山下所長の国連だより(10月)
2012年10月16日
このコラムでは、国連の発信する様々なメッセージをわかりやすくお伝えしていきます。皆さまに、国連をより身近に感じていただければと願っています。
国連憲章に描かれた理念の実現や、国際社会の抱える様々な課題に対する認識を高めるため、国連は「国際デー」を制定しています。今回は、“生まれたばかり”の国際デーをご紹介します。
世界中のGirls のチャンスを広げよう! (2012年10月)
今年から10月11日は「国際ガールズ・デー」です。世界各地で、今回が初となる同国際デーのイベントが行われます。国際ガールズ・デーを制定する決議は昨年の国連総会で採択されたのですが、その背景には世界の女性が置かれている厳しい現状があります。
知っていますか? 1日100円以下で生活している人の70%が女性と子どもだということ。女性はすべての労働時間の3分の2を担いながらも、受け取る賃金が全体の10分の1だということ。世界の3人に1人が、女子であるが故に暴力を受けていること。全世界の国会議員のうち、女性が占める割合はたったの18%だということ。そして、世界の多くの女子が、女の子であるが故に学校に通うことができず、早期結婚を強いられ、貧困生活に追い込まれているということ…。こうした現状を変える重要な第一歩、それは教育です。
小学校に通う子どもの世界全体数は昨年、過去最大に達し、貧困撲滅に向けた道のりへ歩みが進んでいます。他方、これを男女比で見た場合、女子の就学率は未だに低いことも事実です。教育を受ければ、女子にも就業の道が開かれて収入が増え、早期結婚を避ける可能性が高まります。女性が家族計画に積極的に参加することにより、子どもを健全に育むことにつながります。このことは国連が掲げてきたミレニアム開発目標(MDGs)にも盛り込まれてきました。平等のチャンスを与えられていない女子が未だに世界にあまりにも多い現状を受け、国際社会は改めて世界の女子に、平等でより幅広い機会を確保しようと、国際ガールズ・デーを制定したのです。
日本で生まれた私も3つ年上の姉も、幸い質の高い教育を受ける機会に恵まれ、「大人になったら何になりたい?」と聞かれた時には、ためらうことなく大きな夢を語ることができました。「女の子だから無理」と思うことはなく、両親も「頑張れば絶対に自分の好きな人生をつかめる」と確信を持って励ましてくれました。医者になった姉も、国際公務員になった私も、これからは周りの女子たちや若い女性たちが、少しでも夢の実現に近づけるよう応援していきたいと思っています。
記念すべき第1回の「国際ガールズ・デー」を迎えるにあたり、国連広報センターは10月8日に国連大学ビルでNGOと共にイベントを開催しました。詳しくはこちらをご覧下さい。
【これまでのメッセージ】