ポスト・リオ+20:私たちが望む未来を実現させるために 国連デー2012(後編)
2012年10月31日
環境パートナーシップ会議(EPC)の星野智子・副代表理事がモデレーターを務めた第2部のパネル・ディスカッションでは、行政、企業、NGO、若者など、各ステークホルダーの代表者が、リオ+20での体験や、持続可能な開発の実現に向けた方策を語り合いました。
登壇したパネリストは4人。まずは南博・外務省国際協力局参事官が、リオ+20に政府を代表して交渉者として参加した経験から、SDGsをめぐる今後の議論の見通しや、ポストMDGsとのプロセス統合の必要性などについて幅広く考えを述べました。また、今後の政府間交渉で、市民社会の考えをバランスよく、タイムリーに反映させるためには、適切なプロセスとメカニズムを考えていかなければいけないと主張しました。
続いて「環境・持続社会」研究センター(JACSES)代表理事の、古沢広祐・國學院大学経済学部教授が、リオで地球サミットが開かれた1992年以降、環境、社会、経済の3分野で、どのように国際状況が変遷してきたのかを解説。環境と開発の統合の問題など、20年間解決を見なかった積み残しの課題に対処するために、従来の社会経済システムを調整していくような、新たな枠組みを形成する重要性を訴えました。
福島宏希・エコ・リーグ副事務局長は、ユースを代表する立場から、リオ+20で1,200人以上の若者が参加した「Youth Blast」の活動を紹介。ロビー活動を通じて政府の交渉者に主張をぶつけ、ユースの視点を盛り込むことに成功した経験をもとに、今後のSDGsの議論においても、「世代間の格差をいかに埋めていくかという視点を、指標の中にしっかりと入れていきたい」と、意気込みを語りました。
企業からは、国連グローバル・コンパクト(UNGC)にも加盟している三井住友信託銀行の金井司・経営企画部CSR担当部長が参加。リオ+20においてUNGCが主催した「コーポレート・サステイナビリティ・フォーラム」で、2,700人を超える参加者から200ものイニシアティブが生まれた点を「大成功だった」と振り返りました。また、今後も民間企業の持っているスピード感をうまく活かしながら、主体的に課題の解決に参画したいと意欲をみせました。
議論には、第1部で講演したヤノシュ・パストールGSP事務局長もコメンテーターとして加わり、国連の視点もからめながら活発な意見交換が行われたほか、会場からも、質問用紙やTwitterを通じて数多くの質問が寄せられました。
締めくくりは、横浜市立大学4年で、Climate Youth Japan(CYJ)代表の廣瀬翔也さんによるクロージング・メッセージ。リオ+20などを通じて世界のユースと連帯する中で、貧困や紛争など困難が山積する厳しい現実の中でも、「志を持ち続けることが大事だと考えるようになった」と語りました。ユースの声を国際レベルの場で反映できるようなシステムを構築することや、SDGsをめぐる議論に「パートナーシップ」や「パーティシペーション」をキーワードとして加えることも提案。最後は「志に年齢も国籍も関係ない」と世代を超えた対話の活性化を力強く呼びかけて、2時間にわたる熱い議論は幕を閉じました。
【参考資料】
-ファクトシート 「リオ+20とその後:持続可能な未来に向かって」
(日本語訳)
Final_Rio+20_Factseet_Japanese_layout.pdf
-地球の持続可能性に関するハイレベル・パネル報告書
『強靭な人々、強靭な地球 選択に値する未来』(概観・日本語訳)
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