「世界ユース白書」 ファクトシート: 数字と若者の声で浮かび上がる世界のユースの今
2012年02月07日
若年雇用:激動の時代にディーセント・ワークを求める若者の視点
キーファクトおよび白書作成に協力した全世界の若者の声から
◆若年雇用:比率と影響
・世界の若年失業率は、これまでもずっと他の年齢層の失業率を上回ってきましたが、2009年には史上最悪の上昇を記録しました。ピーク時には7,580万人の若者が失業状態となりました。
・2010年の世界若年失業率は12.6%と、世界の成人失業率4.8%を大きく上回っています。
・現在、若年労働者1億5,200万人が貧困ライン(1日1ドル25セント)以下で暮らしていますが、これはワーキング・プア全体の24%にあたります。
就職できる若者は「きわめて低い給料」に甘んじなければなりません。「一部の雇用主は、若者を搾取する機会としてこれを利用しています」
パルトさん(24歳、インド)
「いら立ちながらも、希望を捨てない若者が主導したエジプトでの革命は、長年にわたる失業問題の放置、腐敗、人権侵害が触発したものです。私たちは、よいガバナンス・システムに恵まれれば、エジプトが投資と雇用を誘致できるという期待を胸に、抵抗を始めました…。治安と経済的、社会的エンパワーメントとの間には強い結びつきがあります。若い世代はこの密接な関連性を理解し、その両方を確保しようと闘っているのです」
エマッドさん(28歳、エジプト)
若者がその雇用状況から、結婚と妊娠を遅らせ、家族の人数を調整し、介護の責任の増大に対応していることを示す証拠があります。家族を連れて実家に戻ったり、家を共有して支出を抑えたりする若者もいます。
失業率が高いため「家族を養える収入が得られないという理由から、結婚をあきらめる人も増えています」
ルブナさん(23歳、モロッコ)
◆ジェンダー格差
2010年の若年完全失業率は中東で25.5%、北アフリカで23.8%となっています。これら地域での若年女性失業率はさらに高く、中東で39.4%、北アフリカでも34.1%に上ります。
「若い女性は機会がないだけでなく、特に低賃金、不安定な雇用、発言力の欠如を特徴とするインフォーマル部門で劣悪な労働条件に直面し、二重に悪影響を受けています」
ロディーさん(25歳、カンボジア)
世界的に見て、2010年の時点で若年男性の56.3%が労働市場に参加しているのに対し、女性の参加率は40.8%にとどまっています。世界の若年女性失業率は12.9%と、若年男性の12.5%を上回っています。欧州連合(EU)と東アジア地域の先進経済国では逆に、若年女性よりも若年男性の失業率が若干高くなっています。
「これまで、若い女性は一部の職業から締め出されていました。ところが近年は逆に優遇される傾向が強まっています。『女性応募者大歓迎』と書かれた求人票も多く見かけるようになりました」
ユスファさん(23歳、セネガル)
◆地域格差
開発途上国には、世界の若者の87%が暮らしていますが、その多くは失業し、インフォーマル経済の劣悪な条件下で働いています。貧困層の若者は、失業したままでいられないからです。
「政府は考えているだけで、なかなか行動しません…。まるで状況の改善に関心がないようです」
サンドラさん(スロベニア)
開発途上国では、教育水準が比較的高い若者の間で失業が多い傾向が見られ、高学歴者の失業が問題になっています。
「資格や認定への過度のこだわり」があるため「働き口がインフォーマルな付き合いの輪(家族や友人のコネ)に限られる傾向が見られます」
アイシャーさん(26歳、ケニア)
「最貧層をはじめとする多くの若者は、職探しに使える基礎能力を持たないまま、あまりにも早く就職してしまいます。中等教育を終えただけの学生には、労働市場の変化に適応できる能力などありません」
ロジャーさん(ガーナ)
「自分たちの知識や能力を仕事に活用できる機会がないのに、教育を受けても何になるのでしょうか」
ムリドゥラさん(16歳、インド)
◆移住労働
就職機会を求めて家族や社会的支援のネットワークを離れ、都市や外国に移住する若者が増えています。
「私たち若者は、希望を失いかけています。いつか状況が改善するだろうとか、誰かがドアを叩いて、夢に見た仕事をくれるのではないかと期待しながら、すべてを他人のせいにしようとしているのです…。でも、なぜ待っている必要があるのでしょうか。私たちには斬新さ、リスクをいとわぬ姿勢、創造性、そして探求が必要です…。その場が外国ではいけない理由などありません」
レオさん(28歳、スペイン)
◆今後の対策
「若者は概して、気候変動や社会的公正といったグローバルな問題をより強く意識しています。若者の間でグリーン経済を広めることは有望な解決策だと思います」
ミカエルさん(23歳、イタリア、世界青年エスペラント機構)
「若者に就職の訓練をするのではなく、学生に雇用創出の訓練を施すべきです」
ブウェンジェさん(ウガンダ)
「一番大切なのは、あきらめずに毎日、新しいことを学ぶことです」
ヤニラさん(29歳、メキシコ)
「私たちは状況を一変させたいと思っています。働く機会と、実力を発揮するチャンスが欲しいのです」
ナブジョット・Kさん
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