この人に聞く:デアルバ特使、気候変動対策の強化と改善を世界に働きかけ
2019年08月15日
2019年気候行動サミット担当事務総長特使に任命されたルイス・アルフォンソ・デアルバ氏は、世界が社会のあらゆる側面に資する野心的な気候変動対策を進めるために必要なツールやビジョン、政治的意志を備えられるよう取り組んでいます。
「私たちが直面する課題に取り組むためには、非常に強い政治的意志が必要になります。しかし、私たちの現時点での取り組みと、2015年のパリ協定に基づく約束では、地球温暖化を1.5°Cまたは2°Cに抑えるという目標を達成することなどできません」とデアルバ特使は言います。
「温室効果ガス排出量を削減し、自然災害など気候変動がもたらす課題に適応するための活動に必要な資源を確保することをはじめ、私たちは数多くの未解決の問題に取り組む必要があります」と述べた上で、デアルバ特使は気候変動対策が社会のあらゆる側面にとって有益になるだろうと指摘しました。
「気候変動対策は単に可能であるとか、急務なだけではありません。私たちの生産・消費の方法、そして私たちの経済が発展する方法を根本から変える絶好の機会ともなりえます」
デアルバ特使は、気候変動が「環境にだけ影響を与える問題ではない」と強調しています。「それは、開発のあらゆる領域に関連しているため、私たちが持続可能な開発を達成したり、貧困と闘ったり、病気を根絶したりする上で、気候変動対策は根本的な要素となり、私たちの社会の未来にも広範囲に及ぶ影響をもたらすことになるでしょう」
デアルバ特使は、気候行動サミット開催までに「政治的議論を洗練させ、政府の最も高いレベルや、民間セクターで最も重要な企業に働きかけ、気候変動対策への認識を高めること」が自らの使命だと述べています。
事務総長が招集して国連総会ハイレベル・ウィーク中の9月23日に開催予定の気候行動サミットには、各国・政府首脳や閣僚、民間部門におけるイニシアティブのリーダー、非営利組織が参集し、具体的な行動と野心の高まりについて話し合います。
「各国政府が、これまで重要な役割を果たしてきた多様なステークホルダーやビジネス・セクター、国際的な組織との間で、また様々な支援者を通じて、よりオープンな形で取り組みを進め高めることが基本となります。その関係性の上で、課題そのものへの認識と行動を取る機会についての認識が高まっていくのです」デアルバ特使はこのように述べています。
「私たちは、何が起きているかを把握し、改善の余地がある取り組みや主体を見極め、改善のためのインセンティブを与える必要があります。しかも明日ではなく、今すぐに実行しなければなりません。最近の科学的な分析からも明白なように、私たちが今行動を起こさなければ、状況は極度に深刻化しかねないからです」
「国や主体が違えば、活用できる能力や資源も異なる」との認識を示した上で、デアルバ特使は「国家間の十分な支援を確保する必要があります」と述べ、そこには単に先進国から開発途上国に対する援助ではなく、南南協力も含まれるとしました。
「開発途上国の中にも、他の開発途上国を支援できる能力や知見を持っている国があります。ですから南北格差だけでなく、それは利益共同体でもあります。私たちは誰もがそれぞれの役割を果たせるよう、技術や資源、知識全般を移転する必要があります」
デアルバ特使は次のように指摘しています。「私たちは、迅速で協調的な行動がもたらす恩恵に対して共通の理解を持つ必要があります。この問題を一国だけで解決することは不可能です。ですから、私たちは一致団結した責任意識を育てなければなりません。すべての国の参画が必要なのです」
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原文(English)はこちらをご覧ください。
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