国連、2019年気候行動サミット「大気浄化イニシアティブ」を発表 あらゆるレベルの政府に参加を呼びかけ(プレスリリース日本語訳)
プレスリリース 19-056-J 2019年07月31日
2019年7月23日 – 2019年気候行動サミットの開催に先立ち、国連と世界保健機関(WHO)、国連環境計画(UNEP)、気候と大気浄化のコアリション(CCAC)は本日「大気浄化イニシアティブ(Clean Air Initiative)」を発表し、あらゆるレベルの政府に参加を呼びかけました。
「大気浄化イニシアティブ」は、市民にとって安全な大気環境の実現を約束し、2030年までに気候変動対策と大気汚染対策を整合させるよう各国政府と地方自治体に求める取り組みです。
WHOによれば、大気汚染で毎年700万人が早死にしていますが、そのうち60万人は子どもです。世界銀行によると、大気汚染は厚生の損失という形で、グローバル経済に5.11兆米ドルの損害を及ぼし、温室効果ガス排出量が最も多い15カ国では、大気汚染の健康への影響で、GDPの4%を超えるコストが生じていると見られます。
しかし、気候変動に関するパリ協定を履行すれば、大気汚染の削減だけでも、2050年までに年間100万人以上の命を救い、緩和コストの約2倍に上る54.1兆米ドル相当の健康上の利益を生み出せる可能性があります。
あらゆるレベルの政府は、下記を含め、具体的な行動を約束することにより「大気浄化イニシアティブ」に参加できます。
- 「WHO環境大気質ガイドライン」の数値を達成する大気環境・気候変動政策を実施する
- 道路輸送による排出量に決定的な影響力を及ぼすことをねらいとして、eモビリティと持続可能なモビリティに関する政策と行動を実施する
- それぞれの政策実施の結果として、命を救われた人々の数、子どもやその他の脆弱な立場にあるグループの改善された健康状態、回避できた保健制度の金銭的コストを評価する
- ブリーズライフ・アクション・プラットフォームの支援による国際的ネットワークを通じ、進捗状況を追跡するとともに、経験やベストプラクティスを共有する
このイニシアティブは本日、気候行動サミット担当事務総長特使を務めるルイス・アルフォンソ・デアルバ大使が、政府やビジネス、市民社会代表との会合を経て、インドのニューデリーで発表しました。
「気候危機と大気汚染の危機は同じ要因から生じているため、これには共同行動で取り組まねばなりません。あらゆるレベルの政府には、気候危機に取り組むだけでなく、全世界で数百万人の健康を改善し、その命を救いながら、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて歩を進める緊急の必要性と、大きな機会がともにあります。私たちはあらゆるレベルの政府に対し、この課題の解決に向けて立ち上がり、強い決意と具体的な計画を持って、来る気候行動サミットに参集するよう呼びかけます」デアルバ大使はこのように語っています。
テドロス・アダノム・ゲブレイェススWHO事務局長は、次のように述べています。「大気汚染で毎年、約700万人が命を失っているほか、世界人口の10人に9人は、人間に適さない空気を吸っています。私たちは大気汚染のない世界の必要性について、しっかりと合意する必要があります。すべての国と都市に、WHOの大気環境基準を満たすことを約束してもらうことが必要です」
「今年、事務総長が開催する気候行動サミットは、気候変動に強い保健制度に資することが立証されている施策や、大気環境の監視と政策実施への強力なコミットメントと投資を確保するための重要な機会となります」
9月23日、ニューヨークで気候行動サミットを招集するアントニオ・グテーレス国連事務総長は、政府や企業、市民社会のリーダーに対し、大胆な行動とはるかに大きな野心を持ち寄るよう呼びかけています。
「大気浄化イニシアティブ」は、WHOが中心となり、ペルーとスペインの両国政府、国連経済社会局、国際労働機関(ILO)との協力により、2019年気候行動サミットの「社会的・政治的ドライバー」行動領域の一環として策定されたものです。
大気環境改善の呼びかけは、人々の健康を改善し、不平等を削減し、社会的正義を促進し、すべての人がディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に就ける機会を最大限に高めながら、将来の世代のために気候を守る目的で社会的、政治的施策を動員するという、より幅広い運動の一要素となっています。気候行動サミットでは「社会的・政治的ドライバー」のための連合が、すべての人がより健康かつ安全に暮らせる未来を約束するとともに、保健に関する行動を政府や組織に呼びかけることになっています。
「大気浄化イニシアティブ」に参加を希望する政府と地方自治体は、spdcast@un.org までお問い合わせください。
WHOに対するメディアのお問い合わせと取材要請については、Pippa Haughton(haughtonp@who.int)までご連絡ください。取材可能なWHO専門家は下記のとおりです。
- Dr Maria Neira(neiram@who.int)
- Dr Diarmid Campbell-Lendrum(campbelllendrumd@who.int)
一般的なメディアのお問い合わせについては、下記にご連絡ください。
- Esra Sergi(sergie@un.org)
- Deb Greenspan(+1 203 824 4327)
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