人間の安全保障のアプローチは、持続可能な開発達成の「中心」
2017年08月01日
2017年7月7日 – 国連の高官はきょう、ニューヨークの国連本部で開催されたハイレベル・イベントで、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた前進を加速するとともに、その他幅広い問題に取り組むうえで、人間の安全保障のアプローチがもたらす利点を強調しました。
アミーナ・J・モハメッド副事務総長はこのイベントで「人間の安全保障は、持続可能な開発、包摂的な平和、そしてすべての人の福祉と尊厳に欠かせないアプローチです。事実、それは2030アジェンダの中心的要素にもなっています」と発言しました。
人間の安全保障は、総会が取りまとめているとおり、各国の主体性に基づく人間中心の枠組みですが、モハメッド副事務総長によれば、この枠組みには、今日の課題の複雑性や相互関連性を認識しつつ、人々が恐怖や欠乏、侮辱のない生活を送ることを妨げる脅威に対処しようとする各国政府の取り組みを支援するねらいがあります。
副事務総長は「私たちはまさに、国連システムの専門知識と資源を政府や地域・小地域機関、さらには民間セクター、市民社会、地域社会が持つ専門知識や資源と組み合わせ、一貫性のある包括的で総合的な解決策を見出すよう求められているのです」と説明しました。
このアプローチは、国連人間の安全保障基金の支援により15年以上にわたり策定されてきたプログラムから得られた教訓に基づき、さらに密接な調整を促進しながら、人々とコミュニティーの生活改善に具体的な成果を上げるための総合的な対策を進めるものとなっています。
モハメッド副事務総長によると、国連では事務総長が、よりまとまりのある、はるかに効率的な国連システムという自らのビジョンを実現するため、管理、開発、平和と安全に関する体制を含め、一連の再検討プロセスと改革に着手しています。
副事務総長は「予防は、その根底をなす前提であり、目標でもあります。人間の安全保障は、これらのプロセスに不可欠な要素です」と指摘しています。
また、副事務総長は「人間の安全保障は現状の、そして新たに生じつつあるリスクや脆弱性を検討することにより、予防に向けた効果的な手段となります」と付け加えました。人間の安全保障のアプローチは、人道支援とさらに長期的な開発援助とのギャップを埋める取り組みの指針としての役割も果たすことができます。
副事務総長はさらに、国連人間の安全保障基金が支援するプログラムが「資源をプールし、強力なパートナーシップを確立し、現地での整合性を改善するための触媒となる力」を実証していると述べました。
副事務総長は「予防を進めるとともに、人々が持続可能な未来に対する確信を深めながら、平和と幸せの中で共存できる能力を高める包摂的な解決策を推進するため、力を合わせようではありませんか」と呼びかけました。
ピーター・トムソン総会議長はイベントの開会にあたり、「人間の安全保障は、SDGsの達成を目指し、私たちが取っている行動を支援する集中的、分析的視点と、プログラム策定の枠組みを提供してくれます」と述べました。
議長はさらに、人間を直接重視する「人間の安全保障という理念は、人類が繁栄できる社会的、経済的、環境的条件を整備することを最終的な目標とするアジェンダとして、SDGsを捉えるもの」であると付け加えました。
きょうのイベントは、国連人間の安全保障ユニットが日本政府、人間の安全保障ネットワーク(オーストリア、チリ、コスタリカ、ギリシャ、アイルランド、ヨルダン、マリ、ノルウェー、パナマ、スロベニア、スイス、タイおよびオブザーバーである南アフリカ)とのパートナーシップにより開催したものです。
同じくイベントで発言した高須幸雄・人間の安全保障担当事務総長特別顧問は、人間の不安定さの根本的原因は、相互に連関し、かつ多面的であることが多く、これを突き止め、対処することが欠かせないと述べました。
「単純明快な解決策はありません。人間の安全保障というアプローチを通じ、私たちは根深い人間の不安定さに取り組み、SDGsを効果的に達成することができるでしょう」特別顧問はこのように語っています。
「私たちはまず、公平な前進から取り残されたり、置き去りにされる危険性が最も高かったりする人は誰かを明らかにし…、必要な対策を講じなければなりません」
高須特別顧問は、SDGsの達成には総合的なアプローチの採用が必要であり、どの政府も、主体も、国際機関もこれを単独では達成できないという点については、コンセンサスができ上がっていると付け加えました。
「私たちは各国、地域、そしてグローバルのレベルで、マルチステークホルダー型の協力枠組みを強化しなければなりません。すべてのステークホルダーや市民社会、民間セクターによるパートナーシップは、成功に必要不可欠な要素です」
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