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海は「地球規模の緊急事態」に:事務総長、G7サミットのイベントで警告

2018年06月15日

G7会合出席のためカナダに到着し、担当者の出迎えを受けるアントニオ・グテーレス国連事務総長© G7 Canada/Xavier Dachez

201869 国連事務総長は本日、方向転換がない限り、世界の海洋に投棄されたプラスチック廃棄物の量は2050年までに、海で暮らす魚よりも多くなると述べ、世界の海はいま「地球規模の緊急事態」に直面していると明言しました。

アントニオ・グテーレス事務総長は、カナダのシャルルボワで2日間にわたって開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)の一環として開かれたアウトリーチ・イベントにおいて、「私たちの海が大変なことになっているというのは、紛れもない事実です」と語りました。

G7グループはカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国の先進経済7カ国から成っています。

事務総長は「プラスチック廃棄物は今や、地球上の最も遠く離れた地域にも流れ着いています。そして、海洋生物の命を奪うだけでなく、漁業や観光に依存するコミュニティーに大きな打撃を与えています」と加えました。

グテーレス事務総長は、太平洋にフランスよりも大きなプラスチックの塊があることを指摘し、G7プラスチック憲章の採択を歓迎しました。一部の観測筋は2015年の気候変動に関するパリ協定を引き合いに出し、海洋ゴミを除去するという点で、きょう合意されたこの憲章を、この協定に匹敵する重大な分岐点と形容しています。

グテーレス務総長は「しかし、私たち全員がさらに努力を重ねる必要があります。プラスチック廃棄物だけでなく、海洋の問題にすべて取り組まねばならないからです」と力説しました。

また、事務総長は「私たちは間違いなく、戦闘状態にあります。そして、あらゆる戦線で敗北しているのです」と強調しました。

事務総長は、漁業資源が乱獲によって枯渇しかけていたり、広大な沿岸部が汚染によって死界と化していたり、未処理の排水が海に垂れ流されていたりする様子を説明しました。

「しかも悪いことに、気候変動の影響も強まってきました」と断言しています。

海洋の酸性化は海洋食物連鎖を混乱させ、記録的な水準に達した海水温は、サンゴ礁の命を奪ったり、暴風雨の激しさと頻度を高めたりしています。

しかも、世界人口の40%は海岸線から100キロメートル以内の場所で暮らしているため、暴風雨や海水面の上昇、海岸浸食の影響を受けやすくなっています。

事務総長はまた、標高の低い島嶼国や多くの沿岸都市が、浸水の危険にさらされていることも明らかにしました。

一方でグテーレス事務総長は「ありがたいことに、私たちには戦術がある」とも述べています。

事務総長は「私たちの指針となるのは、持続可能な開発目標(SDGs)、特に目標14とその10のターゲットです。その中には、海洋汚染と酸性化への取り組みから、乱獲に終止符を打ち、生態系を保護することに至るまで、幅広い要素が盛り込まれています」と詳述しました。

さらに「私たちの法的枠組みとなるのは、世界の海洋憲法である国連海洋法条約です」と付け加えています。

グテーレス事務総長は、国連本部で昨年開催された国連海洋会議が、1,300を超えるコミットメントとパートナーシップを登録したものの、こうしたイニシアティブや宣言は「私たちが地球規模の緊急事態に直面していることを認めない限り」いずれも無意味だと指摘しました。

「私がきょう、ここにいる理由もそこにあります。つまり、警鐘を鳴らすこと、そして、皆さんの討議と意思決定に実質的な緊迫感を注入することが目的なのです」と語りました。

さらに事務総長は「陸上からもたらされる汚染に対処すること、海洋保護区を作り、漁業を再生し、沿岸の生態系とコミュニティーの強靭性を高め、そして特に気候変動に対処するという点で、皆様のリーダーシップがいま、これまでにも増して必要とされているのです」と付け加えました。

事務総長は、私たちの海洋が保護されず、気候変動との闘いに敗れれば、私たちの政策立案の基盤となってきた仮定がすべて「役に立たなくなる」と警告しました。

最後に事務総長は「地球環境に対するこうした脅威を真剣に捉え、私たち全員の未来と安全がそこにかかっていることを理解しなければなりません」と述べて発言を締めくくりました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。