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第64回国連総会、2009年9月15日に開会

プレスリリース 09-041-J 2009年09月15日

第64回国連総会は9月15日、ニューヨークの国連本部で開会します。各国首脳や閣僚による演説が通例となっている年次一般討論は、2009年9月23日(水)から9月30日(水)にかけて行われます。

2010年9月中旬までを会期とする第64回総会では、いくつか重要な行事が予定されています。2009年9月22日には、事務総長が気候変動に関する世界サミットを招集します。これに続いて、9月24日には国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)設立60周年に際し、その活動を記念するハイレベル・イベントが行われます。

国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)は2009年12月7日から18日にかけデンマークのコペンハーゲンで、核兵器不拡散条約締約国再検討会議は2010年5月にニューヨークで、それぞれ開催予定です。

その他の重要課題として、総会は下記の事項にも取り組みます。

l第65回総会の冒頭で開催予定の2010年ハイレベル本会議に向けた準備を含むミレニアム開発目標(MDGs)
l世界金融・経済危機とその開発への影響
l気候変動
l軍縮
l安全保障理事会改革と総会の再活性化を含む国連改革
l平和構築委員会と人権理事会の見直し

総会はまた、国連システム全体の一貫性や持続可能な開発、HIV/エイズに関連する問題についても、検討を続ける予定です。

総会の機能と権限:多国間交渉の場
総会は1945年、国連憲章により設立され、国連の主要な議決、政策立案、代表機関として、中心的な位置を占めています。全192の国連加盟国で構成される総会は引き続き、国際問題の全ての側面に関する独特な多国間討議の場として、憲章の目的や原則を推進するうえで主導的な役割を果たしています。また、基準設定プロセスや国際法の法典化においても、顕著な役割を演じます。総会は9月から12月までの通常会期に集中討議を行うほか、その後も必要に応じて会合を開きます。

総会が採択するマンデート(決議と決定)は、加盟国、国連事務局および国連システム全体で実施に移します。総会は市民社会メンバーとの密接なパートナーシップにより、その責任を全うしますが、これら市民団体の多くは国連と連携関係にあり、総会の重要会合にしばしば参加します。総会はメディアとも密接に連携し、世界的関心の高い重要課題に関する啓発と、これに対する国際的な支持を集めます。

国連憲章によれば、総会は下記を行うことができます。

l軍縮を含め、国際の平和と安全を守るための協力の一般原則について検討し、勧告を出す。
l国際の平和と安全に関連するあらゆる問題を議論するとともに、安全保障理事会が審議中の紛争または情勢を除き、これに関する勧告を出す。
l上記と同じ例外に服しつつ、国連憲章の対象範囲内に入るか、何らかの国連機関の権限と機能に影響するあらゆる問題を議論し、これに関する勧告を出す。
l国際的な政治協力、国際法の発展と法典化、人権と基本的自由の実現、ならびに、経済、社会、人道、文化、教育および保健分野での国際的協働を促進するための調査を実施し、勧告を出す。
l国家間の友好関係を損ないかねない事態が発生した場合、その平和的解決のための勧告を出す。
l安全保障理事会その他の国連機関から報告を受け、これを検討する。
l国連予算を検討、承認するとともに、加盟国の分担金を確定する。
l国連のその他主要機関のメンバー、すなわち安全保障理事会の非常任理事国、経済社会理事会の理事国、および、国際司法裁判所の判事を選出するとともに、安全保障理事会の勧告に基づき、事務総長を任命する。総会はまた、その補助機関、ならびに、国連の機関、基金および計画の管理理事会のメンバーも選任します。

1950年11月3日の「平和のための結集」決議(決議377 (V) )により、国連総会は、平和に対する脅威、平和破壊または侵略行為があると見られる場合で、常任理事国の拒否権行使により安全保障理事会が行動できないとき、これに代わって行動を起こすこともできます。総会は、国際の平和と安全を維持または回復するための集団的措置を加盟国に勧告することを目的として、該当する問題を直ちに検討できます(下記の「特別総会と緊急特別総会」の項を参照)。

総会の権限は、その検討対象内の国際問題に関し、各国に拘束力のない勧告を行うことに限られるとはいえ、全世界数百万人の生活に影響する政治的、経済的、人道的、社会的および法的行動を起こした例もあります。2000年に採択された画期的な「ミレニアム宣言」と、2005年の「世界サミット最終文書」は、平和と安全、軍縮とともに、開発と貧困撲滅も実現するための具体的目標を達成し、人権の擁護と法の支配促進を図り、私たちに共通の環境を守り、アフリカの特別なニーズを充足し、国連を強化するという加盟国の公約を反映するものです。総会は最近、気候変動や世界金融・経済危機など、緊急かつ重大な側面を有する新たなグローバル課題に取り組む行動方針を集団的に決定しました。

コンセンサスの模索
各加盟国にはそれぞれ、総会で1票を投じる権利があります。平和と安全に関する勧告や 安全保障理事会理事国の選出など、あらかじめ指定された重要問題に関する表決には、加盟国の3分の2の賛成が必要になりますが、他の問題に関する決定は単純多数決で下されます。

近年は、正式な表決を行う代わりに、諸問題に関するコンセンサスを作り上げることで、総会決定に対する支持を強化しようとする取り組みが特に増えてきました。議長は、各国代表団と協議し、同意を取り付けた上で、決議を表決なしで採択することを提案できます。

国連ミレニアム宣言と2005年世界サミットのフォローアップ
「ミレニアム宣言」(2000年)はとりわけ、2015年を「ミレニアム開発目標(MDGs)」の達成期限と定めています。「2005年世界サミット最終文書」は、MDGsをすべて期限どおりに達成すべく努めるという加盟国の決意を新たに表明しました。事務総長は2008年9月、加盟国が2010年に首脳レベルで会合を開き、MDGs達成に向けた進展状況を審査するよう勧告しました。総会は2009年7月9日の決議63/302により、各国首脳の参加を得て、2010年の第65回総会の冒頭にハイレベル本会議を招集することを決定しました。また、第64回総会に対し、2010年ハイレベル本会議の範囲、手順、形式および組織について協議することを委託しました。

総会は平和構築委員会と人権理事会をはじめ、「2005年世界サミット最終文書」により創設された補助機関の作業の見直しを続けています。また、対テロ戦略の実施、システム全体の一貫性確保に向けた一層の取り組みのほか、人身取引、人間の安全保障、「保護の責任」、グローバルな保健、食料と水の安全保障、環境対策のための制度的枠組みなどの課題、さらには国連の管理体制と事務局の改革も、引き続き総会で検討される予定です。

総会活動の再活性化
過去数年間にわたり、総会の活動の焦点を先鋭化し、その妥当性を高めようとする持続的な取り組みが行われています。この問題は第58回総会で重要優先課題となり、その後は検討項目の整理統合、主要委員会の慣行と作業方法の改善、総務委員会の役割の拡充、議長の役割と権限の強化、事務総長選出プロセスにおける総会の役割の検討に向けた取り組みが続けられました。

第60回総会は2006年9月8日の決議60/286付属書で、国際社会にとって極めて重要な目下の課題に関し、対話型の非公式協議の開催を促す文言などを採択しました。「総会再活性化に関するアドホック作業部会(Ad Hoc Working Group on the Revitalization of the General Assembly)」の勧告にもあったこの文言は、総会議長に対し、これら非公式協議のテーマを提案するよう働きかけています。第63回総会では、世界金融危機、人災または天災により生じた緊急・危機直後・移行状態における教育へのアクセス、世界金融・経済危機とその開発への影響、世界食糧危機と食料を得る権利、人身取引を止めるための集団行動の実施、エネルギー効率・省エネと新たな再生可能エネルギー源、および、保護の責任に関する7回のテーマ別対話型非公式協議が行われました。

総会の非公式協議で、事務総長が最近の活動と各地訪問に関し、加盟国に定期的ブリーフィングを行うという慣行も、第61回総会で確立されました。こうしたブリーフィングは、事務総長と加盟国との交流の機会として歓迎されており、第64回総会でも続けられるものと見られます。

総会議長、副議長と主要委員会委員長の選出
総会活動の継続的再活性化の結果、総会はその手続き規則第30条により、主要委員会間、および、主要委員会と本会議との間で作業の調整と準備を強化するため、新会期開幕の3カ月前までに、総会議長と副議長、および、主要委員会の委員長を選出することになっています。

総務委員会
総会議長と21人の副議長、および、6つの主要委員会の委員長から構成される総務委員会は、議題の採択、検討項目の配分および作業の組織に関し、総会に勧告を行います(議題について詳しくはhttp://www.un.org/Depts/dhl/resguide/gasess.htm#gaagenをご覧ください)。

最近数回の総会では、総会が検討中であるか、総会の作業に関連する具体的な問題について、全加盟国が参加できる非公式会合やブリーフィングが開かれ、総務委員会の役割がさらに拡大しています。

資格審査委員会
総会が会期ごとに任命する資格審査委員会は、各国代表の資格に関し、総会に報告を行います。

一般討論
第64回総会の一般討論は、2009年2月20日の総会決定63/553により、2009年9月23日(水)から9月30日(水)にかけて行われます。一般討論の全体的テーマは、2003年12月19日の総会決議58/126による第64回総会議長の提案にしたがい、「世界危機への効果的対応:国際の平和、安全、開発のための多国間主義と文明間対話の強化」となる予定です。事務総長は一般討論の直前、国連の活動に関する報告書を提出することになっていますが、この慣行は第52回総会から続いています。

6つの主要委員会
一般討論が終わると、総会は議題に上っている具体的項目の検討に取りかかります。検討が求められる問題は膨大な数に及ぶため(例えば第63回総会の検討項目は150以上)、総会はその6つの主要委員会に、それぞれが担当する項目を割り振ります。主要委員会は可能な場合、各国のアプローチの調和を図りつつ、検討項目を審議した上で、通常は決議案や決定案の形で、総会本会議に勧告を提示し、その検討を仰ぎます。

主要委員会とは、軍縮と関連の国際安全保障問題を取り扱う「軍縮と国際安全保障委員会(第1委員会)」、非植民地化の問題を含め、その他の委員会も本会議も検討対象としない各種政治問題を取り扱う「特別政治問題と非植民地化委員会(第4委員会)」、経済問題を取り扱う「経済と金融委員会(第2委員会)」、社会・人道問題を取り扱う「社会、人道と文化委員会(第3委員会)」、国連の事務処理と予算を取り扱う「行政と予算委員会(第5委員会)」、国際法問題を取り扱う「法律委員会(第6委員会)」の6つです。

しかし、パレスチナ問題や中東情勢など、総会が直接、本会議で取り上げる検討項目も多くあります。国際法と国連決議に基づくイスラエル・パレスチナ紛争およびアラブ・イスラエル紛争全般の公正、恒久的、包括的かつ平和的解決の緊急性とそのパラメータに関し、国際的なコンセンサスが固まってきたことから、総会によるこれら項目の検討は加盟国から幅広い関心を呼び、関連の国際的、地域的取り組みの本格化に向けた活発かつ建設的な討議につながるものと見られます。

総会の作業部会
総会はこれまで、「総会再活性化に関するアドホック作業部会」や「安全保障理事会の公平な構成およびその理事国数増大の問題、ならびに、安全保障理事会関連のその他事項に関する開放型作業部会(Open-ended Working Group on the Question of Equitable Representation on and Increase in the Membership of the Security Council and Other Matters Related to the Security Council)」など、重要事項をより詳しく検討した上で、総会に勧告を出す作業部会の設置を承認してきました。第64回総会会期中には、新たに設置された開放型総会作業部会が「2009年6月の世界金融・経済危機とその開発への影響に関する会議最終文書」に盛り込まれた課題について、フォローアップを続け、その作業の進展状況を会期末までに総会に報告することになっています。

地域グループ
総会では古くから、協議の場として、また、手続き的作業を促進するために、さまざまな非公式の地域グループが形成されてきました。具体的なグループ分けは、アフリカ諸国、アジア諸国、東欧諸国、ラテンアメリカ・カリブ諸国および西欧その他諸国の5つとなっています。総会議長のポストは、各地域グループが持ち回りで務めます。第64回総会議長はアフリカ諸国グループから選出されました。

特別総会と緊急特別総会
通常総会に加えて、特別総会や緊急総会が開かれることもあります。

これまで28回にわたって開かれた特別総会では、パレスチナ問題、国連財政、ナミビア、軍縮、国際経済協力、アパルトヘイト、薬物、環境、人口、女性、社会開発、人間居住、HIV/エイズ、ナチス強制収容所の解放60周年記念など、特に注意を要する問題が話し合われてきました。

これまで10回にわたって開かれた緊急特別総会では、安全保障理事会での交渉の行き詰まりを受け、ハンガリー(1956年)、スエズ(1956年)、中東(1958年および1967年)、コンゴ(1960年)、アフガニスタン(1980年)、パレスチナ(1980年および1982年)、ナミビア(1981年)、アラブ被占領地区(1982年)、東エルサレムその他のパレスチナ被占領地区におけるイスラエルの違法行為(1997年、1998年、1999年、2000年、2001年、2002年、2003年、2004年、2006年および2009年)の各情勢が取り上げられました。また、総会は2009年1月16日、第10回緊急特別総会を休会するとともに、加盟国からの要請に応じてこれを再開する権限を総会議長に与えることも決定しています。