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グローバル・コンパクト

プレスリリース 00/83 2000年09月01日

グローバル化がもたらす挑戦に取組むため、企業と市民社会を動員する

 サミットに向けて発表したミレニアム報告書の中で、コフィー・アナン事務総長は「グローバル・コンパクト」構想の概略を示した。この構想によれば、企業はその事業実践において、労働基準、人権および環境の分野に関する一連の中核的価値を促進することになる。

 2000年7月26日に国連本部で開催された「グローバル・コンパクトに関するハイレベル会合」の閉幕にあたり、国連からその要旨が発表された。この会合には50を超える企業および財界団体、ならびに、主要な国際労働団体および中心的役割を果たしている環境・人権機関の代表が出席した。詳しい情報と参加者リストは、www.unglobalcompact.orgで閲覧できる。

 要旨の本文は以下のとおり。

  1. コフィー・アナン国連事務総長の指導の下、企業、労働者および市民社会の地球的な代表は7月26日、普遍的な価値と責任ある企業活動を支持する共同イニシアチブを発足させるための会合を開いた。事務総長は1999年1月、ダボスにおける世界経済フォーラムではじめてグローバル・コンパクトを提案した。
  2. グローバル・コンパクトは財界指導者に対し、その企業活動の範囲内において、人権、労働基準および環境の分野に関する9つの原則を促進・適用するよう求めている。そのねらいは、グローバル市場を含め、あらゆる市場が成功と繁栄を達成する上で基盤としなければならない社会的な柱の強化を助けることにある。これら原則は世界人権宣言、国際労働機関(ILO)の職場での権利に関する基本原則、および環境と開発に関するリオ原則から派生している。
  3. 財界からの不可欠な貢献に加えて、地域、世界を問わず、グローバル・コンパクトをコミュニティーの組織内に幅広く根づかせるためには、労働者と市民社会の関与が重要である。対話と活動におけるパートナーとしてのその役割も、同様に重要である。
  4. 企業、労働者および市民社会からの参加者は、革新的で時宜に適ったイニシアチブとしてグローバル・コンパクトを歓迎した。これらの参加者は、より包含的なグローバル市場を構築するために、グローバル・コンパクトの枠組みの中で協力していくことで合意した。その方法として、地球全体の社会的ニーズを反映する価値と実践の幅広い共有を促進し、すべての人がグローバル化の恩恵を得られるようにすることの重要性が指摘された。
  5. 会合の主要な成果は以下のとおり。
    • メディア、鉱業、自動車、サービス、電気通信、金融、石油、医薬品、ソフトウェアおよび製靴など、さまざまな部門のほぼ50社の多国籍企業は、グローバル・コンパクトとその原則に対し、公にその立場を表明した。これまで、全く立場の表明を行ってこなかった企業もあれば、グローバル・コンパクトが対象とする分野のいくつかについて、過去に問題を抱えていた企業もある。このイニシアチブは、責任ある市民としての企業の育成を多いに促進し、他者が見習うべき模範例を示すものである。
    • 企業は以下の手段により、グローバル・コンパクトの原則を事業の実践に生かすことを誓約した。
      1. その事業目的、年次報告およびこれらと類似する場で、グローバル・コンパクトの唱道を行う。
      2. 少なくとも年1回、グローバル・コンパクトのホームページに、原則を実践する上で自社が果たした進歩あるいは学んだ教訓の具体例を掲示する。
      3. 政策レベル(紛争地域における企業の役割に関する対話など)あるいは開発途上国での活動レベル(村民のインターネット接続援助や中小企業強化など)のどちらかにおいて、国連とのパートナーシップ・プロジェクトに参加する。
    • 労働者と市民社会のパートナーは、グローバル・コンパクトの構築と深化を助けるとともに、具体的な活動の設計と実施について、そのノウハウと支援を提供する。
    • すべての参加者は、同イニシアチブへの賛同者・団体の拡大を助けること、および、3年以内に、大規模な多国籍企業100社と世界各地の企業計1,000社をグローバル・コンパクト連合に追加するという目標を達成することで合意した。
    • 財界団体もまた、グローバル・コンパクトの目標を前進させるための具体的な計画の策定を約束した。例えば、国際事業主協会は今年中に地域ワークショップを開催予定である。国際商業会議所と持続可能な開発のための世界企業協議会は、企業が2002年のリオ+10会議への貢献を検討する際、環境問題はもとより、社会問題と開発への取組みにもグローバル・コンパクトの枠組みを用いることを提案している。
    • アナン事務総長はこのイニシアチブに対する同人の個人的なコミットメントを再び強調した。事務総長はすべての参加者に対し、今後5ヵ月以内に協調的行動のための事項を示した計画を仕上げるよう要請するとともに、その実現を助けるため、「グローバル・コンパクト事務所」を設置することを発表した。
  6. グローバル・コンパクトのような自発的イニシアチブは、政府による行動に代わるものではない。人権、相応の仕事、環境保護および開発の促進にとって、実効的な政府は不可欠である。さらに、極貧状態の撲滅という、万人が共有する目標を実現するためには、先進国が後発開発途上国をはじめとする開発途上国の輸出品に対する市場開放を進め、速やかに債務救済を行うとともに、公的開発援助を増額しながら、その実効性を高めることも必要である。

 詳しくは以下にお問い合わせください。

Tim Wall
Department of Public Information
United Nations
電話:1-(212) 963-5851
電子メール:wallt@un.org

Georg Kell
Executive Office of the Secretary-General
United Nations
電話:1-(212) 963-1490
電子メール:kell@un.org