シリアで続く反政府デモ弾圧。死者は2,600人に達しています。
2011年09月22日
シリアのアサド政権による反政府デモ弾圧が続いています。
今年3月中旬から始まったデモ弾圧による死者は、この半年間で少なくとも2,600人に達しました。
国連人権理事会は9月12日、シリアにおける弾圧の実態を調査するため、3人の専門家を調査委員会の委員に指名しました。これは、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が8月22日に発表した調査報告書を受けて行われたもので、国際人権法に反すると見られるすべての行為について調査することを目的としています。
報告書では、殺人、強制失踪、自由の剥奪、そして拷問が政府によって繰り返し行われていることが明らかになりました。反政府デモを行う人々に対して、政府は屋上に狙撃兵をしのばせ、子どもでも誰でもかまわず射殺する方法をとっていると報告されています。
調査委員会は、人権侵害の疑いの調査に加え、そのような違反行為や犯罪に相当する事実や状況の立証、また可能な場合には、人道に対する罪を犯した者を含め、違反者を確定するという任務も負っています。
報道の自由も脅かされています。
国連児童基金(ユネスコ)のイリーナ・ボコヴァ事務局長は、シリアの風刺画家が武装集団に襲われたことや、フリージャーナリストが7月末から拘束されているという報告を受け、9月1日の声明で、「拷問や拘束をすることで『力は正義なり』とシリアの人々を納得させることはできない」と、アサド政権による弾圧を非難しています。
潘基文(パン・ギムン)事務総長は繰り返し、シリア政府に対して反政府デモ弾圧をやめるよう要請してきました。安全保障理事会(安保理)も8月3日に、シリア政府による人権侵害や武力弾圧を強く非難する議長声明を採択しました。アサド大統領は年内に選挙を実施すること、複数政党制を導入することを表明しましたが、民間人に対する暴力行為が止む気配は一向にありません。
9月15日、国連総会のハイレベル会合を前にした記者会見で、潘事務総長は改めてシリア政府に対し強く要請しました。
「アサド大統領は、約束を守ってシリアの人々に対する暴力行為、弾圧をやめ、人々の意向に沿った改革を行うべきです」
そして国連は、シリアを含め、世界が直面している政治、経済、人道、環境といった課題に対して協力していくことを表明しました。
エジプト、チュニジア、そしてリビアで旧政権が崩壊し民主化の進む中東。シリアにおいても一日も早く民主的な政権が設立されることを、人々は切望しています。
シリアの地図はこちらをご覧ください。
(出典:UN Dept. of Field Support/ Cartographic Section)
関連記事:今、シリアで何が起きている? 2,000という数字の示す事態を知ってください(8月24日付)
* *** *