欧州連合共通外交・安全保障政策(CFSP)上級代表により中東情勢に関して発表された共同声明を支持する意向を表明した。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ安保理議長は声明文を読み上げ、「安保理はイスラエル政府、パレスチナ自治政府、および地域周辺の全ての国家に対し、共同声明で明らかにされた諸目標を達成するための努力に協力するよう、決議1402(2002年)および決議1403(2002年)を速やかに実行すべきである」と要求した。
共同声明は、紛争に対する軍事的解決策は存在せず、当事者に対し、決議242(1968年)および決議338(1973年)に基づく紛争の政治的解決と土地と平和の交換の原則に向けて努力するよう繰り返し述べている。さらに、合衆国のジョージ・ブッシュ大統領が決議1397において詳細に述べた目的―イスラエルとパレスチナという二つの国家が、それぞれ保証され承認された国境を越えることなく、平和裏に暮らすこと―に対する支持を表明した。声明文はサウジアラビアの提案について触れ、シリアとレバノンを含む包括的和平に大いに貢献するものであると歓迎の意を表わしている。
共同声明は共通の目標へ歩みを進めるために、決議1403(2002年)で要求される通り、決議1402(2002年)を速やかに実行すべきであると再度主張している。また、イスラエルに対して軍事行為の即刻中止を求めている。声明文はさらに、停戦がきわめて重要であるとし、イスラエル軍がパレスチナ諸都市、特にヤセル・アラファト議長の本部があるラマッラーからの即時撤退を求めている。
共同声明によれば、四者は当事者がその取り決め、特にテネットプランや全ての当事者が合意した第三者メカニズムを含むミッチェル報告書などを実行する際の助力を惜しまないという。
会議は7:34p.m.に開始され、7:39p.m.に休止の運びとなった。
議長声明全文はS/PRST/2002/9として発表されるが、内容は以下のとおりである。
「安全保障理事会は、2002年4月10日にマドリードで、国連事務総長、ロシア連邦外相、米国国務長官、スペイン外務大臣、欧州連合共通外交・安全保障政策(CFSP)上級代表により出された共同声明(S/2002/369)を支持する。共同声明は本文に添付されており、事務総長から安保理へ送付されたものである。安保理はイスラエル政府、パレスチナ自治政府、地域の各国政府に対し、共同声明で明らかにされた目標を達成する努力に対して協力を呼びかけ、決議1402(2002年)および決議1403(2002年)の即刻実施を主張する。
添付書類(文書S/2002/369)
共同声明
コフィー・アナン国連事務総長、ロシアのイゴール・イワノフ外相、米国のコリン・パウエル国務長官、スペインのジョセップ・ピケ外務大臣、ハビエル・ソラナ欧州連合共通外交・安全保障政策(CFSP)上級代表は本日マドリードで会談を行なった。私たちは中東における対立の激化を鑑み、現在の危機を解決するため、私たちの行動を調整することに合意した。
私たちは、人道上の危機と地域の安全保障に対する脅威をはじめとして、現在の状況に重大な関心を表明する。暴力とテロリズムに対して繰り返し非難し、罪のないパレスチナ人およびイスラエル人の命が失われたことに深い苦しみを表明し、命を失い、あるいは負傷した人々の家族に心からの同情を寄せるものである。あまりにも多くの被害と殺戮行為が起きたことを憂慮し、イスラエルおよびパレスチナの各政府の指導者に対して、彼らの国民、地域、国際社会の利益のために行動し、この愚かな対立を即刻停止するよう求める。
この点において私たちは、ごく最近レバノンが国連が定めるブルーラインを越えて攻撃したことについて大きな懸念を表明する。四者は全ての関係者に対しブルーラインを尊重し、全ての攻撃を停止し、最大限の自制を要求する。紛争を拡大し、地域の安全保障と安定を脅かすことは許されるべきではない。
国連、欧州連合、ロシアはパウエル国務長官の歴訪を強く支持し、イスラエルおよびパレスチナ政府は、長官の歴訪ならびに平和を回復し政治的措置を再開するための継続的な努力に全面協力を惜しまぬよう要求する。
私たちはここで、紛争に対する軍事的解決はありえないことを再度確認し、関係者に対し、安保理決議242ならびに安保理決議338に基づく紛争の政治的解決、ならびに土地と平和の交換の原則― 1991年マドリード会議の基礎をなすもの―に向けて努力することを要求する。ブッシュ大統領が表明し、安保理決議1397に定められた目標―2つの国家、すなわちイスラエルとパレスチナがそれぞれ保証され承認された国境を越えることなく、平和裏に暮らすこと―に対する支持を再確認する。私たちは、アラブ連盟によりベイルートで承認されたサウジアラビアのアブドッラー皇太子による平和への提案を、シリアおよびレバノンを含む包括的和平に大いに貢献するものとして歓迎する。
私たちの共通の目的に向かって歩みを進めるため、私たちは安保理決議1403に定められる通り、安保理決議1402を即刻実施すべきであると再確認するものである。また、イスラエルに対してはその武力行為を速やかに停止するよう要求する。私たちは即刻、実質的な停戦と、イスラエル軍がパレスチナ諸都市、特にヤセル・アラファト議長の本部があるラマッラーから撤退することを求めている。私たちはイスラエルに対し、国際的な人道主義的原則を守り、人道組織やサービスの完全かつスムーズなアクセスを許可することを要求する。私たちはイスラエルに対し、武力の過度の使用を抑制し、一般市民を保護するためのあらゆる努力を払うよう要求する。
私たちは、パレスチナ国民に認められ、選ばれた指導者であるアラファト議長に対し、罪なきイスラエル人に対するテロ攻撃を即刻中止するよう最大限の努力を払うことを要求する。また、パレスチナ政府に対しては、決然とした行動をとり、資金調達を含むテロリストのインフラを解体するためにあらゆる手段を講じ、暴力の誘因を排除するよう要求する。私たちはアラファト議長に対し、その政治的権限を最大限に発揮してパレスチナの人々に呼びかけ、イスラエルに対するあらゆるテロ攻撃を即刻中止すること、そして彼の代表者たちに速やかにイスラエルと安全保障上の調整に入る権限を委ねることを要求する。
自爆をはじめとするテロ行為は違法且つ不道徳な行為で、パレスチナ人の正当な願望に重大な悪影響を及ぼすため、安保理決議1373に定められる通り糾弾されるべきである。
私たちはイスラエルおよびパレスチナ政府に対し、ジニ中東特使が提示した停戦案に対し速やかに合意を行なうよう要求する。私たちはジニ特使のこれまでの目標達成の努力を称賛する。
四者は当事者がその取り決め、特にテネットプランやミッチェル報告書など全ての当事者が合意した第三者メカニズムを実施する際の助力を惜しまない。
全ての入植活動を終了することをはじめとして、テネットプランおよびミッチェル報告書が全面的に実施されなければならないことを私たちは確認する。また、きわめて近い将来、具体的な政治的発展へ向けて、迅速且つ並行した動きが促進されなければならず、また、永久的平和へ繋がる明確な一連の手段―両者の認識と関係の正常化、安全保障、ならびにイスラエル占領ひいては紛争の終結―が存在すべきであることを確信する。これによって、イスラエルは平和と安全を享受し、パレスチナは安全および尊厳への希望と願いを認識することであろう。
これらの目的を達成するため、私たちは国際社会、特にアラブ諸国に対し、インフラ、安全保障、統治能力を再構築する努力を通じて、パレスチナ政府を支持し、強化し、補助するよう呼びかける。私たちはさらに、ドナー社会および国際金融機関に対し、パレスチナの人々に対して早急に人道援助を提供し、経済および機構の再建を援助するため、その責務を改めて確認するよう要求する。人道機関の勇気ある努力に対し、私たちは称賛を惜しまない。
私たちは、四者による中東情勢の調査が、首長レベルにより、定期的な協議を重ねて実施されることに私たちは同意する。私たちの特別外交使節団は、対立を終結し、政治的交渉を再開する努力を引き続き継続するものとする。
2002年4月10日、マドリード
国連安全保障理事会
SC/7360
第4511回会議(夜間)
2002年4月10日