国連、「世界ユース白書」を発表 全世界の若者からの意見が白書の中核をなす初の試み
2012年02月07日
世界の若者は雇用の先行きに懸念を示し、より多くの投資を要求
ニューヨーク、2012年2月6日 — 世界中の若者は雇用機会の不足を深く憂慮し、この分野での投資増加を求めている。国連がきょう発表した最新の『世界ユース白書(World Youth Report)』はこのように述べています。
経済危機を受け、世界の若年失業率は2009年、史上最悪の上昇を示し、若年失業者はおよそ7,580万人に達しました。
「世界は今、これまでで最大の若年世代人口を抱えています」と潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は語っています。「若者たちは自分たちの権利と、政治経済問題に対する自らの発言力が増すことを求めています。国連は、これまで以上に国連システムを一つにまとめ、雇用を伴う経済成長という新たな社会契約を支援する必要があります。まず若者の支援から始めようではありませんか」
大規模なオンライン・コンサルテーションを通じて得た全世界の若者からの意見が白書の中核をなすのは、これが初めてのことです。今年の白書には「若年雇用:激動の時代にディーセント・ワークを求める若者の視点」という副題が付いています。国連経済社会局(UNDESA)が発行する同白書では、労働市場における若者の現状や、若者の雇用動向も取り上げられています。
若者と若者を中心とする組織の代表に対しては、デジタル・メディアやソーシャル・メディアを通じて、就職に向けた準備やいかに職場で生き生きと働くかについての意見や経験談、そしてアドバイスを分かち合うよう呼びかけが行われました。4週間のコンサルテーションで、全世界の若者からは合わせて約1,100件の投稿(写真やビデオを含む)が寄せられました。
白書は、教育の質や妥当性に不安を感じる若者の姿を浮き彫りにしています。例えば、セネガル出身のアマドゥさん(24歳)は次のように語っています。「私たちの世代の教育水準が最も高いことを考えれば、今もっと簡単に仕事が見つかってもよいはずですが、受ける訓練と労働市場のニーズがうまくかみ合っていません」。その他の不安材料としては、不安定な雇用や移住労働、晩婚化、都市部と農村部の格差、さらには年齢、ジェンダー、人種による差別が挙げられています。
しかし、グリーン・ジョブや最新テクノロジー、起業によって生まれる機会は、若者に希望を与えており、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を得るためには、積極的に動き、前向きな姿勢を貫くことが必要だと強調する向きもありました。例えば、スペイン出身のレオさん(28歳)は「私たちには斬新さ、リスクをいとわぬ姿勢、創造性、そして探求心が必要」という意見を述べています。
このプロセスに参加した若者たちは、国連ユース・チャンピオンのモニーク・コールマンさんや、米国務長官特別顧問として世界のユース問題を担当するローナン・ファローさんとオンラインでやり取りし、その経験と助言を聞く機会も得ました。
世界ユース白書の全文(英語)は www.unworldyouthreport.org でご覧になれます。また、同サイトでは初の試みとして、読者に交流やコメントの投稿を呼びかけています。
関連プレスリリース
・「世界ユース白書」 要旨
・「世界ユース白書」 ファクトシート
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