ヘルス・インターネットワーク
公衆衛生のためのパートナーシップ
プレスリリース 00/84 2000年09月01日
ミレニアム・サミットの準備にあたり、コフィー・アナン事務総長はその「ミレニアム報告書」の中で、国連が媒介役を果たし得る効果的なパートナーシップ(協力)の具体例として、即座に実施すべきイニシアチブをいくつか表明した。「ヘルス・インターネットワーク」はその一つである。
ヘルス・インターネットワークは、開発途上国の医療現場で働く人、研究者および政策立案者に対し、インターネットを含む近代的技術を用いた最新の保健情報の利用を可能にすることにより、「デジタル・ディバイド」に架け橋を提供することをねらいとしている。2003年までに、1万~1万3,000ヵ所の新たな保健情報アクセス・サイトが、開発途上国で利用できるものと見込まれる。都市と農村の診療所、公共の保健施設、病院および医学部・医科大学に設置されるこれらのサイトは、知識の充実を通じて、病気の予防と全般的な健康の改善を助けることができる。
21世紀は、健康面で劇的な改善をもたらしたが、この健康革命からは、10億人を超える人々が置き去りにされている。世界の多くの場所では、貧しい人々が担う病気と障害という負担が、肉体的な苦痛とそれによる経済的な困窮という2つの意味で、耐えられないほど重くなっている。保健システムが貧弱で、将来の需要はおろか、現在の需要にさえ対処できない国も多い。
インターネットを用いたアプリケーションと新しい電気通信および科学技術の出現は、健康改善に対する大きな潜在的能力を備えており、主として一般の人々と医療関係者の双方が利用できる情報を増大させることが可能である。こうしたアプリケーションにより、医師やその他の医療関係者は情報を交換し、訓練・教育資源を活用し、地理的・社会的境界線を越えてサービスを提供することができるようになる。
ヘルス・インターネットワークはインターネット上に地球的な公衆衛生ポータル(入口)を創設し、世界の最貧国に有線および無線の健康関連アクセス・サイトを設置するものである。これらの国々の公衆衛生専門家は、利用者のニーズに応じた適切な医療情報に日常的にアクセスできるようになる。このためには、技術と適切な訓練を必要とするだけでなく、これら諸国の特定の職業的、社会的および文化的ニーズに取り組むための新たな内容とアプリケーションを作り出す必要がある。この企画により、公衆衛生サービス利用者間の相互コミュニケーションとオンラインでのネットワーク作りが可能となろう。
試験的な段階が開始
国連と米国に本部を置くウェブMD財団(WebMD Foundation)は協力して、情報通信および技術分野の業界資金提供者とパートナー、国家・多国間機関および現地の非政府組織(NGO)の結集を図っている。中心的なパートナーとなっているのは、国連と世界保健機関(WHO)をはじめとする国連の専門機関、および、ウェブMD財団をはじめとする民間セクターである。このイニシアチブの試験的な段階は、国連財団およびビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団からの支援を得て進められている。
インドから始まる6~12ヵ月の試験的段階は、優先的な公衆衛生プログラムを強調しながら選抜国のニーズ評価、および、インターネット・ポータルの内容作成を重点とするものである。その後、2年から3年の本格的実施に入る段階では、一般的な健康問題にも企画の幅は広げられ、接続の拡大と資金調達に関する中期的構想の作成が図られる。持続可能性を狙った第3段階では、国内ヘルス・インターネットワークの管理と資金調達が現地の手に委ねられることになる。
2000年7月に日本で開かれたG-8サミットなど、デジタル・ディバイド問題に対する最近の関心の高まりからして、本計画の策定が完了し、試験的な段階の実施が成功すれば、参加者が増えるものと期待される。このことによって、可能な場合には、行動の補完性と一貫性を確保すべく、世界中で実施中の他の保健および技術関連イニシアチブが結集されることになろう。
詳しくは以下にお問い合わせください。
Dr. Michael Scholtz
Special Representative of the Director General
World Health Organization, Geneva
電話:(41-22) 791-4798
ファックス:(41-22) 791-3111
電子メール:scholtzm@who.ch
Dr. George Gellert
President
The WebMD Foundation, Atlanta
電話:(1-404) 495-7645
電子メール:ggellert@webmd.net