核兵器のない世界への希望を描く「国連平和ポスター・コンテスト」 結果発表
2016年05月31日
2016年5月10日 ― “核兵器とすべての大量破壊兵器を廃絶する”という目標を定めた国連総会決議第1号を記念する国際コンテストが開催され、入賞者たちは核兵器のない世界の実現を求めています。これまで最初に、そして最後に核兵器が使用されたのは、こうしたアーティストたちが生まれる数十年前のことでした。
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は5月3日、ニューヨークの国連本部で行われた授賞式で「核兵器をつくり出したのは若者ではありませんが、これを最終的に廃絶する任務は、若者たちが担うことになるかもしれません」と述べました。
また、事務総長は「世界が多くのニーズを抱える中で、若者が核兵器による脅威を認識し、軍縮が極めて重要であるという意識を高めることは重要です」と強調するとともに、コンテストに多くの若者が参加したことに対する喜びの気持ちを表しました。
国連軍縮部(ODA)とパートナーは、全世界の市民に対し、核兵器のない世界の実現に向けて、その芸術的才能を生かすよう呼びかけることで、核軍縮の必要性に対する意識の向上を図る「国連平和ポスター・コンテスト」を立ち上げました。
このコンテストは1946年、原子力の発見に関連する問題に対処する委員会を設立する決議が採択されたことを記念し、開催されたものです。
123カ国からのエントリー作品4,100点以上の中から、受賞作品3点と入選作品9点が選ばれました。
第1位に輝いた作品『Spinning Peace(平和を紡ぐ)』の制作者イバン・シロ・パロミノ・ウアマニさんは、ペルーのリマから授賞式に駆けつけました。この作品には、解体された核兵器が糸にされ、凧や風船、縄跳びに使われる様子が描かれています。
38歳のウアマニさんは、この作品を通じて、人々に「どうしたら地球を守れるかを意識的に考えてほしかった。結局のところ、地球は私たちの家なのだから」と語りました。
第2位のミシェル・リーさんは5歳の頃から、よりよい世界を求める活動を始めました。現在15歳になったリーさんは、地球温暖化から世界平和に至るまで、幅広いテーマに取り組む創作活動を始めたと語っています。受賞作『Peace in our Hands(平和は私たちの手の中に)』では、破壊された核兵器の上に、平和を象徴する鳩の影絵が描かれています。
第3位に入賞したアンジャリ・チャンドラシェカルさんの受賞作『Cutting Barriers through Peace(障害を切り抜けて平和を)』は、平和を象徴する鳩が核兵器を突き抜けて進む姿を描いています。22歳のチャンドラシェカルさんは、わずか10歳で非政府組織「Picture It」を創設し、画像を使ってさまざまな健康、人道、環境問題に関する意識の向上と資金の調達を図る取り組みを始めました。
チャンドラシェカルさんは「核軍縮はいつもハイレベルで議論されていますが、アートには、世界が今まさに直面する喫緊の課題のいくつかに人間味を与える力があると、私は信じています」と UN News Centre のインタビューに答えます。「芸術には年齢や言語、識字の壁がありません。だから私は、今回のコンテストが“筆は武器よりも強くなれる”ことを証明する絶好の機会だと思ったのです」
授賞式では、国連の活動に世界の関心を集めるため、国連ピース・メッセンジャーを務める俳優のマイケル・ダグラス氏も祝辞を述べました。ダグラス氏は聴衆に対し、核軍縮に向けた機運を盛り上げるうえで「創造力は欠かせない」と語っています。
国連軍縮部で広報アウトリーチを担当するジョン・エニス チーフによると、受賞作品はすべて、軍縮の重要性を伝える国連のメッセージを補強するものとして用いられるほか、展示会や横断幕、ポストカード、カレンダーなど多様な媒体でも活用される予定です。
今回のポスター・コンテストは、国連総会議長室、国連財団、国連協会世界連盟および国連アカデミック・インパクトとのパートナーシップにより開催されました。
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*入選作品には、日本からエントリーした中里久美さん(奈良県)の作品『Must Be Zero(ゼロでなければならない)』が含まれています。