本文へスキップします。

  • プリント

ここから本文です。

激動の世界で、移住をより安全にするための国際協力を国連が要請

2017年12月29日

ヨルダンのアンマンで、手続きセンターに向かうバスに乗り込む移民たち©IOM/Muse Mohammed (file)

20171218 – 国連は「国際移住者デー」にあたり、移住管理に関する協力で、その利益ができるだけ広く行き届き、すべての関係者の人権が適切に守られるようにすることを訴えています。これは「持続可能な開発に関する2030アジェンダ」でも認識されています。

アントニオ・グテーレス事務総長は12月18日の国際移住者デーに寄せるメッセージで、「圧倒的な証拠が示すとおり、移民は各地の社会に経済的、社会的、文化的利益を生んでいます」と述べています。

「しかし、残念なことに、移民に対する敵意は世界中で高まっています。移民との連帯がこれほど急務となったことはありません」事務総長はこのように付け加えました。

グテーレス事務総長によれば、気候変動や情勢不安、不平等の拡大は「(移住が)今後もなくならない」ことを意味します。

こうしたことから事務総長は、移住の管理に関する効果的な国際協力で、その利益ができるだけ広く行き届き、すべての関係者の人権が適切に守られるようにすることを求めています。これは国連の2030アジェンダでも認識されているとおりです。

一方、国際移住機関IOM)のウィリアム・レイシー・スウィング事務局長は、2017年国際移住者デーのテーマとして、激動の世界における安全な移住を緊急に求めました。

事務局長は寄稿の中で、「特権階級のエリートが、世界規模の移動性を事実上、生まれながらの権利と考えているこの時代に、絶望的な経済または紛争状況の中で身動きの取れなくなっているその他数限りない人々は、同じ権利を否定されています」と強調しています。

スウィング事務局長は、移住を解決すべき問題ではなく、管理すべき人間の現実であるとしたうえで、国連加盟国による交渉が妥結すれば、2018年末までに採択される予定の移住のためのグローバル・コンパクトがもたらす利益を強調しました。

「世界人口の44%にあたる人々を乗せた年間3,450万便の旅客機が安全に離陸、着陸できるよう、厳しいルールが義務づけられていることを考えれば、これをはるかに上回る数の人々が自由かつ安全に渡航、移住し、帰国できるような共通のルールを見つけることも可能なはずです。」事務局長はこのように力説しています。

スウィング事務局長はまた、移民を援助する必要性も強調し、「私たちが解決策を見つけられなければ、密航仲介者が私たちの代わりをすることになります。仮にそうなれば、人命にも、私たちの社会機構にも、甚大な被害が生じることでしょう」と述べました。

他方、国連教育科学文化機関(UNESCO)のオドレー・アズレー事務局長はそのメッセージの中で、移住を「多くの諸力によって動かされるグローバルな現象」と形容し、「UNESCOは持続可能な開発のための2030アジェンダの移住に関する公約の実現に取り組んでいる」と述べました。また、UNESCOが国連のパートナーと連携し、安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクトの策定を図っていると付け加えました。

これと並行して、国連の人権専門家たちは次のように述べています。「各国は、プラスの側面を取り上げ、これを促進するとともに、移民の社会に対する貢献などに関する事実や研究結果を示すことによって、世論の移民に対する好意的な見方を醸成するうえで大きな役割を果たすことができます」

「移住はそれ自体、人間の存在にとって自然な要素です。犯罪でもなければ問題でもありません。このようなアプローチで移住のガバナンスを行えば、その重点は国境を閉ざして移民を入れないことから、アクセス可能で正規、安全かつ手ごろな費用の移住経路を設け、多様性を促進し歓迎することへと移っていくでしょう」専門家たちは、このように語っています。

移民の増大続く

同時に、国連経済社会局(DESA)は現在、出生国以外の国で暮らす移民が推計で2億5,800万人と、対2000年で49%の増大を遂げていることを示す新たな報告書を発表しました。

劉振民(リュウ・ジェンミン)DESA担当事務次長は「信頼できるデータと証拠は、移住に関する間違った認識に対処するだけでなく、移住政策の参考とするうえでも欠かせません」と所見を述べています。

隔年刊の『国際移住報告2017(概要)』によると、世界人口に国際移民が占める割合は3.4%と、2000年の2.8%から若干の上昇を示しています。対照的に、高所得国の居住者全体に占める移民の割合は、2000年の9.6%から2017年の14%へと急増しています。

劉事務次長は「全世界の国際移民の数に関するこの新たな推計は、加盟国が安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクトに関する話し合いを始める中で、重要な基準値となることでしょう」と強調しました。

* *** *

原文(English)はこちらをご覧ください。