持続可能な開発目標(SDGs)報告2016 ― よくある質問
プレスリリース 16-064-J 2016年07月25日
この報告書の目的は何ですか。
• 持続可能な開発目標(SDGs)に関する初のグローバル年次報告書は、2030年を到達点とする私たちの集団的な取り組みの出発点で、世界がどのような現状に置かれているかを解説するものです。
• 報告書は、開発の恩恵が全員に平等に行き渡っていないことを明らかにしつつ、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」のテーマの一つである「誰も置き去りにしない」を中心に取り扱っています。
実施に向けた取り組みが始まったばかりの時点で発表される今年の報告書には、どのような意味があるのですか。
● SDGs採択以来初の報告として、今年の報告書は、フォローアップに向けた態勢を整え、今後15年間のプロセスを改めて検討するものとなります。
● 今回の報告書は、近年の動向の紹介などを通じ、SDGs達成に向けた取り組みの出発点で、私たちがどのような現状にあるかを示しています。
報告書の主な調査結果には、どのようなものがありますか。
• 世界人口のうち、飢餓に苦しむ人々の割合は、2000年から2012年の15%から、2014年から2016年の11%へと低下しました。1990年から2015年にかけ、世界の妊産婦死亡率は44%低下し、5歳未満の幼児死亡率も半分以下となりました。
• 2015年の時点で、20歳から24歳までの女性の26%が、18歳の誕生日を迎える前に結婚していたことを報告していますが、1990年にはこの割合が32%に達していました。
• 2015年の時点で、世界人口の91%にあたる66億人が改良型飲料水源を利用していますが、これも2000年の82%から改善しています。
• 世界の森林面積の純損失は、1990年代の年間730万ヘクタールから、2010年から2015年の年間330万ヘクタールへと減少しています。
• 2015年の政府開発援助(ODA)総額は1,316億ドルと、対2014年で実質6.9%増となり、史上最高額を更新しました。
• より一層の取り組みが必要です。世界は極端な貧困の中で暮らす人々の割合を26%から13%へと、大幅に削減することに成功しました。しかし、依然として8人に1人が極度の貧困の中で暮らしています。
• 世界で8億人近くが十分な食料にありつけず、2015年にはほとんどが予防可能な原因で、5歳未満の子ども590万人が死亡したと見られています。
• 2013年の時点で、小学校就学年齢の子ども5,900万人が学校に通えず、全世界の国々でジェンダーの不平等が依然として大きな課題となっています。2015年になっても、6億6,300万人が依然として未改良の地表水源を利用しているものと見られます。
• 世界で電力を利用できる人々の割合は、2000年の79%から2012年の85%へと、着実に増加しているものの、2012年の時点でさえ、依然として11億人がこの必須のサービスを利用できていません。
• 全世界で20億人以上が水不足に陥っています。
• 2014年には、世界の都市人口の30%に相当する8億8,000万人が都市部のスラムで暮らしています。
• 全世界の5歳未満児4人に1人以上の出生は、公的に記録されていません。
• 2015年の若年失業率は15%と、成人失業率(4.6%)の3倍を超えています。
• 第3世代(3G)モバイルブロードバンドの普及率は、2015年の時点で都市人口の89%に達している一方、農村部ではわずか29%にすぎません。
SDGsの進捗状況について全体像を把握できるデータはありますか。
• 報告書で提示された情報は、SDGsの進捗状況をモニターするためのいくつかの指標(インディケーター)に基づいていますが、これらについては、2016年5月の時点で情報が入手できています。これらグローバル指標に関するデータ要件は、SDGsそれ自体と同様、過去に類を見ないものであり、すべての国にとって極めて大きな課題となっています。
• 各国の統計能力構築を通じたデータ要件の充足は、現状を把握し、今後の道のりを定め、私たちの集団的なビジョンの実現に近づくうえで欠かせない一歩となります。
SDGsの達成状況はどのようにモニターするのですか。
● 新たなアジェンダで掲げられた17の持続可能な開発目標と169のターゲットの達成に向けた進捗状況はグローバル・レベルで、国連統計委員会が合意した一連のグローバル指標を用いて検証、レビューされています。
● 各国政府も、目標とターゲットの達成に向けた国別の進捗状況の検証に協力するため、独自の国内指標を開発中です。
● フォローアップとレビューのプロセスは、事務総長が作成する年次SDGs進捗状況報告書で知ることができます。
● 持続可能な開発に関する年次国連ハイレベル政治フォーラムは、グローバル・レベルでのSDGs達成に向けた進捗状況のレビューにおいて中心的な役割を果たします。毎年の会合では、多くの国がそれぞれの進捗状況に関する自主的報告を行うことになっています。
● 新たな持続可能な開発アジェンダの支援に向けた資金の実効的な動員を確保するため、SDGsの実現手段は、第3回開発資金国際会議の成果文書である「アディスアベバ行動計画」の規定に従いモニタリング、レビューされることになります。
SDGsはどのように実施されるのですか。
● 目標の実現と成果は、各国独自の持続可能な開発政策に多くを依存するため、各国が主導権を握ることになります。SDGsは、各国の計画をそれぞれのグローバルな約束と整合させるための羅針盤の役割を果たします。
● 各国が当事者となって主導する持続可能な開発戦略には、国際協力を含む資金の動員と資金調達戦略が必要となります。
● 各国政府や市民社会、民間セクターその他すべてのステークホルダーが、新たなアジェンダの実現に貢献することを期待されています。
● 各国の取り組みを支援するためには、世界的レベルでグローバルなパートナーシップを再活性化する必要があります。この点は2030アジェンダでも認識されています。
● マルチステークホルダー型パートナーシップは、すべてのステークホルダーを新たなアジェンダのもとに結集するための戦略の重要な構成要素として認識されています。
この新たな持続可能な開発アジェンダの実施には、どれだけの費用がかかりますか。
● 持続可能な開発アジェンダ達成のための資金の動員方法を含む実施手段は、新たなアジェンダの中心的要素となっています。
● SDGsを達成するためには、先進国、途上国双方で多額の投資が必要となります。このアジェンダによって動員が求められる資金は数兆ドルと、膨大な額に上ります。
● しかし、この資金は既に存在しています。世界には、新たなアジェンダに必要な資金を補って余りある蓄えがあります。これをどのような形で持続可能な開発に資する投資に回せるかが、私たちの目標達成の鍵を握ることになります。
● 既存の投資を持続可能な開発に向ける機会が訪れています。
● 国内的、国際的な資金源から、および官民双方から、資金を動員することが必要です。
● 後発開発途上国を含め、最も困窮した国々による持続可能な開発の達成を支援するためには、政府開発援助(ODA)が引き続き必要となります。
SDGsに法的拘束力はありますか。
• いいえ。SDGsは法的拘束力を持たないものの、全会一致で採択されており、各国が目標の達成に努めるという約束を体現しています。
• すべての国は当事者意識を持ち、17の目標を達成するための国内的枠組みを確立するよう期待されています。
• 目標の達成と成果は、各国独自の持続可能な開発に関する政策、計画およびプログラムに依存することになります。
• 今後15年間の目標とターゲットの達成に向けた進捗状況について、国内、地域、グローバルの各レベルでフォローアップとレビューを行う責任は、主として各国にあります。
• 国内レベルで進捗状況をモニターするためには、良質の利用しやすいデータを適時に収集し、地域的なフォローアップとレビューを行う必要があります。
SDGsはどのように達成されるのですか。
● SDGsの達成に向けた進捗状況に関し、国内、地域、グローバルの各レベルでフォローアップとレビューを行う責任は、主として各国政府にあります。
● SDGsの成否は、各国独自の持続可能な開発に関する政策、計画、プログラムに依存し、各国が主導権を握ることになります。
● 各国政府は、グローバル指標の枠組みを考慮しつつ、目標とターゲットの達成に向けた進捗状況のモニタリングに協力するため、独自の国内指標を開発中です。
● 目標を達成するためには、国内、国際レベル双方で資金を動員することが欠かせません。
● グローバル・レベルのフォローアップとレビューのプロセスは、国連事務総長が国連システムとの連携により作成する年次SDGs進捗状況報告書に基づき、持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムが行うことになっています。
持続可能な開発とは何ですか。
● 持続可能な開発は、将来世代がそのニーズを満たす能力を損なうことなく、現世代のニーズを満たす開発と定義されています。
● 持続可能な開発を実現するためには、人間と地球にとって包摂的、持続可能かつレジリエントな未来を創るための協調的な取り組みが必要です。
● 貧困に終止符を打ち、格差を縮め、気候変動に対処することは、持続可能な開発の達成に不可欠な要件です。
SDGsとは何ですか。
• 持続可能な開発目標は、2015年9月に世界のリーダーが採択した持続可能な開発のための2030アジェンダの中心的要素です。
• 169のターゲットから構成される17項目のSDGsの一覧は、こちらでご覧になれます。
• SDGsは、2000年に採択され、以後15年間の開発施策の指針として成功を収めたミレニアム開発目標(MDGs)の成果を土台とし、これをさらに進めるものとなっています。
• SDGsは経済成長、社会的包摂、環境保護という持続可能な開発の相互に関連する3要素に焦点を絞っています。
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【関連資料】
プレスリリース「初のSDG報告書、目標達成までに必要な取り組みの規模を提示 ~開発の恩恵が平等に行き渡っていない現状が明らかに~」