「Every Woman Every Child」 1年の歩みを振り返ります
2011年09月26日
女性と子どもの健康の実現に向けたグローバル戦略(Every Woman Every Child)は2010年9月、潘基文(パン・ギムン)事務総長の呼びかけでスタートしました。「2015年までに1,600万人の命を救うために」がこの取り組みの合い言葉です。世界では今も数百万人が貧困や紛争、医療体制の不備のために不必要に命を落としていますが、特に犠牲になりやすいのが女性と子どもです。官民を巻き込み、その連携を強化することで一人でも多くの命を救おうというのがこのプロジェクトの狙いです。
始動からちょうど1年の2011年9月20日、国連総会の開幕に合わせて、各国の首脳、NGO代表、ビジネスリーダーらが出席してレビュー会合が開催されました。潘事務総長が冒頭演説を行い、この1年の成果について次のように語っています。
「救う手立てがあるこの時代にあって、女性や子どもたちを死なせるのは間違っている。この信念に動かされて私たちは『Every Woman Every Child』の取り組みをスタートさせたのです」
「現在、60以上の国々が女性と子どもの健康改善に向けて一層の努力を約束してくれています。医療従事者の訓練に力を入れ、必要不可欠でありながら見落とされがちな医療用品に投資し、家族計画へのアクセスを広げ、健康と開発のための予算を増やす努力をしています」
その結果として「より多くの子供が5歳の誕生日を無事に迎え、出産で亡くなる女性の数が減っています。HIVに感染している女性がHIV陰性の子どもを産む症例も増えています」
400億ドルの資金が世界中から集まり、各国の政府やNGO、民間企業まで広がるパートナーの数は、当初のおよそ100団体から200以上にまで増えました。昨今の緊縮財政にもかかわらず支援を続けるパートナーに感謝の意を表すと同時に、事務総長は「(支援するのは)賢い決断です。ビジョンを持った指導者は、女性と子どもの健康に投資する価値を認識しています」と述べました。
とは言え、今でも年間760万人の子どもが予防可能な原因で死亡し、35万人の女性が妊娠や出産の途中で命を落としています。2015年までに1,600万人を救うためには、支援の効率をさらに高め、連携を一層強化しなければなりません。また、必要な支援を確実に届けるためには、説明責任と透明性を徹底させる必要もあります。
潘事務総長はこの取り組みを国連の最優先課題の一つとして捉えていることを強調し、次のように述べて演説を締めくくりました。「すべての女性、すべての子どもに責任を果たすことで、私たちは世界中のすべての人の生活を改善することができるのです」
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