国連、「世界の女性2000:傾向と統計」を発表
プレスリリース 00/54 2000年06月06日
入手可能なデータに関する最新の包括的報告
進展は見られるも、全世界で男女間の格差は残る
ニューヨーク発、5月31日 (国連経済社会局) -国連は「世界の女性2000:傾向と統計」と題する報告書を発表した。これは保健、人権・政治的意思決定、労働、教育・コミュニケーション、人口および家族という6つの分野について、最新のデータを集計し、世界中の女性にとっての進歩を文書化した貴重な報告書となっている。国連統計部が作成したこの報告書は、1995年に北京で開かれた第4回世界女性会議以降、各国政府が女性の生活向上において達成した進歩を再検討し、女性に関する今後の優先課題について合意することを目的とした特別総会に先駆けて発表されたものである。
「この報告書は、世界の女性が真の意味でその生活をどれだけ向上させたかという、緊急かつ複雑な問題に対する答えを提供しようとするものだ」と語るのは、国連経済社会問題担当事務次長のニティン・デサイ氏である。「入手可能なデータによれば、女性は進歩を遂げてはいるものの、男女間には依然として不平等が見られる。小中学校の就学については、男女間の格差が縮まってはいるものの、目標の2005年までにこの格差が解消される可能性は低い。経済社会活動への参加に関する男女格差は縮小する一方で、女性は相変わらず、家庭と仕事の両立を強いられている。ほとんどの地域では最近、早婚と若年出産が減少してきている。これは女性の生活が真の意味で質的な変化を遂げたことを意味するが、南アジアの5カ国に3カ国、および、サハラ以南アフリカの30カ国に11カ国では、15歳から19歳までの若い女性の30%以上が結婚している。」
同報告はまた、ジェンダー統計収集における進歩に触れながらも、女性に対する暴力や妊産婦保健など、女性独特の問題に関し、新しいデータが必要であることを強調している。例えば、女性のリプロダクティブ・ヘルスや母子の安全は新たに重要視されているが、報告によれば、母子の安全に対する関心の高まりが、母子のケア改善に結びついているかどうかを示すデータは、まだ入手できていない。
「世界の女性2000」は、一連の画期的な報告書の第3回目に当たる。1991年に発表された第1回報告は、幅広い女性関連データのユーザーからの増大する需要に直接的に対応するものであった。1995年の第2回報告では、さらにデータが整備され、今回の報告では、統計学的データと分析を通じ、女性の地位が検討されている。今回の報告に含まれる情報とデータは、1995年以降の統計調査によって出てきたもっとも顕著な結果のいくつかについて分かりやすく解説を交えながら、最近の変化と長期的傾向を描出することをねらいとしている。
過去7年間において、各国政府、機関および非政府機関(NGO)はあらゆるレベルで、一連の国連会議の課題を遂行し、これを国内の行動計画に組み込もうと努力してきた。こうした努力の成功 ―あるいは不成功― は、「世界の女性2000」の主題となっている。各々の懸案分野における話題は、データの入手可能性と、世界会議から生じた行動の必要性の両方によって決定されている。「世界の女性2000」の要点と重要な調査結果は以下のとおり。
保健
- 先進国と開発途上国の間では、一生の間の妊産婦死亡リスクに引き続き格差が存在している。アフリカの女性が一生の間に出産関連の原因で死亡するリスクは16人に1人であるのに対し、アジアではその比率が65人に1人、ヨーロッパでは1,400人に1人となっている。
- 現在、女性はHIV/エイズ症例のほぼ半数を占めており、HIVの蔓延率が高い国々では、若い男性よりも若い女性の方が、HIVに感染するリスクが高くなっている。
- 平均寿命はほとんどの開発途上地域で、男女ともに伸びているが、南部アフリカではエイズにより、平均寿命が劇的な低下を見せている。
労働
- 世界の労働人口に占める女性の割合は増えており、北米と西アジアを除くすべての地域で3分の1を占めている。
- 女性の労働力への参加は増えたものの自営業、パートおよび自宅勤務によって、これらの労働力は、不安定性、諸手当の欠如および低所得を特徴としている。
- その生殖年齢を通じ、労働力に留まる女性が増えているが、家庭と仕事の両立という障害は消え去っていない。
人権と政治的意思決定
- 世界的にみて何百万という女性と女児が、身体的・性的虐待を受けているが、この件数は著しく過少報告されていることが認識されてきている。
- 一部のアフリカ諸国では、女性と女児の半数以上が女性器切除を受けており、その件数は減少していない。
- 女性と女児は、世界の難民の半数を占めており、彼女たちは難民という立場によって、逃亡中や難民キャンプ滞在中、さらには再定住の際に、性的な暴力にさらされやすくなっている。
- 男女平等を求める声にもかかわらず、政府、政党および国連における女性の数はあまりにも少なすぎる。
教育とコミュニケーション
- 小中学校における男女格差は縮小しているものの、アフリカと南アジアの一部の国々では、女性が依然として男性に大きな後れを取っている。
- 世界中で読書きのできない人の数は8億7,600万に上るが、その3分の2は女性であり、読書きのできない人の数は今後20年間、大きく減少しないものと見られる。
- 「ニューメディア」の職業に就くために必要な基本的な識字能力とコンピューター技能を欠いている人々は、男性よりも女性に多い。
家庭における女性と男性
- 一般的に、女性の晩婚化が進んでいるが、22カ国では、15歳から19歳までの女性の4分の1以上が結婚しており、しかもそのすべてが開発途上地域にある。
- 先進国と一部の開発途上国では、形式にとらわれない結婚が幅広く見られる。
人口
- 平均的に、出生率は低下しているが、出産適齢期の女性が増えているため、世界人口は増加を続けている。
- 女性は国際移住者の過半数を占めており、総計1億1,800万人のうち5,600万人が女性であると見られている。
「ジェンダー統計の開発が大幅に進歩したことは事実であるが、女性の地位向上の測定には逸話や誤解が多く存在する」とデサイ氏は語る。「特に懸念される多くの問題について、まったくデータが収集されていない。データが収集されていても、それがごく一部の国々に留まっているケースも見られる。女性に関する一連の基礎的統計が、不定期的にしか収集されていない国も多い。各国の統計能力、すなわち、時宜に適った信頼できる統計を提示できる能力は、ジェンダー統計の改善に不可欠である。国連経済社会理事会は、世界会議の成果の実施とフォローアップにとって、統計能力の改善が重要であることを認識している。経社理は各国、国際機関および地域機関に対し、特に開発途上国において、重要かつ必要なデータを作成する効果的なシステムを設けるよう求めており、そうすることにより私たちは世界中の女性の地位向上を真に把握できるようになる。
「世界の女性2000:傾向と統計」の入手をご希望の方は、以下にお問い合わせください。
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Development and Human Rights Section, Department of Public Information
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あるいは
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Statistics Division, Department of Economic and Social Affairs
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