今、シリアで何が起きている? 2,000という数字の示す事態を知ってください
2011年08月24日
北アフリカ、中東で広がる民衆の蜂起。チュニジア、エジプトでは独裁政権が崩壊、リビア、そしてシリアでは民主化を求める人々に対する政府による武力弾圧が続いています。
シリアでは、2011年3月に始まったアサド政権による反政府デモへの弾圧で、8月までに2,000人を超える死者が出ているとされています。国連によるこれまでの対応を振り返ります。
-シリアの地図はこちらをご覧ください。
(出典:UN Dept. of Field Support/ Cartographic Section)
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アサド政権による反政府デモへの弾圧が続くなか、潘基文(パン・ギムン)事務総長は繰り返し、民間人に対する武力弾圧を停止するように訴えています。7月31日の声明では、以下のように語っています。
「シリア当局は、シリアの人々の言論の自由、そして平和的な集会をする権利を含む人権を尊重する義務があり、民衆のまっとうな願望に耳を傾けるべきです。また、国際人権法の下、民間人に対してなされたすべての暴力行為について、当局には説明責任があります」
国連の安全保障理事会(安保理)は8月3日、シリアにおける人権侵害、そして治安部隊による民間人に対する武力弾圧を強く非難し、暴力行為を停止するとともに、双方が自制を持って行動し、報復行動をやめるように求める議長声明を採択しました。
潘事務総長は安保理の声明を支持し、シリアでの一連の弾圧について「ひどくショッキングである」とし、次のように述べました。
「独立性・透明性をもって、すべての殺害を十分に調査するべきです。そしてその責任を問うべきです。シリアの人々のまっとうな要求に対しては、包括的なシリア主導による政治プロセスで、すべての人の基本的な自由と権利が保障されるよう対応すべきです」
8月6日には、潘事務総長がシリアのバッシャール・アサド大統領に電話し、民間人に対する武力弾圧をただちに停止するよう要求しました。アサド政権は、年内に選挙を実施し、複数政党制を導入することを表明していますが、潘事務総長は、武力弾圧を即時停止しない限り信頼できないと伝えました。
シリアでは8月14日、治安部隊が北部の港町・ラタキアにあるパレスチナ難民キャンプに砲撃し、多くの住民が死傷しました。
子どもと武力紛争に関する国連事務総長特別代表・ラディカ・クマラスワミ氏は、8月17日、治安部隊が殺傷力の高い武器を乱用し、子どもを含む多数の民間人の命が犠牲になっていると述べました。シリア政府によるデモ弾圧は、パレスチナ難民や子どもたちにも波及しているのです。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は8月18日に報告書を発表し、シリア政府が国民に対して行っている「広範囲で計画的な」弾圧は、人道に対する罪の可能性があり、国際刑事裁判所(ICC)の捜査が必要だと指摘しています。
また、人権理事会も8月22日に特別会合を開催し、平和的デモへの暴力的な弾圧を調べるために調査団を緊急派遣することを討議しました。ナビ・ピレイ人権高等弁務官は、「人道に対する罪を犯した者に説明責任を果たさせることが重要です」と訴えました。
人権理事会は23日、武力弾圧により多数の死傷者を出しているシリアを非難する決議を、賛成多数で採択しました。ピレイ人権高等弁務官は特別会合で、3月中旬から始まったデモ弾圧による死者数が2,200人を超えたとの調査結果を発表し、ここ3週間だけで350人以上が犠牲になったと見られると述べました。
これ以上の犠牲者が増えないよう、そしてシリアの人々が自由を得られるように、国際社会は注視していく必要があります。
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