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武器貿易条約(ATT)に関する国連会議がスタート:よくある質問

2013年03月18日

ニューヨークの国連本部では、3月18日から28日にかけて武器貿易条約(ATT)の最終国連会議が開催されます。以下は国連軍縮部(UNODA)のまとめたATTに関して“よくある質問”の日本語訳です。なおファクトシートは、当センターのプレスリリース13-008-Jをご覧下さい。

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Q:武器貿易条約(ATT)プロセスとは何ですか?

武器貿易条約(ATT: Arms Trade Treaty)プロセスは、1990年代に、市民社会の有志とノーベル平和賞受賞者が、野放し状態にある世界武器貿易とそれが人間の安全保障に及ぼす影響に対する懸念を表明したことを契機として始まりました。その後、多くの国がこの問題に対する関心を高め、国連の枠組み内で正式な制定プロセスを開始しました。

2006年、国連総会は、各国に対して、ATTの構想に関する見解を提出するように要請しました。100カ国以上がこの要請に応じ、提出された見解は国連事務総長の2007年報告書にまとめられました。2008年に、政府専門家グループ(GGE)が、通常兵器の輸入、輸出、および移転に関する共通の国際基準を定める、法的拘束力を備えた包括的な文書の実現可能性(feasibility)、適用範囲(scope)、および構成要素案(draft parameters)を調査しました。2009年には、すべての国連加盟国が参加できる開放型作業部会(OEWG)が、ATTに関する会合を2回開催しました。

2009年末に、総会は、「通常兵器の移転に関する可能な限り高い共通国際基準に基づいた法的拘束力のある文書を起草するため」に、武器貿易条約に関する会議を2012年に開催することを決議しました。この会議に先立って、4回の準備委員会(PrepCom)が開かれました。詳細については、http://www.un.org/disarmament/ATT をご覧下さい。

Q:2012年7月の武器貿易条約に関する国連会議はどのような結果になりましたか?

武器貿易条約に関する国連会議が、2012年7月2日~27日に、ニューヨークの国連本部で開催されました。4週間に及ぶ複雑な緊迫した交渉の後、会議は、条約の文言に関する合意なしに、その作業を終えることを決定しました。7月27日に成果文書を生み出せなかったことは、多数の国連加盟国の強い願いを挫くものであり、またほぼ10年にわたって弛まずにATTの採択を提唱してきた市民社会の様々な部門に対しても打撃となりました。それでも、加盟国は、合意に達する寸前までこぎつけたのであり、近い将来に新たな交渉に取り組んでいくことで、これまでの協議結果を踏まえてさらに前進することを誓いました。

Q:武器貿易条約に関する最終国連会議とは何ですか?

武器貿易条約に関する最終国連会議が2013年3月18日~28日にニューヨーク国連本部で開催される予定です。この会議は、2012年7月の協議結果に基づいて実施されます。この会議が「最終」と名付けられているのは、ATTプロセスを完結させ、合意に到達し、バランスのとれた堅実かつ効果的な武器貿易条約を生み出そうという圧倒的な意思を表明するためです。

Q:交渉には誰が参加するのですか?

193の国連加盟国すべてが最終会議に参加することが期待されています。代表団は、外交官と様々な政府部門の各国現地専門家から構成されるのが慣例となっています。代表団は、自国の国家元首、行政府の長、または外務大臣(またはそれに相当する大臣)によって発行された、公式の信任状を提示しなければなりません。

最終会議は、国連事務局の職員によって運営されます。認定を受けた非政府組織(NGO)、公益団体、軍需産業界の代表、報道陣および研究者、国連オブザーバーの地位を有する機関、およびその他の政府間組織が、最終会議に出席する予定であり、加盟国によって決定される割り当て時間枠の中で、会議で演説することが許可される見込みです。

Q:なぜATTが必要なのですか?

通常兵器の世界貿易は合法的なビジネスです。しかし、今では、多くの人が、他の物品の世界貿易と同様に、通常兵器の貿易も共通の国際ルールと規制に則るべきであると感じています。

ほとんどの国は、武器の輸出入に関する国家統制を行っています。しかし、共通の国際基準が欠如しているために、悪徳な武器商人が規制の不備や抜け穴につけ込むことが容易になっています。

Q:ATTは各国の銃の所持権を侵害しますか?

いいえ。銃の所持に関する国家規制を決定および監督することはあらゆる国の主権です。ATT会議は、この問題に関する管轄権を有しません。

Q:ATTが締結された後、ATTによって実際にどのような相違が生じますか?

ATTは、最終的な条約に調印して批准する加盟国を拘束します。その後、条約の中で合意された手順(モダリティ)の実施がそれらの加盟国に委ねられます。理想的には、ATTは、世界的な武器貿易の公平・均等な条件を生み出すことによって、武器貿易の説明責任、開放性、透明性を向上させるでしょう。もし、ATTが誠実に履行されるなら、人権侵害者、犯罪者、武器密輸人は、武器を入手することが困難になるでしょう。なぜなら、販売側の国は、輸入者の資格証明書を世界的に合意された客観的な規範に照らして評価することになるからです。

Q:ATTはすでに流通している武器をどのように取り扱うのですか?

ATTは、国境を越える武器貿易のみに取り組むものであり、現在の軍備保有や民間人の銃器所持を対象としていません。

Q:ATTは、軍需産業の廃絶を目指すのですか?

いいえ。ATTは、いかなるカテゴリーの兵器の製造を禁止することも、軍需産業に害を及ぼすことも意図していません。ATTは、現在、多くの武器製造業者によって支持されています。なぜなら、ATTは、全関係者にとって共通の基準によって、より多くの公平・均等な条件を生み出すからです。

Q:ATTは、国連の平和維持活動に悪影響を及ぼしますか?

いいえ。ATTは、平和維持活動と軍事の専門家から幅広い支持を受けています。ATTは、紛争状況や紛争後の状況における平和の維持に貢献している人々に対して、平和維持活動の現場の安全性を著しく高めることができます。

武器貿易条約に関する国連会議ウェブサイト
http://www.un.org/disarmament/ATT

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国連軍縮部(UNODA)
http://www.un.org/disarmament