国連サミット、1,600万人以上の女性と子どもの命を救うためのキャンペーンに着手
プレスリリース 10-068-J 2010年10月03日
「女性と子どもの健康の実現に向けたグローバル戦略」に400億ドルを越える資金
「あらゆる女性と子どもが違いを実感できる21世紀を」と事務総長
国連、ニューヨーク(2010年9月22日)– ミレニアム開発目標(MDGs)に関する世界サミットの閉幕にあたり、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長と各国首脳は民間企業、財団、国際機関、市民社会および研究機関とともに、全世界で1,600万人以上の女性と子どもの命を救うための協調的取り組みをスタートさせました。「女性と子どもの健康の実現に向けたグローバル戦略」発足を発表する国連の特別行事で、関係者は女性と子どもの健康増進に向け、400億ドルを越える資金の拠出を約束しました。
「私たちは、女性と子どもの命を救うために何をすればよいかを知っています。また、女性と子どもがすべてのMDGsにとってきわめて重要であることも知っています」潘基文・国連事務総長はこのように語りました。「私たちはきょう、長いこと必要とされてきたリーダーシップが発揮される姿を目の当たりにしています」
女性と子どもの健康への投資は、単に正しい行いであるだけでなく、安定した平和的な生産的社会の構築にも欠かせません。この投資は貧困を減らし、経済成長を刺激するだけでなく、費用対効果が高く、女性と子どもの基本的人権の実現にも役立ちます。
「タンザニア連合共和国政府は、ミレニアム開発目標(MDGs)4と5の達成に尽力するととともに、国連事務総長による女性と子どもの健康の実現に向けた『グローバル戦略』を全面的に支持します」と語るのは、タンザニアのミゼンゴ・ピンダ首相です。
ノルウェーのイェンス・ストルテンベルク首相も次のように述べています。「女性と子どもの健康の実現に向けた『グローバル戦略』は、真の意味でグローバルな取り組みです。これほど多くの人々が女性と子どもの命を救うために手を携えたことはありません。女性と子どもは、ミレニアム開発目標(MDGs)の中心的存在であり、その健康関連の目標を達成できれば、すべてのMDGs達成に向け、大きな弾みがつくことでしょう」
「グローバル戦略」は命を救うロードマップ
国連事務総長の主導で発足した「女性と子どもの健康の実現に向けたグローバル戦略」は、必要な金融と政策変更、および、健康を増進し、命を救うことのできる重要な施策を明らかにするロードマップです。「グローバル戦略」には、世界的な部門横断的協働に向けたアプローチも定められています。
「各国政府、多国間機関、市民社会組織、慈善団体、企業をはじめ、結集されたパートナーの幅広さという点でも、行動への呼びかけに応じた公約の重要性という点でも、米国は事務総長によるこの顕著な取り組みを祝福します」米国のヒラリー・クリントン国務長官はこのように述べています。「私たちは、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成するうえで、女性と女児に対する投資が重要であることを浮き彫りにしたという点で、女性と子どもの健康の実現に向けた「グローバル戦略」を歓迎します。私たちは事務総長、および事務総長が結集した重要なパートナーとともに、私たちの開発課題のトップに据える価値のある問題 として、母子保健に取り組んでゆけることに大きな期待をしています」
「私は、女性と子どもの健康の実現に向けたグローバル戦略を作成する際、事務総長が発揮したイニシアティブに拍手を送ります。『グローバル戦略』の発足は、女性と子どもの健康と安寧に大きな価値が認められたことを意味するからです」と語るのは、インド保健・家族福祉省のK・スジャータ・ラオ次官です。
国際機関も結集
「グローバル戦略」の成功に資するため、国連児童基金(ユニセフ)、国連人口基金(UNFPA)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、世界保健機関(WHO)および世界銀行をはじめとするいくつかの国際機関は、すべての女性と子どものケアへの普遍的アクセスに向けた闘いや、女性と女児の公正かつ公平な健康と生活の機会確保をはじめ、継続的な政治面、運営面での支援結集に向けて協働しています。この国際機関チームは、資源を特定したうえで、各国の国内保健計画で定める優先課題に基づき、これらを必要とする人々に届けることになっています。
また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団やGAVIアライアンス、世界エイズ・結核・マラリア対策基金も、幅広い保健上のニーズをカバーするサービスや取り組みを確保するため、この国際機関チームと連携しています。
「『グローバル戦略』は我々に対し、かつてないほどの賢明さや戦略性、資質を求めています」と語るのは、世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長です。「保健関連の8つの国際機関はその活動の統合により、女性と子どもの包括的なニーズを充足できるよう、全面的な能力の強化に取り組んでゆきます」
投資の大きな見返り
「グローバル戦略」の実施で、膨大な利益が得られます。
–2011年から2015年にかけ、5歳未満児1,500万人以上の死亡が防げるほか、望まれない妊娠が3,300万件、妊娠、出産に関連する合併症による女性の死亡者が74万人、それぞれ減少することになります。
–さらに、8,800万人の子どもが発育阻害から、1億2,000万人の子どもが肺炎から守られることにもなります。
女性を中心に
「女性は家庭や地域、国のために尽くしています。今度は女性のために尽くす番です。女性の健康と権利を推進することは、目下最大の社会的課題の一つです」国連人口基金(UNFPA)のトラヤ・オベイド事務局長はこのように述べました。「女性の健康を増進し、保健関連のMDGsを達成するためには、不平等に取り組み、コミュニティに働きかけ、リプロダクティブ・ヘルス・サービスを拡大する必要があります」
「グローバル戦略」は400億ドル以上の資金を得て発足
2010年4月に「女性と子どもの健康に関する一体となった取り組み(Joint Effort on Women’s and Children’s Health)」がスタートして以来、多くのパートナーが女性と子どもの健康増進に一層の貢献を行うため、意欲的な資金拠出を約束してきました。こうした拠出の約束は、利用可能なあらゆる資源をよりよく、より集中的に活用することで、保健に対する費用対効果を高めることでしょう。もちろん、保健のためにより多くの資金が投入できることも間違いありません。きょう、今後5年間に400億米ドル以上の資金を投入できる戦略が発足したことは、女性と子どもの健康のために必要な投資と、現時点での資金拠出額の格差を埋めるうえで、大きな一歩となるはずです。約束、行動、そして結果の責任をしっかりと問えるよう、資金拠出実績の測定と検証も行われることになっています。
拠出を約束した政府および機関の一覧は以下のとおり。
政府アフガニスタン、オーストラリア、バングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ、カンボジア、カナダ、中国、コンゴ、コンゴ民主共和国、エチオピア、フランス、ドイツ、ガーナ、ハイチ、インド、インドネシア、日本、ケニア、韓国、リベリア、マラウイ、マリ、モザンビーク、ネパール、オランダ、ニュージーランド、ニジェール、ナイジェリア、ノルウェー、ロシア、ルワンダ、シエラレオネ、スペイン、スイス、タンザニア、英国、米国、イエメン、ザンビア、ジンバブエ
慈善団体その他の財団BBCワールド・トラスト、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、カルロス・スリム財団、ザンビア感染症研究センター、チルドレンズ・インベストメント・ファンド財団、デイビッド・アンド・ルシール・パッカード財団、エンパワー、フォード財団、ジョン・D・アンド・キャサリン・マッカーサー財団、女性のためのグローバル基金、グローバル・チャレンジ・カナダ、メドトロニック財団、プラネット・ホイーラー財団、サルー・メソアメリカ、TYダンジュマ財団、国連財団、女性基金ネットワーク、 ウィメンズファンド国際ネットワーク
国連その他の多国間機関GAVIアライアンス、世界エイズ・結核・マラリア対策基金、世界保健機関(WHO)、国連人口基金(UNFPA)、国連児童基金(UNICEF)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)、世界銀行
市民社会および非政府組織(NGO)アムネスティ・インターナショナル、BRAC、CARE、DKTインターナショナル、ファミリー・ケア・インターナショナル、FHI、早産・死産予防のためのグローバル・アライアンス、世界保健協議会、リプロダクティブ・ヘルスのための世界指導者協議会、インターナショナル・バジェット・パートナーシップ、国際家族計画連盟、イントラヘルス・インターナショナル、国際人口サービス、リプロダクティブヘルス・サプライズ・コアリッション、セーブ・ザ・チルドレン、スーザン・G・コメン・フォー・ザ・キュア・グローバルヘルス・アライアンス、USコアリッション・フォー・チャイルド・サバイバル、安全な母性のためのホワイトリボン・アライアンス、ウィメン・デリバー、ワールド・ビジョン・インターナショナル
財界ベクトン・ディキンソン、ザ・ボディショップ、GEヘルスケア、グラクソ・スミスクライン、ジョン・スノー社、ジョンソン・エンド・ジョンソン、LG電子、メルク、ノボノルディスク、ファイザー、シングルホップ、TMAディベロップメント・トレーニング・アンド・コンサルティング、ヴィーブヘルスケア
医療従事者および専門家母子保健のための医療専門家パートナーシップ協会、国際産科婦人科連合、国際助産師連盟、国際看護師協会、国際小児科協会、英国産科・婦人科専門医会、カナダ産科・婦人科専門医会、世界麻酔専門医会連盟
学術・研究機関バルセロナISグローバル保健研究所、マイクロビサイド国際パートナーシップ、アバディーン大学、アガ・カーン大学、ヘント大学、バングラデシュ国際下痢性疾患研究センター、ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院、ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院、大阪府立母子保健総合医療センター、グローバル保健大学コンソーシアム、トロント大学、全インド医科学研究所、特別研究プログラム「人間の生殖に関する研究・調査研修」
プレスリリースと全拠出額の詳細については、 http://www.un.org/en/mdg/summit2010/ または http://www.un.org/sg/globalstrategy.shtml をご覧ください。