第66回国連総会が開幕 総会議長はカタール出身のアルナセル氏
2011年09月20日
2011年9月12日をもって第65回国連総会が閉幕し、総会議長の象徴ともいえる小槌が、同会期の議長を務めたスイスのジョセフ・ダイス氏(スイス)から今期議長のナーセル・アブドゥラジズ・アルナセル氏(カタール)に手渡されました。そして翌13日、アルナセル氏によって第66回総会の開幕が宣言されました。
新議長のアルナセル氏はカタール出身、首都ドーハ生まれのキャリア外交官です。1998年からカタールの国連常駐代表特命全権大使を務め、これまで数々の国際会議やフォーラムに参加し、市民社会活動にも積極的に関わってきました。
総会議長は毎年6月に国連総会において選出され、任期は1年です。定められた5つの地域グループから輪番で選ばれることになっていますが、常任理事国などの大国は対象から外されます。今期は中東とアジア太平洋の加盟国からなる「アジア・グループ」の順番です。
総会議長の主な仕事は、毎年9月に新しい会期を迎える国連総会の議事進行です。総会は全ての加盟国(現在193国)の代表が集う国連の中心的な機関で、大きな国も小さな国も平等に一票を投じる権利を持ちます。あらゆる課題について各国の代表が話し合い、重要な問題は3分の2の多数決で決定されます。総会決議に法的拘束力はありませんが、世界の多数の国々の声を代表するものとして大きな重みを持ちます。
アルナセル氏は、議長選出後の受諾演説で次のように述べています。
「第66回国連総会がとりわけ重要な会期であることを強調したいと思います。今会期中、世界は重要な変化を経験し、政治、社会、経済、そして環境の分野において、重要な課題に直面することでしょう」
人権、平和維持活動(PKO)、持続可能な開発、最貧国や小島嶼国、貧困、国際貿易、国際テロなど様々な課題を列挙した上で、「紛争の平和的解決における仲介の役割」を今総会の主要テーマにすることを提案しました。
「このテーマを選ぶことで、仲介という重要な役割について議論を促し、協力を深めることができると考えます。仲介こそが国連活動の中心です」
国連の仲介力を高めるため、アルナセル氏は総会の役割強化や国連諸機関の協力体制の拡充をめざすと述べ、「武力紛争、民族の自決権、飢餓、貧困、テロリズム、気候変動、グローバルな経済と金融の危機、自然災害発生後の人道的対応など、世界が直面しているグローバルな課題についてのコンセンサスづくりに全力を注ぎます」と決意を語りました。
さて、アルナセル氏を補佐する20数名の議長室スタッフの一人に、国連日本政府代表部の岡井朝子さんが就任しました。岡井さんはシニア政策調整官として今後一年間、アルナセル議長をサポートしていきます。
-第66回国連総会のウェブサイト(英語)はこちら
-アルナセル総会議長の略歴(日本語)はこちら
-国連総会に関するビデオはこちら(日本語字幕つき、1分50秒)
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