国連と学界の絆をさらに深める新たなイニシアティブ発足
~ 国連アカデミック・インパクト~
プレスリリース 10-095-J 2010年12月01日
2010年11月18日 – 300人を越える大学学長、大学教員および学生はきょう、国連本部に結集し、国連と学界とのパートナーシップを作り上げ、知識社会の責任という文化を育むための新たな取り組みをスタートさせました。
「国境や学問分野を越えたアイデアの共有により、私たちは多くの被害を及ぼす相互関連性の強い問題への解決策を見つけることができます」国連広報局(DPI)によるイニシアティブ「国連アカデミック・インパクト(UNAI)」の発足にあたり、潘基文(パン・ギムン)事務総長はこのように述べました。
発足式に合わせ、2日間にわたって行われる会議では、参加者が国連憲章、世界人権宣言、および、2015年をグローバルな貧困削減目標の達成期限とするミレニアム開発目標(MDGs)に基づく10原則の遵守を約束します。
また、90カ国の500を越える加盟機関はそれぞれ、これら原則を具体的に支援し、その実現に寄与する活動を少なくとも毎年1件、実施することも約束します。
事務総長は加盟機関に対する国連の期待を、相互に恩恵をもたらす関係として捉え、次のように述べました。
「私たちは皆様に知的財産の提供をお願いしているのではありません。皆様の活力、エネルギー、そしてコミットメントを求めているのです」
「皆様は教え、学び、個別研究を進めるという大きな個人的満足感を越えるものを得られます。皆様の学識が日々、苦闘を繰り広げる人々の力となれば、さらに大きな誇りにもなるはずです」
事務総長はまた、学界と知識人が過去、そして現在において国連で果たし続けてきた重要な役割について詳しく触れたうえで、今後のパートナーシップの緊密化がもたらしうるプラスの効果を指摘し、次のように述べました。
「私たちの間にきょう、正式な関係ができあがったことで、学界が及ぼす大きな影響力をさらに高めることができるようになったのです」
「一つのアイデアから、数百万人の命を救う突破口が生まれることがあります。新しい技術で、あらゆる人々の苦難を解消することもできます。たった一つの理論で、平和に向けた行動が沸き起こることもあるのです」
参加者は2日間の会議で、自分たちの活動と国連がお互いをどのように支え合えるのかに関する見解と提案を共有することになります。
第1回UNAI会議は12月15日、アストゥリアス(スペイン)のニーマイヤー・センターで開催予定です。
この会議場は、63年前に国連本部を設計した建築家チームの中でただ一人、存命中のオスカー・ニーマイヤー氏に因んで名づけられました。UNAI会議は、このブラジル人建築家の103歳の誕生日に合わせて開催されます。
「オスカー・ニーマイヤー氏は、その精巧な職人技に創意工夫と大胆さを注ぎ込みました」こう語るのは、国連広報局長を務める赤阪清隆事務次長です。「『人間が作り出した硬く、柔軟性に欠ける直線』には魅力を感じないという氏の発言は、国連アカデミック・インパクトの精神を象徴するものといえるでしょう。学術において意図と結論を結ぶ線は必ずしも直線ではなく、それ自身が解を生み出すような創造的な紆余曲折によって、さらに豊かなものとなるからです」