シリア危機と国連の対応【ウィークリー・アップデート第83号】2/25付資料
2015年02月27日
国連広報局(DPI)は、シリア危機への国連の様々な対応をまとめた資料を週に一度発表しています。以下はその日本語訳です。
* * * * * * * * * *
ウィークリー・アップデート
国連広報局(DPI)第83号/2015年2月25日
◆シリアに関する事務総長報道官の声明
安全保障理事会への報告で、ステファン・デ・ミストゥーラ特使が、シリア政府に6週間、アレッポに対するあらゆる種類の爆撃停止を約束する用意がある旨を伝えたことを受け、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は2月20日、「長く苦難に晒されてきたシリアの民間人を一時的にでも救済するため、すべての当事者に紛争の鎮静化を図る」よう訴えました。事務総長はさらに、殺戮を終わらせ、シリアの分断を防ぐためには、政治的プロセスを導入しなければならず、しかもこのプロセスは「2012年のジュネーブ・コミュニケの全面実施に基づき、紛争の根本的原因に取り組み、すべてのシリア人の希望を満たす」ものとせねばならないと付け加えました。
-事務総長の発言は以下をご覧ください。
http://www.un.org/sg/statements/index.asp?nid=8410
◆国連シリア調査委員会、不処罰がはびこり、国民にとっての平和と正義の確保がほとんど進まない現状を報告
シリア・アラブ共和国に関する独立国際調査委員会は2月20日、シリアにおける人権侵害に関する報告書の内容につき、国連安全保障理事会に説明を行いました。2011年3月の蜂起発生以来、9回目に当たる今回の報告書は、シリア国民に対する犯罪に注意を向けるよう求めるとともに、政治的解決策を模索し、人権侵害に歯止めをかけ、不処罰の悪循環を断ち切るため、持続可能な国際的取り組みが必要であることを強調するものとなっています。報告書によると、政府当局は反体制派のほか、「ヌスラ戦線」や「イラクおよびレバントのイスラム国(ISIL)」をはじめとする新興テロ集団と関連のある地域で、恣意的な逮捕や拷問を行い、民間人に対する無差別的攻撃を増大させているほか、民間人と少数者に対する残虐な攻撃も行っています。「シリア人がこれまでの4年間と同じような苦痛を受け続け、しかも、シリアの平和を取り戻し、犠牲者にとっての正義を求めるための取り組みがほとんど進まない世界に暮らさねばならないとすれば、それは同義的に許しがたいことです」。パウロ・セルジオ・ピネイロ委員長は、このように語っています。
報告書は2015年3月17日、人権理事会に提出される予定です。
-OHCHRプレスリリースは以下をご覧ください。
http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=15594&LangID=E
-シリアにおける人権侵害に関する報告書は以下をご覧ください。http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/RegularSessions/Session28/Documents/A.HRC.28.69_E.doc
-国連広報局(DPI)のニュース記事は以下をご覧ください。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=50135
-リリーフ・ウェブのプレスリリースは以下をご覧ください。
◆人権高等弁務官、シリアで拘留されている数千人の窮状を明らかに
ゼイド・ラアド・アル・フセイン国連人権高等弁務官は2月19日にプレスリリースを発表し、シリア当局に対し、政府とその民兵によって拘留されているすべての人々の解放を強く促すとともに、活動家や弁護士、人権擁護者が特に標的とされていることを指摘しました。高等弁務官はとりわけ「シリア・メディアと表現の自由センター」のメンバー(マゼン・ダルビッシュ、ハニ・ザイタニ、フセイン・ガリルの3氏)が、テロ容疑で3年間も拘留され、裁判も無期延期されている事例を紹介しました。「シリアでは、2011年3月にダルアで最初の抗議行動が始まって以来、何らかの時点で政府や諜報機関の拘留施設に収容されていた人々の数が、数万人から数十万人に及ぶと見られています」。高等弁務官はこのように付け加えたうえで、シリア政府に対し「意見の平和的表現を理由に投獄されている人々をすべて、直ちに釈放するとともに、抑留者全員に適正手続きの権利を全面的に保障する」よう呼びかけました。
-詳しくはOHCHRプレスリリースをご覧ください。
http://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=15584&LangID=E
-リリーフ・ウェブのプレスリリースは以下をご覧ください。
http://reliefweb.int/report/syrian-arab-republic/zeid-highlights-plight-thousands-detainees-syria
-国連広報局(DPI)のニュース記事は以下をご覧ください。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=50127
◆WHO、紛争で影響を受けた4カ国でのニーズ急増に取り組むため、10億ドルの資金拠出アピールを発出
世界保健機関(WHO)は2月24日、ドナーに対し、中央アフリカ共和国、イラク、南スーダン、シリアの人々に必要な救命医療サービスを提供する取り組みへの支援として、10億ドルの拠出を呼びかけました。WHOによると、これらの国々は「グレード3」に分類される危機に直面し、国連が提供できる最大限の対応を必要としています。「危機に応じて、ニーズは子どもの予防接種など、基本的な医療から、紛争に巻き込まれて重傷を負った患者の外科介護に至るまで、多岐に及びます。」WHOはこのように付け加えるとともに、シリアだけでも「1,640万人が人道的医療支援を必要としており、シリアとその近隣国の医療部門による資金需要は、6億8,700万米ドル(うち1億5,700万ドルはWHOによる供与分)に上る」と説明しました。
-国連広報局(DPI)のニュース記事は以下をご覧ください。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=50168
-WHOプレスリリースは以下をご覧ください。
http://www.who.int/hac/donorinfo/24february2015/en/
◆WHO、アレッポ東部に救命医薬品を配送
世界保健機関(WHO)は2月23日、アレッポ近郊とアレッポ市東部に医薬品と医療用品を届けたことを明らかにしました。「シリア・アラブ赤新月社(SARC)や現地NGOをはじめとするパートナーとの協力により、WHOはアレッポ市東部とアル=バーブの病院2カ所のほか、アザ、ダレットエゼー、アタレブ地区の3つの保健所に、約6万500回の治療を行える救命医薬品と医療用品を送り届けました。」WHOはこのように説明しています。
WHOによると、アレッポで開いている病院はわずか4カ所で、その他11の病院が損傷を受け、うち5カ所は全壊しています。
-リリーフ・ウェブのプレスリリースは以下をご覧ください。
-リリーフ・ウェブのプレスリリースは以下をご覧ください。
http://www.emro.who.int/syr/syria-news/who-delivers-life-saving-medicine-to-eastern-aleppo-city.html
◆UNESCO、シリア危機への教育面での対応強化に向け、「青少年学習格差解消」プログラムを立ち上げ
国連教育科学文化機関(UNESCO)は2月23日、「シリア、ヨルダン、レバノン、イラクをはじめとする被災国における質の高い中等・高等教育へのアクセス、教員養成、および、教育制度の強靭性」の向上をねらいとして、2年間の「青少年学習格差解消」プログラムを立ち上げたことを明らかにしました。UNESCOによると、これらの国々が若者に必要な知識とスキルを提供できなければ、「地域全体が、失業や暴力、犯罪、過激主義の増大を含め、さらに大きな課題に直面することになります。強靭な教育制度を構築することにより、教育は平和に有利な影響を及ぼすことができます」
新たに発足したプログラムは、国連人道問題調整事務所(OCHA)、国連開発計画(UNDP)、国連難民行動弁務官事務所(UNHCR)が共同で展開する「シリア周辺地域・難民・回復計画(3RP)」と整合し、国連児童基金(UNICEF)の「失われた世代にしないために(NLG)」戦略を支援するとともに、各国主導型の対応プロセスにも取り入れられます。-リリーフ・ウェブのプレスリリースは以下をご覧ください。
-UNESCOプレスリリースは以下をご覧ください。
国連の事務局、機関、基金および計画へのリンク:
国連広報局(DPI)シリア特集ページ:
http://www.un.org/apps/news/infocusRel.asp?infocusID=146
国連の人道関係機関:
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/media/index.html
世界食糧計画(WFP)
http://www.wfp.org/countries/syria
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/crisis/syria
世界保健機関(WHO)
http://www.who.int/countries/syr/en/
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/4f86c2426.html
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)
http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/NewsSearch.aspx?CID=SY
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
ソーシャルメディア:
Twitter: https://twitter.com/UN
Flickr: http://www.flickr.com/photos/un_photo/
YouTube: http://www.youtube.com/unitednations
Tumblr: http://united-nations.tumblr.com/
フォトギャラリー:
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/49c3646c25d.html
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
http://www.unrwa.org/photogallery.php
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/media-resources/photo-gallery
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/photography/photo_2013.php#UNI82253
統合地域情報ネットワーク(IRIN)
http://www.irinnews.org/photo/
* *** *