国連、アフリカ東部の飢餓に国際社会の支援を緊急要請
2011年07月26日
国連は2011年7月20日、アフリカ東部のソマリアで南部の2つの地域が「飢餓状態にある」と宣言し、国際社会に対し緊急支援を求めました。国連がソマリアに飢餓宣言を出すのは1991-92年以来初めてです。
「アフリカの角(Horn of Africa)」と呼ばれるアフリカ東部では、ソマリアを中心に数十年ぶりの最悪の干ばつに見舞われています。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、深刻な栄養失調の結果、ソマリア南部ではこの数カ月で子どもを中心に数万人が死亡しています。同国の人口の半数にあたる約370万人が生命の危険にさらされており、そのうち約280万人が南部に集中しています。また干ばつに加え、長引く紛争のため緊急支援にあたるスタッフが同地域に入ることが極めて難しい状況にあります。
-アフリカ東部の地図はこちらをご覧下さい。
潘基文(パン・ギムン)事務総長は20日、ニューヨーク国連本部で記者会見を行い、「現在の緊急ニーズに対応すると共に、事態のさらなる悪化を防ぐため、国際社会に緊急支援を呼びかける」としました。
事務総長はまた、25日にローマの国連食糧農業機関(FAO)で行われた緊急の国際会議に以下のメッセージを寄せています。
【事務総長によるメッセージ】
アフリカ東部では現在、食料価格の高騰、深刻な干ばつ、そして紛争という複合的な悲劇により1,100万人以上の人々が生命の危機にさらされています。彼らは今、飢餓に苦しんでいます。
食料安全保障に関するハイレベル諮問委員会のメンバー、および現地スタッフは現在、各国政府やアフリカ連合(AU)、市民社会、民間セクター、研究者と共に、この緊急事態への短期および長期の両面の対策にあたっています。
干ばつや飢餓への対応は、単に人々が十分な食料を提供されるようにするだけでなく、持続可能な生活のための手段の確保、食と栄養の安全保障を高めることも含めて進める必要があります。特に遊牧民への視点が含まれることが求められます。
どのような援助が必要かについては、諮問委員会の包括的行動枠組みに記載されている通りです。短期的な救援が長期的な持続可能性の基盤となる必要があります。すなわち、農村における生計の回復力を高め、将来の災害による被害を最小限に抑えることを意味します。地域の天候に適した農作物の生産、畜産や養殖の充実、また森林保護活動などを通じて、人々が一年を通して必要な栄養素を摂取できる環境を整えることが可能になります。
遊牧民社会は、女性と子どもたちが主力となって働いている、非常に脆弱なコミュニティです。簡単に手に入る栄養価の高い食物を供給することが、私たちの最優先事項です。実施のためには、今年の残りの期間に対して約10億ドルの資金援助が必要です。しかし、現在のところ、資金はまだその半分の額しか集まっていません。
この緊急国際会議の開催により、AUやG20、世界食料安全保障委員会の中に、幅広い政治的コミットメントが生まれ、包括的で持続性のある対応が可能になることを強く願っています。危機にさらされているのは人々の命だけではありません。地域全体の安全と持続そのものなのです。
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