シリア危機と国連の対応【ウィークリー・アップデート第86号】3/18付資料
2015年03月20日
国連広報局(DPI)は、シリア危機への国連の様々な対応をまとめた資料を週に一度発表しています。以下はその日本語訳です。
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ウィークリー・アップデート
国連広報局(DPI)第86号/2015年3月18日
◆事務総長、5年目に突入したシリア危機を、国連による集団的行動の最も悲劇的な失敗例と形容
3月17日、日本での国連創設70周年記念シンポジウムで発言した潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、5年目に入ったシリア紛争が、国連の集団的行動の足並みがそろわないことによって生じた、最も悲劇的な事例であると指摘しました。「犠牲者は22万人を超えました。シリアの人々は、想像を絶する破壊とトラウマに苦しんでいます」。事務総長はこのように述べ、国際社会に対し、3月31日にクウェートで開催されるシリア支援国会議において、寛大な拠出を誓約するよう、改めて呼びかけました。
-国連創設70周年記念シンポジウムでの事務総長の発言は以下をご覧ください。
http://www.un.org/sg/statements/index.asp?nid=8462
https://www.unic.or.jp/news_press/info/12955/ (日本語訳)
◆シリア国際調査委員会、戦争犯罪容疑者の氏名共有へ
シリアにおける戦争犯罪を調査する国際委員会のパウロ・セルジオ・ピネイロ委員長は3月17日、記者団に対し、中立的な裁判官が審理すべき事件を立件しようとしている各国の検事当局に対し、具体的な容疑者の氏名と情報を提供することを明らかにしました。ピネイロ委員長は、人権理事会に委員会の最新報告書を提出した際、委員会が犠牲者の声を伝えるだけでなく、犠牲者にとっての正義を実現できる方策を探ることにも懸命に取り組んでいると強調しました。そして、不処罰という文化の蔓延に対処するため、委員会が引き続き、安全保障理事会に国際刑事裁判所(ICC)または特別裁判所への付託を求めていくと付け加えました。
-記者会見の動画は以下からご覧ください。
-詳しくはこちらをご覧ください。
◆国連人道問題責任者、シリア情勢打開のため、世界のリーダーに協力を呼びかけ
国連人道関連機関の長らは3月13日、共同声明を発表し、一向に収まる気配を見せないシリア紛争に対する憤りと苛立ちを表明しました。「私たちは危機の収拾に『何が必要か』を考えています。1つの世代の将来と、国際社会の信頼がかかっているからです」。声明はこのように指摘しています。
これら国連の高官は世界のリーダーに対し、その見解の相違を乗り越え、両当事者に民間人の無差別攻撃を止めるよう圧力をかけることによって、シリア情勢の打開を図ること、人々が何カ月も食料を得られないまま取り残されている場所の包囲を解除させること、医療用品の配給を可能にすること、水と電力の供給を再開すること、教育制度を支援することを強く促しました。
「シリアの人々はもとより、全世界の人々が苦難の終結を望んでいます」。人道責任者たちは、このように強調しました。
-詳しくは以下をご覧ください。
◆国連、シリア危機終結には「何が必要か」を問うソーシャルメディア・キャンペーンを展開
国連の人道関連機関は3月11日、グローバルなソーシャルメディア・キャンペーン「#WhatDoesItTake(何が必要か)」を立ち上げ、一般市民や加盟国、世界のリーダーに対し、悪化の一途をたどるシリアの人道情勢に対する苛立ちを表明するとともに、シリアの人々に連帯のメッセージを送るよう呼びかけています。「シリア危機の人的コストは悲劇的です」。ヴァレリー・エイモス国連人道問題担当事務次長はこのように語っています。「シリアの人々には今すぐ平和が必要です。世界がその子どもたちの未来を確保する決意を固めていることを、知ってもらう必要があります」
キャンペーンに参加をご希望の方々は、ご自身で#WhatDoesItTaketと書いた紙を広げている写真を撮り、ハッシュタグ#WhatDoesItTakeとシリアの人々に向けた連帯のメッセージを添付して、フェイスブック、ツイッターまたはインスタグラムに投稿してください。
-ソーシャルメディア・キャンペーン「#WhatDoesItTake(何が必要か)」はこちら。
http://www.syria-whatdoesittake.org/
◆UNICEF、シリアとイラクの紛争で子ども1,400万人が被災したことを報告
国連児童基金(UNICEF)は3月12日の報告で、シリアとイラクの紛争により、地域全体で約1,400万人の子どもが影響を受けていることを明らかにしました。特に、シリア国内に取り残された500万人を超える子どもは、最も絶望的な状況に置かれています。UNCEFは記者声明の中で、補習教育や職業訓練、思春期の子ども向けの娯楽の機会、さらには生徒の学歴を確保するための認証制度を含め、紛争で影響を受けた子どもたちのニーズに取り組む中長期的措置の必要性を強調しました。
-UNICEFプレスリリースは以下をご覧ください。
http://www.unicef.org/media/media_81172.html
◆UNHCR、アレッポ東部に2015年初の援助物資を供給
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とシリア・アラブ赤新月社は、一時的な停戦によって5カ月ぶりに、アレッポ東部の数千人に対し、緊急に必要な援助物資を供給しました。3月15日、政府軍と反政府勢力との間で6時間の休戦が実現したことを受け、援助要員は市内の立入困難な地域に取り残されている7,000人以上の住民に食料と医療用品を配給しました。この一時的な人道目的での休戦は、UNHCRとシリア・アラブ赤新月社による交渉で実現したものです。「今回の成果は、さまざまなパートナーとのきちんとした調整ができれば、立入困難な地域の社会的に最も弱い人々に対する援助提供が促進されることをよく示しています」。アミン・アワドUNHCR中東・北アフリカ局長はこのように語りました。
◆FAO、シリア危機被災国での食料安定確保への取り組みを強化
国連食糧農業機関(FAO)は3月17日、ヨルダンをはじめ、シリア危機によって影響を受けた地域諸国における食料の安定確保を改善するため、3件のプロジェクトを立ち上げました。「米国国際開発庁(USAID)による160万ドルの無償資金援助を受け、FAOはシリア、ヨルダン、レバノン、イラクの政府機関その他のパートナーに技術援助を提供し、地域の食料の安定確保問題の把握と分析を強化する、包摂的な食料安全保障情報ネットワークの確立を図ることになりました」。ヨルダンを訪問中のジョゼ・グラジアノFAO事務局長は、このように語っています。
この新たな情報ネットワークは、国連機関とNGO、政府との間で、食料の安定確保に関する分析とデータの共有を改善することにより、社会的に弱い立場に置かれた人々への正確な情報に基づく支援の提供を可能にするものです。
-FAOプレスリリースは以下をご覧ください。
http://www.fao.org/news/story/en/item/280576/icode/
国連の事務局、機関、基金および計画へのリンク:
国連広報局(DPI)シリア特集ページ:
http://www.un.org/apps/news/infocusRel.asp?infocusID=146
国連の人道関係機関:
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/media/index.html
世界食糧計画(WFP)
http://www.wfp.org/countries/syria
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/crisis/syria
世界保健機関(WHO)
http://www.who.int/countries/syr/en/
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/4f86c2426.html
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)
http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/NewsSearch.aspx?CID=SY
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
ソーシャルメディア:
Twitter: https://twitter.com/UN
Flickr: http://www.flickr.com/photos/un_photo/
YouTube: http://www.youtube.com/unitednations
Tumblr: http://united-nations.tumblr.com/
フォトギャラリー:
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/49c3646c25d.html
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
http://www.unrwa.org/photogallery.php
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/media-resources/photo-gallery
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/photography/photo_2013.php#UNI82253
統合地域情報ネットワーク(IRIN)
http://www.irinnews.org/photo/
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