国連広報局、列国議会同盟
政治と女性の世界地図を発表
プレスリリース 00/57 2000年06月15日
6月8日、国連広報局(DPI)と列国議会同盟(IPU)は国連本部での記者会見において政治と女性の世界地図を共同で発表した。
ポスターサイズのこの地図は、2000年3月現在の2つの国権機関(行政府と立法府)における女性の地位を示すものである。主要な政治ポストにおける公平な代表を達成する上での女性の進歩を視覚的に評価する助けとして、この地図は「北京+5」国連特別総会に合わせて発表された。
行政府に関しては、情報提供の要請に応じた151カ国のデータが示されている。立法府については、国会を有する177カ国のうちの174カ国と、直接選挙で選ばれる2つの地域議会のデータが得られている。数多くの地域的統計に加え、この世界地図は百分率と国別の色分けを用いて、各国の国会における女性のプレゼンスを描き出している。
IPUが集計したデータによれば、北京で第4回世界女性会議が開催された1995年以来、2つの国権機関(国会と行政府)における女性の割合はほとんど変化していないばかりか、場合によっては減少を見せている。
地図は2つの基本原則に着想を得たものであり、これは地図上にも引用されている。第1の原則は、「民主主義の達成は、男女が平等かつ補完的に活動し、その差異から相互に豊かさを引き出せる社会の運営において、男女間に真のパートナーシップがあることを前提条件とする」(世界民主主義宣言、1997年)というものであり、第2の原則は、「あらゆるレベルの意思決定において、女性の積極的な参加と女性の観点の組入れがなければ、平等、開発および平和という目標は達成できない」(北京行動綱領、1995年)というものである。
地図が如実に物語っているとおり、女性の国家元首と女性の国会議長を有し、かつ、女性の閣僚と議員が大きな割合(それぞれ44%と36.5%)を占めている国は、フィンランドだけである。また、スウェーデンの状況も良好であり、世界中で唯一、行政府の半数以上(55%)が女性であるほか、女性議員の割合(42.7%)も世界で最高となっている。より一般的に見ると、地図は以下のことを明らかにしている。
- 国家元首あるいは政府首脳:女性がこの地位にある国はバングラデシュ、フィンランド、アイルランド、ラトビア、ニュージーランド、パナマ、サンマリノ(6ヵ月交替の大統領制)およびスリランカ(女性が両方の地位を占める)の8カ国だけである。また、女性が国家元首あるいは政府首脳の補佐役を務める国はアルバニア、オーストリア、ベルギー、コスタリカ、クロアチア、デンマーク、フィジー、ホンジュラス、インドネシア、アイルランド、オランダ、フィリピン、モルドバ共和国、ロシア連邦、スウェーデン、タジキスタン、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、ウガンダ、ウクライナ、ウズベキスタンおよびユーゴスラビアの21カ国である。
- 国会議長:二院制の国65カ国を含め、国会を有する177カ国(議院数の合計は242)のうち、女性が議長を務めるのは22カ国のみである。両院で女性が議長を務めるのはアンチグア・バーブーダ、ベリーズ、ジャマイカおよび南アフリカの4カ国のみである。
世界の国会議員総数は4万256人である。統計が入手できる国については、3万4,078人が男性、5,260人が女性(両院合計で13.4%)である。下院議員の総数は3万4,240人にであるのに対し、女性は4,511人(13.5%)、上院議員の総数は6,016人であるのに対し、女性は749人(12.6%)である。男女対等にもっとも近い北欧諸国では、国会議員全体に占める女性の割合が38.8%となっている。第2位は欧州諸国(北欧諸国を含む場合)であり、女性議員の割合は下院で15.8%、上院で13%(両院合計で15.2%)である。以下、女性議員の割合は米州が下院で15.3%、上院で14.8%(両院合計で15.2%)、アジアが下院で14.3%、上院で12.9%(合計で14.2%)、欧州OSCE(欧州安全協力機構)諸国(北欧諸国を除く)が下院で13.6%、上院で13%(合計で13.4%)、太平洋地域が下院で11.6%、上院で25.4%(合計で13.5%)、サハラ以南アフリカが下院で11.5%、上院で12.9%(合計11.7%)である。最下位のアラブ諸国では、女性議員の割合が下院で3.7%、上院で2.5%(合計3.5%)となっている。
閣僚レベルについて、地図によれば、女性の担当する大臣ポストでもっとも多いのは引き続き、社会問題、女性問題、保健、雇用、家族、文化、環境、さらには司法となっている。女性の国防大臣は2人だけである。プラスの側面としては、ほとんどの国で少なくとも1人の女性が入閣していることがあげられる。
地図の発表は、IPUによる「女性の政治参加」と題する調査の集大成である。この調査では、第4回世界女性会議から5年後における国会、政党、政府および列国議会同盟の変化が評価されている。1999年後半に発表されたこの調査では、国会で男女平等の問題に対する認識が高まっていることが明らかになった。調査はまた、2000年初めに発表されたもう一つのIPU調査「政治:女性の識見」を補完するものでもある。この調査は、民主的プロセスに対する女性の貢献にスポットを当てている。
1889年に設立されたIPUは、ジュネーブを本部とする世界的な議会組織であり、現在では、138カ国の国会と5つの地域議会が加盟している。IPUはまた、ニューヨークに国連連絡事務所を設置している。議会における女性に関する情報は、常に更新されており、IPUのウェブサイトで閲覧できる。
政治と女性の地図は希望により、IPUの事務局から電子メール(PDFフォーマット)で入手できる。
詳しくは以下にお問い合わせください。
- ジュネーブ:
- Mrs. Luisa Ballin, IPU Information Officer
- Tel:(41 22)919 4116/27
- 携帯:(41 79)649 7145
- Fax:(41 22)919 4160
- e-mail:lb@mail.ipu.orgあるいはcbl@mail.ipu.org
- ニューヨーク:
- Mr. Santiago Romero Perez, Director, IPU Liaison Office
- Tel:+1(212)557 5880
- Fax:+1(212)557 3954
- e-mail:nyoffice@mail.ipu.org
- 国連の照会先:
- Ms. Laufey E. L嘛e, Development and Human Rights Section
- United Nations Department of Public Information
- Tel:+1(212)963 0352
- Fax:+1(212)963 1186
- e-mail:love@mail.ipu.org