子どもたちと家族、COVID-19の最中にグローバルな視野を広げる(COVID-19関連記事・日本語訳)
2020年06月26日
子どもたちと家族、COVID-19の最中にグローバルな視野を広げる
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2020年6月1日 — 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、子どもたちが一日のほとんどを家で過ごしていることを受け、国連はこの機会を活用し、家族が子どもたちにCOVID-19の世界的大流行(パンデミック)だけでなく、貧困や飢餓、気候変動を含むグローバルな課題について教えられるよう支援しています。
ストーリーテリングの力をプラスの社会変革に活用するため、国連が作成した多数の本やボードゲーム、公共広告は、健康と安全を維持したり、危機に陥った他者を支援したり、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献したりする方法を子どもたちに教えるものになっています。
グローバル・コミュニケーション局の国連出版部から発表された作品『おうちの窓から見える風景:COVID-19と子どもたち(From My Window: Children at Home During COVID-19)』は、全世界で在宅を強いられた子どもたち自身の目線で、その生活を見つめた本です。
国連インターンのシュエ・バイさんが絵と文を書き上げた本書は、学校と友達から離れた子どもたちが共有する生活経験をテーマに、病気になって助けを必要としている知人や地域の人々を思いやる気持ちから、都市封鎖(ロックダウン)中に学べることの発見に至るまでをつぶさに描き出しています。ています。また、前向きな気持ちを保つこと、思いやりの気持ちを広げること、他者を支援することの大切さを子どもに教える意味も含まれています。(本書は無償でダウンロードできるほか、国連ショップで印刷版を購入することもできます)
同じメッセージを伝える取り組みとして、世界保健機関(WHO)と国連財団は、ハリウッドのスタジオIlluminationとのパートナーシップにより、困難な状況の中でも安全で健康的な実践を広める公共広告(PSA)を制作しました。
世界中で愛されるIlluminationのキャラクター、怪盗グルーとミニオンズが登場する子ども向け公共広告は、フィジカルディスタンスや家での積極的な運動、お互いに対する思いやりなど、命を救い、COVID-19の影響緩和にも役立つ行動に焦点を絞っています。
「世界がCOVID-19で生じた課題に立ち向かう中で、最も強力な武器の一つとなるのが思いやりです」エリザベス・カズンス国連財団会長兼CEOは、このように語っています。
3Dコメディー映画シリーズ『怪盗グルーの月泥棒』で、グルーの声を担当し、アカデミー賞やエミー賞にもノミネートされたスティーブ・カレル氏がナレーターを務めるこの公共広告は、スペイン語、フランス語、ポルトガル語、アラビア語など、多数の言語に翻訳される予定です。
グローバルな課題について学ぶ
ブリュッセルの国連地域広報センター(UNRIC)は、17の持続可能な開発目標(SDGs)と、2030年という期限までの目標達成に向けて貢献できる方法について子どもたちを教育するため、Elyxの創作者でアーティストのヤシン・アイトゥ・カシ(YAK)氏とのパートナーシップにより、SDGsすごろく「ゴー・ゴールズ」を創作しました。
「とても楽しかったです」東京都八王子市に住む柴田忍さんは「ゴー・ゴールズ」についてこう語っています。このSDGsすごろくは日本語のほか20カ国語で楽しむことができます。「15歳になる息子の悠生と、17歳の娘愛歩も夢中になりました。一緒に時間を過ごしながら、グローバルな視野を広げ、自分たちがどうすべきかを考えられるのも、大きな魅力です」
子ども向けTV番組『きかんしゃトーマスと仲間たち』と国連のパートナーシップによる作品「きかんしゃトーマスと仲間たちが教えるライフレッスン(Thomas & Friends Life Lessons)」は、SDGsに関する親子の有意義な話し合いを通じ、批判的思考を豊かにするために欠かせないスキルを探る内容となっています。
国連はサンリオとも連携し、ハローキティのYouTubeチャンネルを通じたSDGsの推進も行っています。この#ハロー・グローバルゴールズ動画シリーズでは、17の目標のうち、健康と福祉の増進に関する目標3、質の高い教育に関する目標4、ジェンダーの平等に関する目標5、持続可能な都市とコミュニティーに関する目標11、気候変動対策に関する目標13、そして海洋環境に関する目標14の6つがピックアップされています。
SDGsブッククラブでは毎月、6歳から12歳までの子どもにSDGsとの関わり合いを促すため、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語という、6つの国連公用語すべてで新しい本を選んで紹介しています。ブッククラブがオンラインで展開するお話の時間シリーズでは、本の著者が自ら、いくつかのSDGsと全世界から集めた冒険にまつわる作品の読み聞かせを行っています。
『世界を変えるフリーダ(Frieda makes a difference)』の若い読者たちは「すべての人にとって、世界をはるかに良い場所にするためには、誰もが力を合わせなければならない」ことを学んでいます。
国連食糧農業機関(FAO)は、教員や保護者がFAOの活動の中核をなすグローバルな課題に関する授業を準備するための資料を揃えたポータルサイト「飢餓ゼロ世代の構築(Building the #ZeroHunger Generation)」を通じ、健康な食生活や気候変動対策をはじめ、多くのテーマに関する重要な学びを提供しています。
国連児童基金(UNICEF)と国際出版連合(IPA)、WHOの協業によるイニシアチブ「世界を読もう(#ReadtheWorld)」では、高い人気を誇る児童書の著者が、COVID-19のパンデミックによって隔離を余儀なくされている数百万人の子どもと若者に対し、自分の作品から抜粋した文章の読み聞かせを行っています。
その皮切りとして「国際子どもの本の日」に当たる4月2日、児童書シリーズ「ジェロニモ・スティルトン」の生みの親であるイタリアの作家、エリザベッタ・ダミ氏が読み聞かせを行いました。
COVID-19パンデミックに関する疑問
コロナウイルスの世界的大流行の規模と影響を理解することは、大人でさえ困難であるため、子どもが理解することはさらに難しいことです。それでも、子どもたちには疑問があり、何が起きているのかを把握するため、大人からの助けを期待しています。
『あなたは私のヒーロー(My Hero is You)』は、COVID-19パンデミックで生じた疑問を親子が一緒に考える手段を提供しています。保護者や保育士、教員が子どもと一緒に読めるよう作られたストーリーには、全世界1,700人を超える子どもと保護者、保育士、教員から寄せられたCOVID-19への対処法が盛り込まれています。
このプロジェクトは、WHO機関合同常設委員会の「緊急事態下での精神衛生と心理社会的支援に関するレファレンス・グループ」が全世界、各地域および各国内で活動する専門家に加え、104カ国の保護者や保育士、教員、子どもの支援を受けて開発したものです。
サイバー犯罪から子どもを守ろう
国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、子どもがオンラインで過ごす時間が長くなるにつれ、サイバー犯罪の被害者となるリスクが高くなっていると警告しています。いくつかの国連公用語にも翻訳されているオンライン動物園絵本は、オンラインで遭遇する問題への対処の仕方について、子どもたちに前向きなメッセージを送るものです。インターネットの安全性向上は、UNODCのサイバー犯罪対策の目標にも含まれています。UNODCによると、インターネットの利点と課題について、より早い時期から教育を受けた子どもたちは、後に直面しかねない問題にもうまく対応できるようになります。
執筆者について
グローバル・コミュニケーション局
国連グローバル・コミュニケーション局(DGC)は、国連の活動に対するグローバルな認識と理解を推進します。
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原文(English)はこちらをご覧ください。