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水の国際行動の10年 – 2018-2028 世界的な水危機を回避するために

プレスリリース 18-014-J 2018年03月21日

現時点の推計によると、2030年までに、淡水資源の不足は必要量の40%に達すると見られる一方で、世界人口が急増を続ける中、世界はグローバルな水危機への道を一直線に進んでいます。課題がますます大きくなりつつあることを認識した国連総会は、2018年3月22日から「水の国際行動の10年(Water Action Decade)」(正式名称は国際行動の10年「持続可能な開発のための水」/International Decade for Action “Water for Sustainable Development”)をスタートさせ、私たちの水管理方法の転換を支援する行動を促すことになりました。

人口の増大や気候変動の激化、ずさんな水供給管理、汚染といった要因はいずれも、水不足と水ストレスの悪化を助長しています。現時点で20億人以上が、安全でない水を飲むことを余儀なくされています。45億人は安全に管理された衛生サービスを受けられず、予防可能な水と衛生関連の下痢症で命を落とす子どもは1日1,000人近くに上ります。女性と女児は、水と衛生の不足によって不当に大きな影響を受けることによって、健康を害され、就業や就学の機会も制限されてしまいます。洪水や干ばつは、全世界で甚大な社会的、経済的被害を及ぼす一方、気候変動によって異常気象がさらに悪化しています。

水は、豊かさを高めるとともに、貧困に終止符を打ったり、福祉を改善したり、環境を保護したり、不平等による格差を埋めたりするなどして、持続可能な開発に欠かせない役割を果たします。水質と水量は、健康や食料の安定確保、エネルギーの持続可能性、都市、雇用、生態系に影響を及ぼします。

水の国際行動の10年は、2015年に100人を超える世界のリーダーがニューヨーク国連本部に結集し、全会一致で採択した「2030アジェンダ」とその17の「持続可能な開発目標(SDGs)」を指針としています。水と衛生に関するSDGsの目標6は、2030年までに水と衛生の利用可能性と持続可能な管理をすべての人に確保することをねらいとしています。この目標を達成できれは、他のすべてのSDGsの達成にも影響を与えることになるでしょう。例えば、きれいな水がなければ、目標3にある健康は達成できません。また、水不足は就学や教育、または衛生施設へのアクセス欠如に影響するおそれがあります(目標4)。さらに、水問題は農業や食料生産にも影響を及ぼしかねません。

総会決議71/222によると、水の国際行動の10年は、水資源の持続可能な開発と統合的管理、関連のプログラムやプロジェクトの実施と推進、および、国際的に合意された水関連の目標とターゲットの達成に資するための協力とパートナーシップの水準向上にさらに注力すべきものとされています。国連水関連機関調整委員会(UN-Water)は、水と下水・衛生施設に関連するSDGsの達成に必要な年間資本投資額が、現状の投資水準の3倍に上ると試算しています。知識の共有や能力育成、技術移転も、水関連問題にまつわる効果的パートナーシップの醸成に欠かせないものと見られています。

「世界水の日」にスタートする水の国際行動の10年は、水問題への取り組みに向けた国際社会の決意を新たにし、その関心を迫り来る危機に向けさせることをねらいとしています。今後の10年間には、世界的、地域的、国内的レベルでプログラムやイベント、プロジェクトを収斂させて行動を結集し、水の重要性に対する認識を高めるとともに、水関連の課題をグローバルな開発アジェンダの前面に据えることに焦点が置かれます。国連と世界銀行が招集した11カ国の首脳と特別顧問からなる「水に関するハイレベル・パネル」の報告書も3月22日に発表され、水資源をいかに理解、評価し、効果的に管理すべきかを示す提言も出される予定です。

第3次水の10年

水の国際行動の10年は、水と水関連問題に関する国際的コミットメントを実現するための取り組みの促進を目的とし、2015年に終了した国際行動の10年「命のための水」に続くものです。

第1次水の10年となった1981年から1990年の「国際飲料水の10年」では、1990年までにすべての人がきれいな飲料水と衛生施設にアクセスできるよう支援することを目指しました。

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